5話/探索編①:はじめてのぼうけん

〇遺跡の入り口を調べよう!

GM:アルマスから言われたとおりの方角へ向かうと、道中に危険はなく、事前情報通り3日ほどで遺跡の入り口を見つけた。遺跡は、越えてきた月日のせいか山肌に埋もれていて、入り口付近だけが露出している。


 ここでGMはスタートセットの中から一枚の厚紙で出来たタイルを取り出し、テーブルの上に配置した。

 鬱蒼とした森の中に、獣道のように草木が剥げて土が剝き出しになった道が一本通っている。その道は、一つの洞穴に続いている。

 そんな絵が印刷されたタイルだ。


GM:これが本作の特徴で、マップタイルです。シナリオの進捗に応じてこのマップが増えていきます。


カイル:良く出来てる。


GM:そしてこれがパーティの位置を示すパーティ駒です。本作では、基本的にダンジョン内での個別行動は不可です。まあ、皆慣れてないしね。


一同:オッケー。


エッシェン:ロールプレイするー? 到着時のー。俺してもええでー。いつでもウェルカムやで――アー! 着いたでちー! いやーカイル君のおかげで快適な旅でちたねー。ありがとうでちよカイル君! つってカイル君の頭をてちてち叩きます。


 もはやロールプレイしたい欲が発言中に抑えられなくなって放っておいても良い空気吸い始めているエッシェンPL。手間のかからない子だわ……。


スヴェン:カイル君の足腰が気になる。


カイル:筋力はありますよ。


GM:家族の面倒を見てるから慣れてるかもしれない。


カイル:可愛い妹が二人いますから。


エッシェン:まあ弟が出来たと思って可愛がってくれでち。と言っててちてち叩きます。


イーリス:カイル、嫌なものは嫌だと言っていいんだぞ?


 優しいカイルは、態度の大きい毛玉にもパーティ内で唯一穏やかに接しているのであった。


GM:では判定なしで目につく情報を描写します。遺跡の入り口の幅は人間2人ぶんほど、高さは3mほどあります。具体的にはこう。


●入口

 扉はない(穴が空いているだけだ)が、奥は暗くて、中に入ってみないことにはよく見えそうにない。


●足跡

 入口へ向けて、足跡がいくつか続いていることに気付ける。ほとんどがゴブリンの足跡だが、それだけではないような?


●石板

 入口の手前、右手に石板がある。なにかが彫られている。近付いてみれば読めるかもしれない。


カイル:なるほどなるほど……(必死に情報をメモしている)。


エッシェン:皆ぁ、気付いたことを言うでち。僕はないでち。


イーリス:いやいや。


GM:探索に関係する能力が高いのは、カイル、スヴェンの二人だね。あとは、この周囲に敵がいないのかを探ることも出来るよ。


カイル:じゃあ折角なので。


スヴェン:俺もやろう。


GM:では探索判定(観察)での判定になります。判定パッケージの「観察」にある数値を2dに加算出来るよ。


ヴェロニカ:判定パッケージ全部ゼロですわ。


エッシェン:ゼロでも振れることは振れる?


GM:もちろん。ただしその場合は平目と言って、2dの出目だけで勝負することになるよ。では、カイルどうぞ。


カイル:はい!(ころころ)


ヴェロニカ:ダイスの転がし方も優しい。


カイル:合計すると12!


GM:一方スヴェンは気付けたかな?


スヴェン:(ころころ)合計8。


GM:その達成値であれば……二人共気付きます。間違いなく、敵はこの周辺にはいない。アルマスの言葉通り、ゴブリン達はまさか襲われるとは思っていないのだろう。


スヴェン:ここは大丈夫そうだな。


カイル:敵はいないみたいですね。


エッシェン:へー。


スヴェン:どうする?


イーリス:そこの石板はいったい何が書いてあるんだ?


GM:ではそこも調べましょうか。ここは文献判定(知識)です。「知識」持ってる人が判定すると良いでしょう。


エッシェン:誰か! 読める人はいないでちか? 知識がある人はいないでちかー!?(わざとらしく周囲を見回し始める)


カイル:でちさん。


スヴェン:でち公早くやれ。


エッシェン:ええー? 誰もわからないんでちか? 仕方ないでちねえ!


GM:それがやりたかったのね。


エッシェン:そう(地声)。


GM:満足したところでダイスロールしてください。


エッシェン:(ころころ)合計は14でち。


GM:文字がかすれていてほとんど読めないが、以下の文字だけは読み取れた。


“はるか古 神の時代

 争いありて 皆逃げ惑う

 ここは ■の落ちた地”


「ここは」と「の落ちた地」の間にはなにか単語が入りそうだが、今の時点ではわからない。

 なお、この文字は「交易共通語」なのでPC全員が理解できる。


ヴェロニカ:スター〇ォーズ?


エッシェン:ライトセ〇バーが飛び交ってた時代か。


ヴェロニカ:カイ〇・レンのやつ欲しい~! 十字になってんのめっちゃカッコイイ~!


カイル:最近EP7とEP8観たわ。


 しばし映画談議で脱線するPL達。

 ほどなくして、彼らは碑文の考察を始める。


エッシェン:カイルここに落ちたでちか?


カイル:そのフリよくわからない。


GM:ちなみに書いてある文章は「交易共通語」なので皆読めます。他にもキャラクターごとに読めたり話せたりする言語は違ってきますよ。


ヴェロニカ:本当だ、交易共通語以外にドワーフ語がある。


エッシェン:蛮族の言葉もあるんでちね。


イーリス:交易共通語……ブルライト語……魔法文明語。


カイル:ブゥルゥライト語(巻き舌気味に)が使える。


GM:セージ技能がある人は、セージ1レベル上げるごとに好きな会話か読文を習得できるよ。


エッシェン:本当だ。


カイル:でちさんめっちゃ言語持ってるやん。


イーリス:どれどれ……汎用蛮族語もある。


エッシェン:蛮族の会話が聴けるみたいでち。


GM:そうなんです。だから「ちょっと偵察行ってきて」って言われるかもしれない。


エッシェン:嫌でち。僕一人では嫌でち。何かあったらスヴェンが一緒に行くでち。


カイル:このでち君が唯一の知識枠……。


 GMもあとになって気付いたが、エッシェンが使える汎用蛮族語は正確には読文のみである。つまりはリーディングとライティングのみで、ヒアリングやスピーキングには対応出来ないのだ。

 このように、ちゃんとその時に確認していないと大変なことになるので注意が必要だ。


GM:特に現時点でこれ以上石板からは情報も出なさそうだし、他のものを調べるかい?


スヴェン:足跡は?


GM:足跡を調べる場合は、足跡追跡判定(観察)になります。


カイル:(ころころ)11。


スヴェン:(ころころ)10。


GM:二人共見つけることが出来ました。君達は、ゴブリンよりも二回り大きく、人間よりも一回り大きい、蛮族らしき足跡を1種類見つけた。しかし、足跡の保存状態は良くなく、「魔物知識判定」を出来るほどの情報ではない。ひとまず仲間に報告するといいだろう。


カイル:蛮族の足跡がありましたよ。


エッシェン:どんな足跡でちか?


スヴェン:ゴブリンよりでっけえ。


カイル:だいぶ大きな蛮族っぽいですね。でちさん知らないですか?


ヴェロニカ:あなたなんて丸呑みですわ。


エッシェン:ちょっと……そんな化け物と戦いたくないんでちけど? 行くでちか? それでも皆行くでちか? 行くんでちか?


カイル:行かないと報酬が!


イーリス:君はなんで冒険者になったんだい?


スヴェン:とりあえず今のところ周辺にはいないから中に入ろう。


GM:寝込みを襲えるかもしれないしネ!


〇いざダンジョン訪問!

スヴェン:暗そうだから灯り点けたらいいのか?


GM:そうですね、皆さん冒険者セットをお持ちなのでたいまつがありますね。――じゃあ次のタイルを配置します。こんな風に絵が繋がるんですよ。


 そう言ってタイル同士を並べる。最初のタイルは四角形だったが、今度のタイルは逆三角形に切り取られている。その下端部が最初のタイル上面の絵に繋がった。


一同:おお~。


GM:さらにもう一つ視界に入るタイルを配置。これはさらに奥側に配置します。


 今度は正五角形のタイル下端を逆三角形タイルの上面に添わせる。


GM:配置した順に、入り口を1-1、入ってすぐのマップを1-2、その次を1-3としましょう。


イーリス:1-3にある絵は扉?


GM:そうですね。では描写いってみましょう。


GM:入ってみると薄暗い。こういう、視界の悪い場所では、ほぼすべての「行為判定」に「-4」の修正を受けてしまうぞ。種族特徴[暗視]を持っていると、これを免れる。種族特徴とは、各種族が持っている特徴のことだ。さあ、ここでギルド登録証の裏面を見て、それぞれの種族特徴を紹介してみよう。


一同:はーい。


●カイル

[剣の加護/運命変転] 1日1回限定。2dしたとき、サイコロを2個まとめてひっくり返す。これにより出目をよくできる(1ゾロをひっくり返すと6ゾロ!)。


●イーリス

[異貌] 角が太く大きなものとなり、肌が青く染まる。魔法を使用する際、呪文を唱える必要がなくなる。さらに、重い鎧による、魔法行使判定へのペナルティ修正も無視できる。

[弱点(銀&水・氷属性)] それぞれの属性で傷を受けると、2点余分にダメージを受けてしまう(デメリット)。


●ヴェロニカ

[暗視] 暗いところでも正常に見える。

[剣の加護/炎身] 炎による不利益を拒絶できる。


●エッシェン

[第六感] 危険感知判定を行う際、「冒険者レベル+知力ボーナス」を基準値にできる。


●スヴェン

[獣変貌] 変貌と変貌状態を好きに使い分ける。変貌すると永続的に攻撃時のダメージ「+2」。「筋力ボーナス」を使う判定も「+2」。さらに[暗視]も得る。ただし、「ガウガウ」と獣風の言葉(リカント語)しか喋れなくなる(デメリットは特定言語での魔法の詠唱が出来なくなることだけで、仲間との連携はアイコンタクトなどで出来る)。戦闘中に獣変貌するには1手番かかるので、可能なら戦闘前に使っておくと得。


GM:というわけで、ヴェロニカと、獣変貌すればスヴェンも[暗視]があるので問題なく見ることが出来ます。


ヴェロニカ:見える、見えるわ!


スヴェン:じゃあ獣変貌するかぁ。


エッシェン:ロールプレイ入れて良い? あー何も見えないでち。見え辛いでち。誰かぁ、見え易い人いるでちかぁ?


スヴェン:ガウ、ガウガウガウ。


エッシェン:ピュアでちか!?


一同:(笑)


エッシェン:見えないでち。誰か目が見える人いないでちか?(チラッチラッ)


イーリス:え? たいまつ点けて入ってるものだと思ってた。


エッシェン:俺ただのアホやんけ(素)。


GM:たいまつ組は片手が塞がります。


スヴェン:じゃあ俺は点けずに行っていいのか。


ヴェロニカ:じゃあ私も両手空いてるのか。


イーリス:私がここでライトの呪文をかけてもいいが……MPが勿体ないかな。


 ライトというのは、対象に光を灯す真語魔法の呪文だ。特に鞘のある剣を持っている場合、刀身に魔法を掛けると大変便利だ。光で敵に気取られたくないときは、鞘の中に剣を納めて光を隠せるのだ。

 しかしまだ探索は始まったばかりで、敵の総数も分かっていない。MPを温存したくなるイーリスの気持ちも当然理解できる。


GM:たいまつもしくは暗視で視線が通ったので、部屋の中の描写をします。以下の様子です。


・壁も床も天井も、砂を塗り固めて作られたような材質だ。

・足跡は部屋の北東に何歩か伸びているが、途中で泥が落ちてしまい、あとを追えなくなっている。

・西に、砂の扉があり、すでに少し開いている。

・扉の近くに、ひとつまみサイズの鈴が落ちている。アルマスがつけていた鈴と似ているので、村から奪ってきた衣装の一部かもしれない。


GM:君達はどうする?


エッシェン:あんなところになんか落ちてるでち。なんか落ちてるでちよヴェロニカ。


ヴェロニカ:は?


エッシェン:あとなんかおちてるでちよスヴェン。


スヴェン:ガウガウ。


エッシェン:あそこに……何か落ちてるでちよ。スヴェンとヴェロニカ。


スヴェン:じゃあ身振り手振りでエッシェンに。ガウ(エッシェンを指差す)、ガウ(鈴を指差す)。


GM:「お前、行け」


エッシェン:そんな対応されたらエッシェンはなあ……。「僕の筋力は9しかないでち。これがどういう意味かわかるでちね?」と言いつつ……鈴に向かいます。


GM:近付いてみると、やはりアルマスの衣装の一部のように見える。拾っていける。商品としての価値はない。


エッシェン:鈴でちね。誰か要るでちか? 要らないでちか? 本当に要らないでちか? 誰が持つでちか? 僕持ちたくないでち。


 念のため断っておくが、ソード・ワールド2.5にアイテムの重量制限システムは存在しない。

 軽戦士(フェンサー)は装備の筋力制限があったりするものの、少なくともエッシェンの荷物持ちたくないムーヴはただのロールプレイである。


スヴェン:じゃあ持っておくか。ガウガウ。


ヴェロニカ:…………。


イーリス:ヴェロニカのエッシェンを見る目よ。


エッシェン:今回はこういうキャラだから!


スヴェン:ちなみに鈴を調べて何かわかる?


GM:先程出た情報が全てかな。ただ、落ちていた状況から、目の前の扉の先に……という推測は出来るかな。


イーリス:扉は砂?


GM:砂っぽい材質について調べるのであれば、見識判定(知識)。


イーリス・カイル:エッシェン。


エッシェン:皆の方をチラッと見ます。


イーリス:皆エッシェンの方見てるから。


エッシェン:仕方ないでちねー! 博識の僕にかかれば、こんなのちょちょいのちょいでちよ(ころころ)。12ですね。


GM:普通の砂ではないと感じます。しかしまだ今一つわかりません。


エッシェン:今一つよくわかんないでち。


一同:(笑)


イーリス:魔法が掛けられているかを見るとか? 私がセンス・マジックの呪文を使えば、対象に魔法が掛けられているか否かが分かるから。ただ、その効果はわからないけど。


ヴェロニカ:あるかないかだけ分かるのね。


エッシェン:いいんじゃないでちか? 早く使うでち。


イーリス:じゃあMPを減らして(ころころ)発動した。


GM:魔法が掛けられている、というのは確かなようです。ただの洞窟ではない、ようだ。


エッシェン:イーリス、どうだったでちか? どんな魔法が掛かっていたでちか?


イーリス:さっき説明したが、魔法が掛けられているか否かがわかる呪文だ。


エッシェン:そうでちか。


GM:でち公コイツ……。


スヴェン:GM、扉の向こうに蛮族がいるか調べたいんだけど、聞き耳判定とか?


GM:既に扉がうっすら空いているので、まず描写を。


GM:砂を塗り固めたような扉だ。すでに開いていて、罠はない。ただ、部屋の奥の方でくちゃくちゃと、ものを食べているような音がする。


GM:より詳しく調べる場合は、扉からこっそり覗き込む形になるかな。隠密判定(運動)になるよ。スカウト組、いってみようか。


ヴェロニカ:…………。


エッシェン:悲しみを背負っている人がいるでち。


ヴェロニカ:全部ゼロだから……。


 この時悲しみを背負ったヴェロニカのPLが後日作ったキャラクターは、スカウト技能を習得していたのであった。


イーリス:私もゼロだぞ。


ヴェロニカ:そうなの?


GM:ある程度キャラクター同士で棲み分け出来るような組み合わせだよ。


●カイル :武器戦闘◎ ダンジョン探索〇 魔法×

●イーリス :武器戦闘〇 ダンジョン探索× 魔法◎

●ヴェロニカ :武器戦闘〇 ダンジョン探索× 魔法◎

●エッシェン :武器戦闘× ダンジョン探索〇 魔法◎

●スヴェン :武器戦闘〇 ダンジョン探索◎ 魔法×


カイル:(ころころ)9。


スヴェン:(ころころ)12。


GM:では二人共音を立てずに様子を伺えました。


 GMはコンポーネント置き場から新たな三角形のタイル1-4を取り出す。五角形の1-3の左下側に繋ぐ。


GM:食料置き場だろうか。一段下がった床に食べ物が散乱し、腐敗臭の漂う部屋だ。ゴブリン1体があぐらをかいて、村から奪ってきただろう保存食の肉を食べている。


GM:ゴブリンの脇では、食料用に連れてこられたのだろうか、痛めつけられた白い犬が疲弊しきったようにうつ伏せになっている。


一同:犬……!


GM:赤い首輪が鎖に繋がれ、鎖の先は、部屋の床にささった杭に繋がれている。アルマスから聞いた飼い犬の特徴と一致する。ピュアで間違いないだろう。


GM:北には、やはり砂製の扉があるが、今度は閉まっている。


スヴェン:獣変貌ってすぐ戻れるん?


GM:戦闘中ではないから厳密に管理しないよ。なのでシュッと中見てパッと戻れる(関西人特有の擬音表現)。


スヴェン:じゃあ一旦人の顔に戻ってエッシェンのところに行って「交渉材料生きてた」と耳打ちします。


エッシェン:ニタァと笑います。ホントでちかスヴェェェェン……よくやったでち(悪い顔)。


GM:他に何か調べるかい?


スヴェン:今いる部屋に何か隠されていないか部屋全体を見て回るとか?


GM:その場合は、探索判定(観察)だね。


スヴェン:じゃあもう一度狼顔に戻りまーす。カイルも手伝ってくれ。


カイル:(ころころ)12。


スヴェン:(ころころ)10。


GM:では二人共気付けました。東の砂壁に押すと開く隠し扉があることに。鍵は掛かっておらず、罠も仕掛けられていないようである。


イーリス:どっちから行くべきだ?


カイル:ゴブリンから殴る?


エッシェン:さあ皆、相談タイムでち。どうするでちか?


イーリス:1-4の部屋の奥に扉があることは分かっているんだよな?


GM:そうですね、そちらに部屋があるだろうことは分かります。ただ扉は閉まっている。


イーリス:隠し扉も中は見えない、と。


エッシェン:皆意見を出し合うでち。


イーリス:ゴブリン倒してから隠し扉調べる?


スヴェン:うん、ゴブリン倒してからかな。


カイル:ゴブリン倒してからの方がいいと思います。


スヴェン:ちなみに隠し扉の奥に聞き耳判定は可能?


GM:いいよ! 観察です。


スヴェン:(ころころ)9!


GM:特に物音は聞こえないですね。


スヴェン:ふぅん。……また人の顔に戻るか。かくかくしかじか。


エッシェン:いい情報でちね。


イーリス:ということはこっちに衣類を置いている可能性があるってこと?


エッシェン:かもしれないでち。


 スヴェンの慎重さで挟み撃ちの可能性を潰した一行。向かう先はもはや一つだ。


スヴェン:とりあえず〆るか、ゴブリン。


エッシェン:いいでちか、皆。


カイル:ちなみにエッシェンの[第六感]の使いどころはあるの?


エッシェン:あれでしょ? 敵から襲われそうになったときでしょ?


イーリス:敵が奇襲を仕掛けてきたときとか。


GM:だいたいGMが「危険感知判定して下さい」って言うので、キャラクターが主体的に判定することはないかな。


エッシェン:それじゃあ皆いいでちか? ヴェロニカもカイルも。スヴェンもいいでちか? イーリスもいいでちか? ゴブリンをシバき上げるでいいでちか?


ヴェロニカ:血祭りに上げて差し上げますわ。


エッシェン:血気盛んでちね。


イーリス:君後衛だろ?


GM:ちなみに皆はどんなふうに攻め込みたい?


カイル:先制取りたい。


スヴェン:確実に先制取りたいな。


ヴェロニカ:隙間から矢だけ打ち込めないかな。敵が全部で何体いるのかわからんけど。


イーリス:扉の向こうが分からないからなあ。……じゃあ1-4の部屋に今いる1体をこっちの1-3の部屋に誘い込んだらいいのか。


エッシェン:でもイッヌがおるから。


イーリス:それでいうとこちらの部屋から攻撃すると犬に攻撃が当たる可能性がある。


ヴェロニカ:あたしは絶対誤射しない(ターゲッティング持ち)。


イーリス:私は遠隔攻撃は魔法しかないんだが、ターゲッティングが無いから誤射してしまう可能性があるんだ。


エッシェン:僕も攻撃魔法は範囲攻撃なので巻き込んでしまうでち。


GM:となるとおびき寄せる作戦かな?


一同:はい。


GM:であれば特に判定は要らないですね。気を引く物を扉から見せるといいでしょう。


スヴェン:じゃあさっき拾った鈴を鳴らそう。


GM:おっ、いいですねえ。


イーリス:……私酷いこと考えてた。エッシェンをふらふらさせたら来るんじゃないかって。


ヴェロニカ:餌ですわよ。


スヴェン:チリンチリン。


GM:そうするとゴブリンは「なんやなんや?」とやって来ますね。


スヴェン:ガウガウ(獣変貌しておくの意)。


GM:ではゴブリンがこちらの部屋にやってくるので、戦闘開始です。


一同:YEAH――――――――!


GM:その前に一旦休憩しつつデザート注文しましょうか。


 昼過ぎから始めたセッションも、この時既に3時を回っていた。待ちに待った戦闘に、PL達のテンションは最高潮だ!

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