橋木研介 3

「突然呼び出してしまってすまない。もう二度と会わない、と約束したのはわかっている。だが、どうしても伝えたいことがあったんだ許してくれ」


「私は、誠を殺した。それは、いつまで経っても変わらない事実だ。何年経とうが、私が死のうが、その罪は消えない」


「だから私は、償おうと思うんだ」


「聞いてくれ。青い花がある。その花の蜜には特殊な力があってね。今はまだ、怪我を治す、だとか病気を治す、いつまで若々しくいられる、なんてことが実現可能だとされているくらいなんだが、花を利用すれば、もっとすごいことができるに違いない」


「そう。人を、生き返らせることだって」


「まだ、その方法は確立していない。だから、私がこれから研究していきたいと思っているんだ」


「あかり、みお。そのためにはお前たちの力が必要なんだ。特に、みお。誠を生き返らせるためには、お前が必要だ。お前だって、また誠と会いたいだろう?」


「どうすればいいか? 簡単だ。神様をもう一度呼び戻すんだ。みおのよく知っている人だ」


「みおの側に、神様がいるだろう? とても美しい、人形のような」


「そうだ、彼だ」


「今、青い花は何故か神様の手を離れ、また不安定な状態なんだ。きっと、神様が神様であることを忘れ、やめてしまったせいだ。また、神様を呼び戻さなくては、青い花を思う通りに扱うことはできない」


「そんなすごい神様は、学校なんていう平凡な場所にいるべきなのか。いや、もっと相応しい場所があるだろう?」


「美しいものは、美しい場所に」


「だから……できるだろう? お前は美しいものが好きなはずだ」


「私は絶対に、誠を蘇らせてみせる。悪魔に魂を売ってでも」


「神様の下にいるのだから、悪魔に魂を売るのはおかしい? いや、それで合っているんだ。私にとって、青い花の神様は神様では無い。ただのかみさまなんだ。私にとっての神様は、別にいる」


「さみしい神様なんだ。彼女は」


「傷ついて傷ついて、自分が何処にいるのか、もうわからない。とても美しいのに、醜いんだ」


「そんな彼女をかみさまに仕立て上げた神様は、悪魔だ。違いない」


「それでも、私は誠を蘇らせたい。だから頼む。私を、赦してほしい。そして、悪魔を連れておいで。みおが、1番美しいと思う、神様を」

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