第8話 君のみぞが知る、総ての不都合な塊を
時間軸をほんの少し
「ふぅむ……案外あちら側からの
「ミカエルはいずれこうした事態になるであろうことを予期していたと?」
「“予期”……までは言い過ぎだよ。 まあ先頃撃滅させたルキフグス達も、それなりの実力はあった。
恥ずかしい話だがニュクスからの漏洩がなければ、もっと厳しい戦況となっていたに違いないだろうね。」
「あの者がよもや『埋伏』となろうとは―――……」
「しかし肝心なのは、私達は
一体彼の者達は何者なのでしょう。」
「(……)これは―――私自身聞いた話でしかないから、まあ“話し半分”として聞いてくれ。
どうやら彼の者達は「ある目的の為」に
「“ある目的”―――? 漠然としたモノでしょうか?」
「ふむ……ここはやはり、はっきりとした事を述べておくべきか―――その“目的”とは、『魔王抹殺』だよ。」
「魔王様を―――?! なんと大逸れた……」
「しかしそれは―――……」
「ああ、そう言う事だ。 明らかに
「それは勿論―――確か5000年よりも以上も前に、別の世界から追われてきた『ルシフェル』なる存在が、この世界に到達したからだ―――と……。
そしてその存在こそが『初代魔王』にして、我ら天使と程よく似た外観をしていたから、我ら『天使の祖』とも。」
「(……)これは、ボクの推測でしかないのだが、その『ルシフェル』なる存在が追われてきた“別世界”というのが……」
「まさかラプラス共の世界―――で、あると??」
「そうだ―――しかし、5000年以上前の事は知り様がない。
何故なら
ウリエルが所属する『神人』では、エヴァグリムが滅亡したそもそもの原因―――『勇者』と『賢者』の実態について協議がなされていたのです。
そこで―――ミカエルがどこからその情報を仕入れたのか、『聞いた話』を話し出したのです。
そう……『勇者』『賢者』と言った者達が、“ある目的のため”にと意図して
そしてその“目的”こそ―――『魔王抹殺』……
しかも今回はグリマーも狙われた……
つまり、前回の侵略戦の失敗の原因を突き止めた―――?
それと、ほぼ同じタイミングで
そんなことは、天使族に産まれてきたからには、どうしても避けては通れない
けれど、そんな自分達でも5000年よりも以前の事を知りはしない―――
魔界に生を受け―――天使族として産まれ―――この世界に住んできたモノなのに……
そう……5000年―――その時間と同等の時間を紡いできた“
だからか―――……
* * * * * * * * * *
「少し―――お邪魔をしてよろしいかな。」
「なんだ……“友”か―――どうしたのだね。」
「また昔話を聞きたくなってね―――だからこうして訪ねてきた。
それにボクには“権利”がある―――いや、正確にはボク達は……かな。
だからどうか教えてほしい―――“真実”を……」
「なぜ……知りたい―――不都合の塊を……。」
「それを知らなければ始まらない―――からだ、始まらなければ、進めようがない。
だからどうか教えてほしい―――……」
もう―――ここに頼るしか外はなかった。
今現在をして5350年を生きる魔界の最古老ジィルガ。
この人物がこの世に
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
事は……10000年も前に
そのルシフェルなる者も、元は
しかしながら元いた次元から追放されてしまった―――……
その“無念”“怒り”“憎しみ”“怨み”などが
なぜか―――その語り部自身は、自身が紡いできた時間……それ以前の事まで知っていた。
ジィルガは現在5350歳―――しかしそれ以前……10000年も前の事をなぜ知っていたのか、知り得ることが出来ていたのか……
彼の天使ルシフェルが魔界へ追放されてきたのが10000年前……
負の感情が蔓延し、悪魔へと
“そこ”から更に3650年の歳月が経ち―――ワレが生誕した……
そう言う事だ……ワレこそは『初代魔王ルシファ-』の実子が一人。
気付いたかね?この魔界に生きる誰しもが皆、『初代大天使長ルシファー』『初代魔王ルシフェル』の“末裔”だと言えるのだよ。
意外とも思える機会をして、知ってしまった……『天使族』と『悪魔族』の成り立ち―――それにしても深く知れば知るほどにまた別の疑問が噴出して来る。
「待ってくれ? だとしたら『聖霊』は? あの者達は……」
「元々『聖霊』は、この魔界土着の生命体であった。
天使が悪魔として
ミカエルよ……
だがそれは甚だ見当違いとも言える。
そう……ワレらは、性別は“無”なのではない―――『雌雄同体』……『両性具有』ですらあるのだ。
その必要性に迫られれば眷属を増やす事も可能―――だが……新たなる生命を産み出す
ワレの父祖であるルシファーも
それは
「でっ―――では、今多くの眷属の補填を行っている女媧は……いずれ消える
「いや……あの者は、『聖霊』に所属する種の、責任ある立場の者を100産み出した時点でその危険性に気付いたようでな。 現在ではそのペースは抑えているようだ。」
* * * * * * * * * *
こうして、これまでの経緯とこれからの経緯を話し終え、ここに『神人』と『昂魔』の協合は成りました。
そして―――……
「ミカエル―――お戻りで。」
「ああ……ただいま―――」
「そのご様子から察するに、あまり面白くない事でも?」
「ああ―――
全く……どうしてこうも“真実”ってヤツは、不都合な塊だらけなんだろうか―――だが、この“真実”は知らなければならなかった……。
エデンへと戻り、これからの指針を話し合う四大熾天使達。
その中で明らかなる異変を感じるウリエル達が。
普段は“ボク”という一人称を使っていたのが、いつしか“私”に変じてしまっていた―――それは、その者が持つ属性“火”が
その“火”は……一度
極限まで“盛”った後は、
つづく
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