第三話 到着 後編

翌日 7月25日 東京


「....」

アルシア達は横須賀から東京を車で移動した。

東京の風景を見たアルシアは言葉を失った。横須賀も十分に栄えていたが、東京はそれ以上だった。

その光景、人の多さがアルシアの脳に焼きついた

「すごい…」

「そりゃあこの国の中で一番でかいところだからねえ」

一ノ瀬がそう答えた。余談だがこの世界の日本(現在扶桑帝国)は、第三次世界大戦時に建設された多くの迎撃兵装ビルや各地の山に埋め込み型VLS、沿岸には地上発射型多目的誘導弾と地上型127㎜単装速射砲が配備されており、他には北海道に核弾道搭載型ICBMや潜水艦発射型SLBMが発見されている。ICBMやSLBMは現在、厳重に保管されている。

閑話休題

「あれ?ほかの種族とかいないんですか?」

「我が国にはほかの種族、いわば亜人族などはいません。そもそもエルフなどは架空のものと考えられてきました」

外務省から派遣された鈴木はなねがそう答えた

「そうなんですか」

アルシアがそう答えた。いろんな人が親切に話してくれるから大丈夫だと思っているが、いかんせん帝国という名前もついており、迫害しているのかと少し心配していたがそうではなかったようだ。

(魔力がない…本当に魔法がないんだ)

そうアルシアは思っていた

「では、これから外務省へ行ってもらいます」

「はい」


外務省 応接室


応接室で待っていると、ドアが開き男性が入ってきた。

「お待たせしました、外務省他国人調査班の大平 和と申します」

「初めまして、アルシアと言います」

「長旅疲れたでしょう」

「いえいえ、ハルちゃん…遥さんが一緒にいてくれたため、楽しく過ごせました」

「それは良かったです」

大平は笑顔でそう言った。

「さっそくですが、あなたがいた国にはついて教えてくれませんか?」

「はい」

それから一ノ瀬に言ったことと、軍事力、政治についてなど事細かに教えた

「なるほど、ですがそうなるとあなたはなぜ奴隷になったのですか?」

大平はそう質問した。話を聞くと、奴隷制度も解体されたとのことだが、それだと何故アルシアは奴隷になっているのか

「奴隷制度が解体されても、貴族は解体されていらず、その貴族が主導で闇市で奴隷市場はやっていると聞いています」

「…そうか、色々教えていただきありがとうございます」

大平は一瞬深刻そうな顔をしたが、すぐに笑顔でそう答えた

「これから、アルシアさんと一ノ瀬さんには総統閣下に会ってもらいます」

「へ!?」と一ノ瀬

「?」とアルシア

「ハルちゃん、総統閣下ってなに?」

「こ、この国の一番トップの方よ、しかもクーデターでこの国をより良い方向に導いてくれたの」

「!?」

アルシアは驚いた。そんな人と会うのかと思った

余談だが、何故元首や首相、大統領ではないかというと、国民にどんな称号がいいか聞いたところ総統ちょび髭みたいな演説をしたために決まったのだ

天皇陛下は、神聖かつ伝説の名前なので却下された。

閑話休題

「今から向かいますがよろしいでしょうか?」

「は、はい」

「では、鈴木くん、頼むよ」

「かしこまりました」

「では、行きましょっか」


総統邸 大会議室


「ひっろ」

一ノ瀬はそう言葉をこぼした

官邸を少々改造、武装化して名前を変えたが中身は変わっていない。

「一階もすごかったね」

アルシアがそう言った

「それは良かったよ」

突然声がし、そちらに目を向けると17〜18歳くらいの男の子がいた

「このこだr」

「総統閣下!」

アルシアが質問しようとした瞬間、一ノ瀬がそう言葉を発し直立不動になった

「今はゆっくりしていいよ」

「は、はい」

「え?この子が総統っていう人なの?」

「ちょ!」

「あはは、まあそう思うよね」

男の子はそう苦笑いし

「いかにも、私がこの扶桑帝国総統閣下にして陸海空軍最高司令官の白崎 ゆうだよ」

「何故自分が国の長をやってるのかは聞かないでね」

「はい」

そこから世間話などをした、観光旅行はどうだったか、航海はどうだったかなど

最初は緊張していた一ノ瀬もだんだん口調が崩れていき、最後には連絡交換するほどに緊張はなくなっていた。

アルシアは白崎に魔法を見せてくれと目をキラキラさせながらお願いされ、魔法を使ったら子供のように(実際まだ子供だが)はしゃいでるところを見て弟のように可愛がっていた


数時間


「一ノ瀬くん、君にはこれからアルシアさんの護衛と保護者がわりになってもらう。それに伴って特別に階級を中佐から大佐へ昇格する」

「かしこまりました」

「アルシアさんもそれでいいよね?」

「わかった」(お姉ちゃんって呼ばれたい)

またまた余談だが、アルシアは妹はいるが(妹はアルファストの信頼できる人に保護してもらっている)弟も欲しいと考えていたため、どうすれば白崎にお姉ちゃんと呼ばさせるか考えている。もっというなら可愛がられたい。

一応言うが白崎は総統閣下で下手なことをしたら結構問題だがそんなの知らんと言う感じである。

閑話休題

「扶桑帝国にいる場合、永住権と長期滞在権、帰化のどれかを取得しなければなりません。どちらにしますか」

「永住権と長期滞在権、帰化の違いは?」

「永住権は、二つに国籍、例えばアルファスト王国と扶桑帝国の国籍を永久に持てます。ですがこの条件が10年以上継続して在留しなければならず、そこは政府が特別に申請しますが10年間制限が多くのしかかります」

「長期滞在権は、永住権とにており、二つの戸籍が取れますが、定期的に更新する形で、更新しないと国外追放処分となります。ですが10年間の条件はありません」

「帰化は、10年間の制約要らず、永住できますが、国籍が扶桑帝国のみになります」

「…帰化を選んだ場合、ほかの国に行くことや泊まることもできないんですか?」

「いいえ、そんなことはありません、ほかの国にも行けますし、あちらで泊まることもできます。帰化を選び、あちらで住む場合は、あちら側に永住権か長期滞在権を発行しなければなりませんが」

アルシアは深く考え

「…帰化でお願いします」

と答えた。白崎と一ノ瀬は驚き

「いいの?アルファスト王国の国籍なくなるんだよ?」

と一ノ瀬が言った

「別にいいよ、家族や幼馴染と別れた時なんで私はここにいるんだろうと思ってたし、ならいっそのことここで国籍をとって、もし国同士が仲良くなったら家族ともまた会えるしね」

「…そうですか、わかりました」

白崎は家族や幼馴染という言葉を聞いた瞬間少し苦しそうな表情をしたがすぐに微笑みをしながらそう言った

「今日は帝国ホテルでお泊まりになってください。1週間以内にパスポートと扶桑戸籍の登録、発行をします、パスポートを作る時に写真を撮るのでその時は連絡しますので来てください」

「わかった」

「一ノ瀬くんもその時に来てください」

「はい」

「暗くなってきたので、総統邸を見学したい場合はまた明日来てください」

「ならまた明日行くわね、そのあと東京を観光してもいいかしら」

「そのように手配しておきます」

「あと、仕事の時以外は敬語なしでできない?」

白崎は一瞬驚いたが

「わかった」

と笑顔で答えた


帝国ホテル


そのあと、鈴木に送ってもらわれ帝国ホテルに着いた

「これからどうなるんどう」

「多分使節団送るんだと思う」

「やっぱり?」

「多分ね、まあ、いつもの生活じゃなくなるのは確かだね、その場合ほかの同盟国にも報告すると思うけど」

「はあ、本当にどうなるんだろう」

「結果は神のみぞ知るか…」

「「はぁ」」

(ゆうちゃん、家族や幼馴染って聞いた瞬間苦しそうな表情をしてたけどなんだったんだろう、ハルちゃんも知らないようだし)

アルシアはそう思いながら睡眠をとった

翌日、総統邸の見学をし、東京を観光し、扶桑人に大変人気になるアルシアだった


数週間後 8月14日 帝国議会


「では、使節団派遣、護衛は重武装でいいな?」

白崎が大臣達にそう言った

「はい」と軍務大臣 赤城

「総統の名であれば」と外務大臣 村雨

その他大臣も賛成した

「では、当分の目的は

1.アルファスト王国への外交

2.捕虜の返還

3.闇市の排除要請

4.アルファスト王国へ奴隷解放要請

5.アルファスト王国との国交樹立と貿易条約に締結でいいな?」

「はい」

「ではそのように調整してくれ、官房長官にこのことを報道させるよう指示してくれ」

「はい」と情報省

情報省は、国内では公安と連携し、反組織の情報鎮圧や議会で決定さたことを報道、国外では情報収集や宇宙航空研究開発機構JAXAの衛星やその他の研究機関の衛星と連携し情報や国外の国を監視する役目を担っている。


数時間後


総統邸にアルシア達が呼ばれた

「どうしました?」

「実は数週間後に使節団を向かわせることが決定しまして、そのことを報告に、その使節団にアルシアさんと一ノ瀬くんも一緒に行って欲しいのですが」

「わかりました」

「かしこまりました」

「詳しいことはまた後日に」

白崎は一回咳をした

「それと、アルシアさん」

「どうしたの?」

「これできたよ」

渡したのは

パスポート

帰化許可証

身分証明書

マイナンバーカードだった

「ありがとう」

アルシアは笑顔で感謝した

「職はこちらの都合だけど、外務省職員になったよ」

「大丈夫、少しでも恩返しができるなら」

「それと」

白崎は一ノ瀬に目を向け

「アルちゃん、これを渡すよ」

渡されたのはグロック17と予備弾薬である

実は休暇中に射撃をさせてみたら命中率が高いことがわかり、自分のことを守るためにもと一番『拳銃内』で高かったグロック17が選ばれた

余談だが、現在軍はp220からH &K VP9に変更されつつあり

警察機関はベレッタm92fからグロック17に変更しつつある

閑話休題

「いいの?」

「特別にね」

(MG42は絶対に使わせねぇ)と白崎はそう心の中で思った

防衛用のMG42ヒトラーの電動ノコギリ(弾薬は7.62mm弾)を使用させたところ、ほぼ全ての弾を当てたのである…立ちながら、三脚なしで

そこにいた軍人は肝を冷やしたという

「それでは、後日またお話ししましょう」

そう白崎は敬語でいい

「わかりました」

とアルシアは返答した

「ゆうちゃん」

「…ん?」

「一回でもいいからお姉ちゃんって呼んでくれない?」

「…………んんんん??????」

ついに言いやがったこの娘

流石に予想外であった白崎と一ノ瀬

「え?え?え?」

「ちょ、アルちゃんなに言ってんの!?」

「お願い!一回でいいから!」

「ええええ!?」

と、どんちゃん騒ぎとなった総統邸であった



数時間後 白崎side

「…はぁ」

現在白崎は自宅で休んでいた

「ゆうちゃんや姉ちゃん呼びか…」

白崎の右手には2つの写真があった、一つ目は4人の女の子と2人の男の子そして後ろには2人の男子と女性がいた、二つ目はどこかの学校のクラス写真だった

「…っ」

白崎の泣いていた

「はは…まだあの事を…あいつを憎んでるんだ…俺」

「…ぁぁ…っぐ」

必死に涙を止めようとしても出てくる

「こんなんじゃ、ダメだ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新地球で世界最強に! ハク @sirasu4628

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ