新しければいいってものじゃ

「あ

  た

   ら

    し

     い

      小

       説

        の

         書

          き

           方

            を

             考

              え

               た

                ん

                 だ

                  け

                   ど

                    ど

                     う

                      か

                       な」



 雪花の愛用のノートパソコンには、しょうもない文章が斜めに踊っていた。


「クソ読みづらい」

「むむ……読内よみうちが珍しく冷たい。二人きりの文芸同好会なのに甘やかしてくれない」

「二人きりだからだよ」


 ド辺鄙な村にかろうじて在る中学校の、人気皆無の部活。俺はそんな小さな活動の中で作られる雪花の小説が好きだ。世辞は言いたくない。


「君が私の小説を気に入ってくれてるのは嬉しいけど、自分で書きながら自分の作風に飽きちゃって」

「にしても滑り過ぎだコレは。地道な工夫をしろ」

「了解致した」


 雪花は怪文書を消し、真剣にキーボードを打ち始める。今度はどんな物語が生まれるのだろうか。




 Twitter300字企画第四十一回お題より……「新しい」(本文300文字)

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