夕焼けよ、君は

 寒さがすっかり板についた12月の午後5時頃は、空の端に夕焼けの一番美しいところが残っている。それが創り出す木々の影絵と空の色を楽しむのが、私はとても好きなのだ。


 しかし今日は憎き雲がちょうど夕焼け空が見える部分の大半を覆い尽くしている。寄りにもよってなんでそこ! 空気を読んで空の真ん中に寄り集まるとか、他にあるだろうに! まあいい。面積が減ったところで、夕焼けの壮大を風吹きゃ散りゆく雲が覆いきれるわけもない。


 空の端の端の端。手のひらサイズに追いやられても。夕焼けよ、君は美しい。


 好きなものの調子が悪くとも、気づかい敬い美しいと言えてこそ、愛好家ってものさ。


 Twitter300字企画第四十三回お題より……「空」(本文277文字)

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