第35話二代目猫も散歩について来る。

35,二代目猫も散歩について来る。


二代目猫のニャオちゃんはモモ子との相性が悪いのかもしれない。


だとしたらどうにもならない。


私は過去にモモ子の曾曾おばさんにあたるルーシーとナンシー姉妹の


相性の悪さで経験済みである。


何度か私はこの二匹が機嫌よく過ごせるように努力したが


徒労に終わったという過去がある。


とりあえずはモモ子の機嫌を取らなくてはならない。


主役なのだから・・・


ニャオちゃんは時折、餌をもらっているお礼のつもりか


雀を捕って来て玄関先に置いてあることがあった。


私は期待した。


ニャンコちゃんのように家の中のネズミを捕ってくれるのではないだろうか。


梅雨時になるとニャオちゃんは前にもまして懐いて来た。


縁の下や二つの犬小屋、玄関の軒下、二階の物干し台の軒下など


いくらでも雨露をしのぐ場所はある。


それなのにニャオちゃんは私が仕事から戻ると


庭でびしょ濡れになって待っている。


私を見るとニャオニャオ言って玄関についてくる。


そういう時に限って玄関のドアを開けるとすぐにモモ子がニューと顔を出す。


ニャオちゃんは少し体を固くして警戒はするが前のように


逃げ出す事もなくなったし、モモ子も追わなくなった。


今は少し顔なじみになったご近所さんという雰囲気である。


6月25日の雨の日だった。


6月にしては肌寒い日であった。


夜中のモモ子の散歩の時、ニャオちゃんがニャオニャオと鳴きながら後ろからついて来た。


夜の暗がりと雨のせいでその姿は良く見えない。


踏切りを渡りながらニャオちゃんが事故にあわないかと心配しながら渡っていた。


ニャオちゃんは何とかついてくる。


ニャンコの時もそうしたがニャオちゃんに大通りや踏切を渡らないコースに


変更しようと思いモモ子を誘導するがいつもの散歩コースを変えようとしない。


モモ子はたぶん散歩を切り上げて早回りで帰るのだと


思ったのかもしれない。


結局、その日はいつものコースを歩くがニャオちゃんは


踏切から二軒先の家の車の下へ入ったまま出てこない。


ついてくるのをあきらめたのだろう。


ぐるりと散歩して戻って来ると待っていたのよ・・・とでも言うかのように


ニャオニャオ鳴いて車の下から顔を出す。


思わずモモ子の顔を見ると迷惑そう。


なんでいるのよとでも思っているのか、ずっと付いてくる猫を気にして


後ろを気にしながら散歩コースを歩く。


けして心配して振り向いているのではない。


ついて来ないでと思いながら振り向いているのだが


ニャオちゃんの方はお構いなしだ。


畑の所まで来たらついてくるのをやめて畑を斜めに横切って


先に家に戻ることが出来るのにまるで何かのルールがあるかのように


二m位の間隔を開けて付いてくる。


そして、この二m開けのルールはこの日からほぼ毎日続いた。





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