第51話白ブチ猫、具合が悪くなる

51,白ブチ猫、具合が悪くなる。


ところが夏になったら白ブチ猫の食欲がめっきり落ちて来た。


この年は異常な暑さで、連日三〇度を越していたので暑すぎて


食欲がないのだろうと思っていた。


モモ子の方の食欲は落ちなかったが大好きな車に乗ってのおでかけなのに


始終吠えていた。


暑くて車に乗っていられないのだと推察していた。


白ブチ猫は今まで食べていた煮干しもいらないとわがままを言いだした。


手に取って一匹ずつあげると食べる。


だがこれも日を追うごとに食べなくなる。


そこで私は店からせっせと小魚の骨やマグロの血合いを焼いたもの、


イワシの中骨を焼いた物を運んで来た。


これは喜んで食べた。


時には催促しながら欲しがるので夏バテで食欲がなかったのだと思っていた。


が、九月に入ると痩せて来た。


上から見るとお腹の厚みが半分になっている。


どこか具合が悪いのだろうか。


ただの夏バテではなさそうである。


ともかく体力をつけさせようと色々手を変え品を変え食べさせる。


最初は喜んで食べたものも数日すると見向きもしなくなる。


牛乳もあまり喜ばなくなる。


散歩はいつもと同じように出るし帰りもいつものように帰って来るのだが


痩せ方が尋常ではない。


九月一五日、今日は特別おかしい。


このところ食べなくなって痩せてガリガリになっていたのだが


外へもあまり出なくなっていた。


今日は朝ごはんも食べようとはせずに外へ出たいと


玄関のドアをカリカリする。


ドアを開けて出すと外には行かず玄関先に横になっている。


私が車で帰って来ると車までは迎えに来てくれるのだが


家の中に入ろうとはしない。


中に入れても牛乳も煮干しも受け付けない。


外へ出たい素振りをするのでだしてやる。


仕事に出かけようとドアを開けると脇に置いてあるダンボールに


下半身を入れて上半身を外に出して伸びている。


ランチの営業をして戻って来ても門扉の所に座っていて動かない。


抱き上げて中に入るが以上に軽い。


早速、店から持ってきた魚を上げるが見向きもしない。


牛乳も人なめしただけで終わり。


魚肉ソーセージをちぎってあげるが口の中に入れても出してしまう。


座布団の上に寝ていたと思ったらお尻をずり落ちている。


何をしているのかと思ってみるとおしっこをしたらしい。


雑巾を出して拭くと色が黄色い。


身体のわりに量が多い。


失禁したのかと思って急に心配になる。


ふとジーコの事を思いだして心配でいても立ってもいられなくなる。


ジーコはモモ子にとってはおじさんに当たる犬であったが、


やはり具合が悪くなって最後は失禁していた。




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