第11話 書きたい物語は書かない。読みたい物語を書くべき

 小説を書く方の多くは「書きたい物語があるから書く」「読んでもらいたい物語があるから書く」だと思います。

 小説投稿サイトなら、無料ですからなにを書いてもかまわない。

 

 これは本当に正しいのでしょうか。


 確かに無料の小説投稿サイトなら、なにを書こうとかまいません。

 少し読んでみて「これは合わないな」と思ったら、読み続ける必要はいっさいなく、すぐに連載を追わなくなるでしょう。

 そう、小説投稿サイトでなら、なにを書こうと関係ないのです。


 しかし、これからプロになろうと意気込んでいる方、「小説賞・新人賞」を獲りたい方、『カクヨム』でロイヤルティプログラムに参加されている方。


 こういった書き手は「なにを書いてもよい」わけではないのです。


 書き手が「書きたい物語」にどれほどの需要があるのでしょうか。

 たいていは書いて発表したら気分がすっきりした、程度で終わります。

 「書きたい物語」を書けたから満足するのですね。


 ですが「商業」の観点からははっきりと間違っています。

 これではお金なんて稼げません。


 小説でお金を稼ぎたいのなら、書き手が「書きたい物語」は同人誌で書けばよいのです。

 小説をお金にするには、より多く売らなければなりません。

 出版不況の只中、出版社も「売れない物語」を出版する余裕はないのです。

 出版社が求めるのはただひとつ。「売れる物語」だけです。



 「売れない物語」とは需要のない小説のことです。


 需要のない小説は、書くだけ時間と労力の無駄。

 前述しましたが、「書きたい物語」を形にすれば「書き手」独りは喜べます。

 でも万人が「読みたい物語」かと言われれば首をひねらざるをえません。


 プロを目指す方、「小説賞・新人賞」を獲りたい方、ロイヤルティプログラムに参加されている方。

 これらの方は、確実に「売れる物語」を書かなければプロになれず、大賞も獲れず、広告収入も手にできません。



 では「売れる物語」とはなんぞや。ですよね。


 「読み手が思わずお金を払ってでも読みたくなる物語」を指します。


 書き手が「書きたい物語」を書いても、ほとんどの方には読まれないのです。

 読まれたければ、読み手が「読みたい物語」を書きましょう。



 しかしどんな作品なら読み手が「読みたい物語」になるのか。わかりませんよね。


 そこでふたつの方法をご提案致します。


 (1) 現在売れている作品を読みまくって、それらの要素を拝借する。

 (2) 書き手であるあなたが「読みたい物語」を書く。


 このふたつです。


 (1) は時間のある方にオススメです。

 とにかくマーケティング・リサーチで「需要のある物語」を見つけましょう。

 売れ筋を掴めているので、書いた小説にもそれなりの需要があります。

 だから連載を追ってくれる読み手の数も安定するのです。

 いったんプロになってしまえば、出版社の担当編集さんと企画会議をして「売れ筋を書こう」という話になるでしょう。マーケティング・リサーチは担当編集さんも行なってくれますので、労力も半分になります。

 ですが「あなたが読みたくもない物語」を書かされるおそれもあるのです。


 (2) は時間のない方にオススメです。

 不特定多数がどのような物語を求めているのか。

 よほどサンプル数を増やさないかぎり、正確には掴めません。

 そのために書籍の売上ランキングや小説投稿サイトのランキングなどを読みまくる必要があります。

 ですが副業で小説を書いている方は、とてもではありませんが数多く読んでいる暇はないですよね。

 そんな時間があるのなら、一作でも多く書き上げて「小説賞・新人賞」に応募しまくりたいでしょう。

 ですが「需要のない物語」はけっしてウケません。


 単に書き手が「書きたい物語」を書いているだけでは、需要を捕らえられないのです。

 そこで登場する考え方が「あなたが読みたい物語を書く」です。

 これなら最低でも「あなたは読みたい」はず。

 読み手不在とはなりません。

 もしあなたの感性が大衆と等しければ、それだけで多くの読み手を確保できます。


 小説でお金を生み出したいのなら「売れる物語」が求められるのです。

 ただ、どの作品がどれだけのシェアを占められるかは、やってみなければわかりません。



 そこで皆様にオススメしたいのが『カクヨム』のロイヤルティプログラムです。

 要は「広告収入」なのですが、これを意識すると「読みたい物語」を書こうという意識が生まれます。


 広告収入を得たければ、多くの読み手に読まれなければなりません。

 ただ読まれればよいだけではなく、連載を継続して追ってくれる作品を書かなければならないのです。

 そうしなければ広告収入はわずかになってしまいます。

 人によっては作品そのものがまったく読まれず、広告収入も得られません。


 だから広告収入を得たければ、自然と「売れる作品」に意識が向くのです。



 ではもう一度書きます。

 読み手が「読みたい作品」を書くには、


 (1) 現在売れている作品を読みまくって、それらの要素を拝借する。

 (2) 書き手であるあなたが「読みたい物語」を書く。


 のふたつです。


 いずれを目指してもかまいません。

 需要のない作品など、いくらあなたが書きたくても書かないほうがよいでしょう。

 人気のある書き手のほとんどは、書きたい作品を書いていません。

 「こんな物語が今売れているけど、私ならこんなアイデアをプラスしたものが読みたいな」という作品を書いています。


 その究極が「異世界転生ファンタジー」なのです。


 現在、さまざまなものへ転生する物語が大流行しています。

 「異世界転生」自体のアイデアは古くても、どんなものへ転生するかは無数に考えられるからです。

 だから「私だったら、こんなものに転生した物語が読みたいな」と思ったものを書けばよい。

 そんな動機を持った方が、あなた以外の何%存在しているかで潜在的な読み手層を意識できます。



 「プロ」になりたい方、「小説賞・新人賞」を獲りたい方、ロイヤルティプログラムで稼ぎたい方。

 あなたが「書きたい物語」は大家タイカになるまで封印してください。

 まずは読み手が「読みたい物語」を追求するのです。

 どうしても書きたければ同人誌にしましょう。小説投稿サイトを使い分けてもかまいません。「読みたい物語」は『カクヨム』に、「書きたい物語」は『小説家になろう』に、といった具合に。


 「プロ」として成功を収めたい、大賞を獲りたい、広告収入を稼ぎたい。


 そういった方は、今日を境に読み手が「読みたい物語」を書くようにしてください。

 『カクヨム』のランキングで「今どんな物語が読まれているか」をリサーチする時間があれば、まずトップランカーの作品を読みましょう。

 「今読まれている物語」がわからなければ、そのような物語は書けません。


 あなたが「読みたい物語」であれば、最低でもあなたひとりは読んでくれます。

 同じ感性を持っている方がどれだけいるかで、読み手層は広がっていくのです。


 だから「書きたい物語」ではなく「読みたい物語」を書きましょう。

 そのほうが確実にプロや大賞や広告収入につながりますよ。



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