第22節 -全ての卵をかごに入れるな-

 午後6時過ぎ。空が再び黒く染まり、大地が暗闇に包まれようとしている。

 結局この日は空を覆った厚い雲が晴れることはなく、日の光が僅かでも大地に注ぐことはなかった。

 財団支部の鮮やかな庭園も日暮れと共にその色彩の優美さをひそめる。


 1日が終わりに近付こうとする中、代表執務室のテーブルでラーニーとサミュエルは報告を含めたミーティングの為に向き合って座っていた。2人の間にある議題は当然ながら例のダストデビルについてだ。

 ラーニーが言う。「今日はおつかいご苦労様。モラレス氏と話して何か収穫はあったかい?」

「収穫というほどのものはございません。ただ、例のアルビジアという少女がここ最近も頻繁に国立自然保護区へ足を運んでいるということについては承知していたようです。」

「しかし、今日は核心に触れるようなことは何も言わなかったんだろう?」

「はい。わたくしからも彼女があの事象に関わりがあるのではないかと匂わせるようなことも申し上げておりません。しかしながら、そうしたことを尋ねられるのを警戒していたような気配は感じ取ることが出来ました。」

「それは君の勘というやつかい?」ラーニーは笑いながら言う。

「当てにはなりません。ただ長く生きて、人より少し他人を観察する目が鍛えられているだけですから。」

「それが重要なんだよ。サムがそう感じたということはきっとそうなんだろう。つまりモラレス氏は何かを知っているか、又は気付いていながら黙殺している。そういうことだろう?」

「えぇ、はい。おそらくは。正直に彼女が何か関りがあるのではないかと問い掛けても何も答えてはくださらないでしょうが。」サミュエルは首を横に振りながら言った。

 それに対しラーニーはやや体を前のめりにし、囁くように声を潜めながら言う。

「では確かめてみると良い。我々には事件当日、事件直前直後に彼女の姿が必ず映像として捉えられるという厳然たる物証がある。それについて意見を伺いたいという体で話を聞くのはどうだろう?」

「つまり彼をここへ召喚すると?」

「そんな大げさなものではないよ。ただ映像に彼女の姿があるから気になって話を聞きたいと思った…そういうことで構わないだろう。あの少女については謎が多い。そもそもどこから来たのか、なんてところからだ。僕から一通ほど公式文書を用意しよう。それを手に明日の朝、彼の自宅へ再度伺ってみて欲しい。」

「かしこまりました。」

 ラーニーはサミュエルに指示を出すと体を起こしてソファへ深くもたれかかった。その表情には余裕が浮かんでいる。

 サミュエルはそんな彼の姿を見て別件で聞きたいことを口に出す。

「ラーニー様、これは別のお話になるのですがひとつ宜しいでしょうか。」

「構わないよ。」

「本日、イグレシアス様が支部へお越しになった際に彼女に何かを伝えられましたか?」

 その質問を聞いたラーニーは一瞬だけ不意を突かれたような様子を見せたが、すぐに穏やかな表情で言った。

「あぁ、伝えたよ。うちに来ないか、ってね。」

「それは、なんと…」

「僕は彼女の “特別性” というものに興味がある。彼女の身に纏う雰囲気や、いわゆるカリスマ性と言って差し支えない素質は財団に惹き込めば大きな力となるだろう。いつの時代も人は象徴というものを求めるのさ。偶像崇拝とも呼べるのかな。語弊を恐れずに言えば信仰の対象にもなり得るような絶対的な存在だ。」

 ラーニーは再び体を起こして前のめりになりながら言う。

「彼女にはその才能が、素質が、魅力が備わっている。環境保全を訴えかける先頭に立つ人物としてはこれ以上ないほどに魅力的な存在だ。彼女が “地球環境保護” を口に出して人々に訴えかければ、グリーンゴッドを使用して自然再生を促す行為なんかよりよほど環境破壊の歯止め、いや抑止力になるだろうね。」

 サミュエルは複雑そうな様子で言う。「イグレシアス様は何とお答えに?」

「あぁ、もちろん即答で断られたよ。」ラーニーは笑い声を上げながら言った。続けて言う。

「それは想定の範囲内というものだ。突然そんなことを言われて “分かりました” なんて言う人間は早々いない。いるとしたら思慮の浅い愚か者だ。彼女はそうした芯の強さも持ち合わせている。僕にとってはこれ以上ないほどに魅力的な人物だ。口に出したくはないが、アンジェリカが言う通りにね。」

「左様ですか。ラーニー様がそうお考えになるのであればお声掛けなさるのも良いかもしれません。しかし、相手はあの機構です。国際連盟に勝るとも劣らぬ規模を誇る巨大な国際機関。むやみに刺激するようなことは控えられた方が宜しいかと存じます。」

「そうだな、肝に銘じておこう。だからこそ、僕からの働きかけはあくまでも “提案” だ。本人が同意するかどうかが全て。職業選択の自由なんてものは、機構や国家などという枠組みに関わらず、個人に与えられた権利として存在するはずだからね。彼女が翻って僕の提案を受け入れ、財団で働きたいといえば受け入れる。それだけのことだよ。」


 楽しそうに語るラーニーにサミュエルは同意を示すように頷きつつも、その陰で寂しい想いを抱いているであろう妹のことを頭に思い浮かべる。

 本当の意味でこの方の傍に寄り添うべきはきっとイベリスではない。もっと身近に存在するのだ。

 そのことにラーニー自身が気付くことを願うばかりである。


「質問にお答えいただきありがとうございます。それでは、そろそろ夕食の支度にとりかかりますのでわたくしはこれにて。」

「いつも苦労を掛けてすまないね。明日の件、宜しく頼むよ。」

「承知いたしました。明日の準備もございますので、本日の食事の給仕はロティー1人に任せます。」

 サミュエルはそう言って立ち上がり、いつも通りに礼をすると老体とは思えぬ軽やかな身のこなしで出入口扉まで歩いていき、代表執務室をあとにした。

 シャーロットとラーニーが少しでも2人きりになる時間を作る為に。


                 * * *


 同時刻。3日目の調査を終えたマークתの4人はペンションへと戻り、その日1日の調査結果や報告事項を話し合う為のミーティングを行っていた。

 ダイニングの丸テーブルをいつものように4人で囲み、それぞれが真剣な面持ちで持ち帰った情報を報告をしていく。

 そして丁度今、ルーカスによる調査報告が終了したところだ。それを踏まえてジョシュアが言う。

「さて、ここまで調査をして分かったことは3つ。1つ目は自然異常再生が起きた地点も厳密に観察すれば、他の地点と特別変わったところがあるわけではないということ。2つ目はプロヴィデンスのシミュレーションによると、異常再生についてはある地点において数百年後に “実現する” 未来をそのまま反映しているということ。3つ目は、現時点でその現象を引き起こす可能性として考えられる原因は科学的アプローチでは存在しえないということ。要約すれば “お手上げ” だ。」

「身も蓋もありませんね。」ルーカスが言った。

「科学的な見地という見方をはっきりと捨て去ってしまえば説明出来るかもしれないがな。万人が受け入れられる回答にはならないだろう。」

「例の少女の力、というやつでしょうか。しかし、彼女がそうした力をもっているのかどうかはわかりませんし確かめる術もありません。」ジョシュアの仮定にルーカスははっきりと言った。

 ジョシュアは玲那斗とイベリスに目を向けて言う。

「ところで玲那斗、イベリス。それぞれが浮かない顔をしているが、財団へ行った時に何かあったか?」

「そうそう。今日戻って来てからも1日中ぼうっとしてたぞ?別に夫婦喧嘩したってわけではないんだろう?互いに気になることでも出来たか?」ルーカスが同調する。

 ルーカスの言葉を聞き、まずはイベリスが口を開いた。

「そうね、気になるというより私の方は呆気にとられたという方が正確かしら。」

「玲那斗が何かやらかしたのか?」ルーカスの視線が玲那斗へ向く。

「違うわ。セルフェイスさんとの会合の場で起きたことよ。彼が私に言ったの。 “うちに来ないか” って。」

 それを聞いた一同が驚きの表情を浮かべる。

「つまり引き抜きにかかったってことか?」ルーカスが言う。

「もちろんすぐに断ったわ。私にはその気はないもの。」

 イベリスの言葉にジョシュアは頷いた。

「財団の考えそうなことはなんとなく理解は出来るがな。イベリスのような人物が先頭に立って自然環境保護を訴えかければ、それは間違いなく環境破壊を抑止する一定の効果を生むだろう。人は常に信仰の対象を求めるというのか、すがるべき何かを求めるというのか。セルフェイス氏はそういう役割を担う人物としてお前さんに声を掛けたんじゃないか?」

「えぇ、彼はそう言っていたわ。カリスマ性が何とかって。」イベリスは小さな溜め息をつきながら言った。それに対してルーカスが言う。

「随分と大胆な当主様だな。元々の依頼内容そっちのけでイベリスにご執心ときたか。玲那斗、釘を突き刺しておくべきじゃないのか?」

「物騒なことを言う。彼だって無理矢理にという行動には出ないだろう。あくまで提案という体裁で話を持ち掛けているんだ。イベリス自身が同意しなければ何も起こらないさ。」

 玲那斗は苦み走った視線をルーカスに送りながら言った。

「イベリス、その会合の様子はヘルメスでモニタリングしていたな?」ジョシュアが言う。

「えぇ、しっかりと。」

「ではあとでそのデータをこっちに回しておいてくれ。内容を確認したい。」

「分かったわ。」ジョシュアの指示にイベリスは同意した。続けて視線を玲那斗に向けて言う。「そういえば玲那斗、財団支部を出る時に言ったことを覚えてる?」

「ん?あぁ。そうだな。ずっと話さずにいてごめん。言うタイミングを間違えるわけにはいかなかったんだ。今が話すタイミングだな。」

 玲那斗の言葉にジョシュアとルーカスは真剣な眼差しを投げかける。そう言うからには外部には話すことが出来ない重大な案件であると分かるからだ。

 ジョシュアが問う。「特別な報告事項があるということか。」

「はい。とても重要な報告事項です。少し周囲を警戒しながら話した方が良いというほどに。」

「物々しいな。俺達以外の誰にも知られたらまずいという内容なわけだな?」ルーカスが言う。

 玲那斗はルーカスの目を真っすぐに見て返事をした。

「そう思ってもらって構わない。これは俺とイベリスに深く関わることであり、例の少女アルビジアにも繋がる。さらに言えば、この話だけでお手上げ状態になっている件の自然異常再生についても解決というものだ。」

「私にも?」イベリスが言う。

「そうだ。俺が今日財団で “会話をした人物” について順を追って話そうと思う。その人物の名はアンジェリカ。アンジェリカ・インファンタ・カリステファス。ミクロネシアで遭遇したあの子だ。」

 その名前を聞いた瞬間、イベリスの身体が強張る様子を玲那斗は見て取った。当然だ。何しろ自分達を殺害する一歩手前まで追い込んだ少女なのだから。

「対象A…待て、そいつはお前やイベリスを殺そうとしたっていうあの子のことで間違いないってことだよな?」ルーカスが言う。

「間違いない。俺が財団支部の待合室に案内されて1人で待機していた時、彼女は突然どこからともなく現れて俺に話し掛けてきた。」

 玲那斗はそう言うと財団支部でアンジェリカと話したことを包み隠すことなく全て3人へ打ち明けた。


「彼女はアルビジアの持つ力についても詳しく話してくれた。種明かし…ではないけど、ダストデビルによる被害について、あれは塵旋風というより “かまいたち” の現象に近いということ、アルビジアが物体や物質に対して異常なまでの成長促進、つまりは時間経過を促すことができるっていうことも。」

「それって、モラレスさんがあの子の剥く果物が熟していて美味しいとおっしゃっていたことにも繋がるということかしら?」

「それだよ。アルビジアは意図的に物質の持つ時間概念を推し進めて、それが辿る未来を瞬間的に実現させる力を持っているらしい。保護区内の一部の自然が異常再生したという件についてもほぼ間違いなく彼女の力によるものだろう。どういう意図でそんなことをしたのかはわからないが。」イベリスの問いに玲那斗は答えた。

「モラレス氏といえばリド=オン=シーで話したという人物のことだな。彼女と一緒に暮らしているという。」ジョシュアが言う。

「はい。モラレス氏は10年ほど前から彼女と共に生活しているそうです。そういった話を聞く中で何か変わったことがないかと尋ねた時に先のお話を伺いました。」

 深く息を吐きながらジョシュアは自身の頭の中の考えをまとめるように考え込む仕草をした。

「アンジェリカが財団支部に存在したということは、アルビジアという少女のことについての仔細を既に財団側は知っているのだろうか。」

「それは無いと思うわ。セルフェイスさんはアルビジアのことについて私に尋ねてきたけど、何かを知っているというそぶりはなかった。もちろん、皆で決めた通り私も彼女のことについてはほとんど何も話していない。国立自然保護区で彼女と一緒にいた理由を問われて、初日にマーケットの駐車場で出会って、翌日にも挨拶をしたという事実を伝えただけ。仮に彼が彼女のことを詳しく知っているのなら、私に聞くよりも先に直接彼女に対して行動を起こすはずよ。」ジョシュアの疑問にイベリスが答えた。

「それもそうか。だとすればアンジェリカは全てを知った上で意図的に話していないということになる。何を企んでいるのか分からない不気味さは感じるな。」

「正直、また殺されそうになるのではないかと思いました。機嫌を損ねないようにしながらの会話でしたから、途中まで生きた心地がしませんでしたよ。」玲那斗は脱力した様子で言う。

「ご苦労さん。結果的に何もなかったから良かったと言えるが…」ルーカスが言う。

「アンジェリカについては当然ながら用心しておいた方が良いだろう。どこまで出来るかは別問題だが、この地に彼女がいるという事実が判明しただけで意識の持ちようも変わるというものだ。今後も遭遇する可能性が高いのは玲那斗とイベリス、お前さん達になるだろうからくれぐれも気を付けるように。」

「この地にはあの子の天敵らしい総大司教様はいないからな。ミクロネシアと同じ状況になったらまずい。」ジョシュアの言わんとしていることをルーカスが補足する。

「神出鬼没で対策も打てませんが、肝に銘じておきます。」

 玲那斗の言葉にイベリスも頷いた。

「2人ともご苦労だったな。報告のおかげで当初の目的である異常再生現象についてはほぼ理由を突き止めることは出来た。どう報告すれば良いのか悩むところだが…とにかく今日のミーティングはこれくらいにしておこう。この件については深く考え過ぎるのは良くない。これはもはや通常の調査から逸脱した案件だ。 “いつものように” な。とりあえず今夜は調査のことは頭から離してゆっくり休むべきだろう。」ジョシュアが言う。

「善処します。」なかなかそうもいかないという表情をしながら玲那斗は返事をした。

「では、そろそろ夕食にしよう。今日は俺が用意するからお前達はゆっくり待っていてくれ。」ジョシュアが席を立ちあがりながら言う。

「おっ、隊長の手料理は久しぶりですね。何を作るんですか?」

「出来上がってからのお楽しみだ。俺はお前達のように凝ったものは作れないからな。素材の味を活かしたスープでも作ろうと思う。あとは鶏肉料理だな。脂っこくないやつ。」

「楽しみね。」先程まで浮かない表情をしていたイベリスも今出来得る限りの笑顔を湛えて言う。

「そうだな。」彼女の表情を見ながら玲那斗は言った。その後、視線を小さな窓に向ける。


 アンジェリカ。ミクロネシアの地で出会った時とは何かが違うような印象を覚えた彼女のことを玲那斗は思い返す。

 そして思う。この地に滞在する間に、おそらくもう一度は彼女と直接話をする機会が訪れるだろう。その時にどう話すべきなのか。そもそもあの子の目的は何なのか。

 椅子の背もたれに寄りかかり遠くをぼんやりと見つめながら、午前から継続している考えごとに玲那斗は再び思考を巡らせた。


                 * * *


 午後7時を回った頃、ジェイソンとアルビジアはいつものようにテーブルを囲んで夕食の時間を楽しんでいた。

 とはいえ、2人にとって楽しむとはお喋りを楽しんだりといった賑やかなものではなく、ただそこにある時間を大切に想いながら噛み締める楽しさというものであることに変わりはない。

 リビングの壁掛け時計から聞こえる秒針の音と食器のぶつかる音だけが部屋に響く。

 今日の食事メニューは近所の魚屋で仕入れたサーモンを使ったバターホイル焼きとクリームスープ、それにパンというものだ。

 何を思ったのか、海を眺めに行っていたアルビジアが唐突に買ってきたサーモンを使ったホイル焼きは野菜とよく調和がとれていて味わい深い。身は柔らかく、バターの風味も相まって口に含んだ瞬間にとても穏やかな気持ちになれるような優しい味わいだ。


 静かな食卓の中、ジェイソンは今日の午前中に自宅へやってきた財団の老紳士のことを思い出す。

 サミュエル・ウォーレンと名乗った財団当主付きの執事である彼は、ダストデビルの調査の為この周辺住民へ話を聞いて回っていると言った。だが、やはりどう考えても体の良い嘘だろう。明らかにアルビジアの様子を探りにきたはずだ。

 財団を取り仕切るあの若い当主へ報告した後にどのような対応をとるのかは分からない。しかし、目的がアルビジアであるならば近日中にさらに詳しい話を聞くために再びこの場所を訪れるに違いない。早ければ明日にでも。

 話せるうちに話さなければ “次の機会” などというものは訪れないかもしれない。

 ジェイソンは食事中というタイミングではあるが、アルビジアへ伝えるべきことを伝える為に言った。


「アルビジア。今から私が言うことをよく聞くんだ。」

 食事の手を止めたアルビジアはきょとんとした表情でジェイソンを見つめる。ジェイソンは胸元に忍ばせた一通の手紙を取り出し、それをアルビジアへ差し出して言った。

「ここに一通の手紙がある。もし仮に、仮にだ。私がここを長く留守にするような出来事が起きたならば、その手紙を読んで書かれた通りに行動するんだ。」

 その言葉にアルビジアは何か思うことがあったのか、珍しく視線を外し俯いた。

「昨日も言ったが、いつそんな時が訪れるかもしれない。明日かもしれない。だから伝えられる内に伝えようと思う。その手紙はいざというとき、きっとお前を助けてくれるはずだ。」

 アルビジアは視線を上げず、俯いたままで一言返事をした。

「分かりました。」

「良い子だ。」ジェイソンはそう言ってアルビジアに微笑みかける。


 もしかすると彼女には心当たりがあって、これから何が起きるのかもおおよそ見当がついているのかもしれない。

 ぼうっとしているように見えて勘が鋭い子だ。研ぎ澄まされたような独特の感性と直感を兼ね備えている。

 自分が気付かないような細かく小さいことまでよく気付く彼女にはきっと分かっているのだろう。


 ジェイソンは手紙を彼女に手渡せたことに安堵した。

 きっと彼らなら、何があったとしても彼女のことを守ってくれるだろう。そして何があったとしても彼女の味方をしてくれるはずだ。

 数日前にマーケットで出会った4人組の姿を思い浮かべながらジェイソンは心の中で念じた。

『頼んだぞ。』



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