おおかみしょうねん

 ※軽度の虫表現注意



 可愛い襟付きの桃色ワンピース。ヒルガオのように広がるスカートに、ウジャウジャと這う何匹もの真っ青なイモムシ。


「イーモムシケームシー!」


 気持ち悪さに泣き叫ぶばかりの女の子に、男の子の意地悪な声が降り注ぐ。


「真っ白パーンツー!」


 男の子に制服のスカートをめくられて、女の子は廊下を走り去っていった。


「お前なんか嫌いだよー!」


 女の子は特に表情も変えず、言った。


「嘘」


 男の子は凍り付く。


 「私がアンタなんか大嫌いなのは、本当」


 女の子だった女は、別の男に手を取られ、ヴァージンロードを踏みしめる。女の誰かとの永遠の誓いを聞きながら、男の子だった男は泣いた。


 Twitter300字SS 第四回過去お題より……「嘘」 (本文278字)

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