第19話 機械化部隊の急襲

「えっ??」


 と、そこに一発の銃声が響く。

 

「バァ~ン!」


「ウッ!!」

 

 左腕を撃たれて倒れ込む我問。


「キャァッ! ・・・南部・・・さん?」


「・・・もう時間が無い。・・・君達だけでも逃げてください! さあ・・・、これ・・を」


 我問さんは、撃たれた左腕をかばいながらショルダーバッグから大型拳銃を取出し、私に渡す。


 その大型拳銃は見た事の無い形式で、レシーバーには日本語で「百四年式」と書かれている。


「・・・、これは私が開発した新型拳銃です・・・。スペアマガジンも3個ある・・・。君になら使える筈だ!」


 そこにもう一発の銃声が! 私達の横をかすめ、地面に当たって土煙をあげる。


 間髪あけず、大型トラックが急ブレーキをかけ、ガルウィング式に開いた左右の扉から、身の丈が人間程ある、一つ目でヘンな顔をしたロボット(オートマトン)八機が金属音を立てて降りて来るのをみて、坂井君が、


「・・・なんだか分からないけど、逃げた方が良さそうだぞ、越路!?」


 オートマトンの一体が、標準装備されたFN M249 MINIMI パラ・ストック付 5.56mm SS109弾を発射し、坂井君の足を撃ち抜く。


「うわぁっ!」


「坂井君!!」


 迫り来るオートマトン達。


「坂井君! 大丈夫?? しっかりして!!」


 だがワタシは、坂井君の流れる血を見て、急に目の色がオレンジ色に変わり、別人の様に冷徹な表情になってしまう。

 

 心の中の私が、もう一人の『ワタシ』を制しようとするが、もうすでに『私』の意識は薄れかけている。


 ワタシは、我問のショルダーバッグを肩にかけると、渡された大型拳銃を手慣れた手付きでボルトを操作し、初弾を装填すると、両手で構えて狙いを定め、オートマトンに発砲する。


「ジャキッ、ドォオンッ!」


 百四年式拳銃のマズルから.50口径銃身のライフリングを弾丸が発射され、

弾丸の周囲から加速用のサボットが花びらの様に開いて抜け落ちる。

 

 矢の様な形をした超硬タングステン製の徹甲弾の尾のフィンから小型ロケットが噴射され、回転しながらオートマトンめがけて襲いかかる。


 ワタシは大型拳銃の激しいリコイルをモノともしない。


「ガキィン!」


 弾丸はオートマトンの胸から背中を貫通し、破壊する。


 ワタシは近づく残りのオートマトン達にもひるまず、百四年式大型拳銃を続けざまに撃つ。


「ドォン! ドドォン!」


「ガキィンッ! ガガキィンッ!!」


 百四年式拳銃の徹甲弾は、オートマトンの一機どころか、隊列を組んでいた後の兵の装甲をも貫通する。


 ワタシは、倒れかかるオートマトンの肩越しにジャンプし、高く宙返りをしながら発砲して、八機のオートマトン達を全てなぎ倒す。


 すると、さらにそこにはオートマトン達を乗せた大型トラックが続々と。


 空になってホールドオープンした百四年式拳銃のマガジンを落とし、ショルダーバッグからスペアマガジンを取出して装填、ボルトを前進させて構えるワタシ。


「ガァアアアッ」


 2台目の大型トラックの扉が開き、新手のオートマトン達が出ようとしたその瞬間!


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脚注:オートマトンの設定デザイン。

https://kakuyomu.jp/users/may_2018/news/16816927860066181762

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