第36話ニャンコとニャオちゃんの違い

36,ニャンコとニャオちゃんの違い


前のニャンコちゃんにしても今のニャオちゃんにしても


こうして後を付いてくるのはなんなのだろう。


猫の習性にしては他の犬と猫でこういうことがあったとは


あまり聞いたことが無い。


見た事もない。


特殊な行為なのだろうが偶然、家に居付いた野良猫が二代ともこうして


後を追って来るというのは珍しい事なのだろう。


迷惑に思っているのはモモ子だけであり私は少しばかり気をよくしていた。


被害をこうむっているモモ子は時折すねる事があった。


猫が付いてくるために散歩コースを変更されたり短くなってしまう事があるからだ。


それに家の中に入ってからも、居場所を占領され始めている。


いつの間にかニャオちゃんは家の中をねぐらにして一緒に寝るようになっていた。


でも、夜中の散歩を終えて餌も食べて一緒のベッドに入っても


少しするとベッド脇サッシの窓を開けて出て行ってしまう。


夜の会合に出席するのだろう。


これでは何のために家の中に入れたのかわからない。


数時間が経つとニャオニャオ言いながら戻ってきたことを知らせてから


枕の隣、つまりは私の鼻先に横になる。臭い。


その獣の臭いで私は目が覚める。


猫は可愛いのだがこの獣の臭いは我慢できない。


前のニャンコちゃんも臭かったがニャオちゃんは雄のせいか臭いを強く感じる。


ゴールデンレトリバーのモモ子の方が身体は何倍も大きいのにほとんど臭わない。


ニャオちゃんは朝方、私が起きる前にもう一度ベッドを抜け出して


外へ出かけるのが日課である。


たぶん、外に置いてある餌袋の餌を食べ


ついでに排泄もしてくるのだろうと思う。


ニャオちゃんはニャンコちゃんと違って二階から出入りできるので


私は自分の出入りの時に猫の事を気にしなくて済んだ。


ニャンコちゃんの時は二階から屋根には出たものの


下へ飛び降りることができないで困っていた。


家に入りたいときは庭で待つしかなかった。


一度家の中に入ると私が戻って来るまで外へ出られないという不自由さがあった。


ニャオちゃんの方は野良修行の期間が長かったのか性格の違いのせいかわからないが


外にいる時の警戒心は強く、踏切を渡る時は危ないので


抱っこしたいのだが外では身体に触れさせない。


その代わりに敏捷であり、きちんと車の動きを見ている。


とても危うげでいつでもハラハラさせられるがいつもぎりぎりのところで


車に轢かれないで済んでいるがいつか何分の一秒かの差で事故にあうかもしれない。


自分の事は自分でするから大丈夫とでも言いたげな凛とした姿がある。


私は毎日心配でハラハラしているというのに・・・








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