恋愛方程式 かっこ美少女ぷらすイケメンこっかかける寄宿制学園わる2はつきあえない事情 を解く

世界三大〇〇

美少女に主人公を代入!

 中3の2学期最終日、朝礼直後。ある男に呼び出され、屋上にいた。


「秋山、頼む。俺と付き合ってくれ」

 突然の告白に少々驚いたが、顔もファッションも趣味に合わない。

 ゴリラ顔でジャージ姿の男が告んな! 当然、きっぱりと断る。


「ごめんなさい、五里先生。こっちにその気はありませんので」

「そんなぁ。俺はもう、純なしでは生きていけないんだ」

 いつのまにかファーストネームで呼びやがって。調子に乗んな、ゴリラ!


「だったら今直ぐ、こっから飛び降りろ! 玄関先が通行止めになるように」

 玄関先は、校内で1番嫌いな場所。できれば通りたくない。

 ゴリラが飛び降りて通行止めになってくれたら一石二鳥だ。


「俺にはもう、美少女ランキング1位の純しかいない」

 肩書きで人を判断するな。1位だけど、断じて美少女じゃないから!

 あんなの新聞部が冷やかしで発表しているに過ぎない。


「告白とか、教師が生徒にすることじゃない」

「ウッホッ! そんなこと言っていいのかい、じゅんじゅん?」

 雄叫ぶな! じゅんじゅん? 虫唾が走る……。


「……」

「これが何だか分かるだろ、通知表だよ。ウッホッホーッ!」

 通知表? 今日は2学期最終日、五里は担任。万事休すか。


「くっ、教師の権力を笠に着て。汚いぞ」

 これまで何人もの男に告られてきたが、パワハラ紛いははじめて。

 だけどゴリラを相手に妥協している場合じゃない!


「じゅんじゅんがいけない。今まで散々こっちに気を持たせておいて」

 何も言えない。これまでずっとオール5だったのは、こいつのおかげ。

 だからといって、付き合うなんてできないっても。


「分かりました。オール1にでも何でもしてください」

 と、破れ被れに言い残して教室に戻った。

 背中から「ウッホーッ」という哀しい雄叫びが聞こえるけど、完全無視!


 その後も何度も告られた。OKするはずないのに玉砕覚悟か?

 長期休暇前だからって、気軽に告り過ぎだっての! きっぱりと断るのみ!

 ゴリラやサル同然の醜男相手に申し訳ないとさえ思わない。




 放課後、再び屋上。今度はこっちが告白する番。大仕事を前に深呼吸。

 相手は百合野あきら。正真正銘の美少女。ランキング第2位の1こ下。

 昨年24位からの成長株。笑顔の似合うやわらかヘアの女子。


 この2週間、あきらからは何度も好意のサインを受け取っている。

 目があったり、ボディをタッチされたり、弁当作ってもらったり!


 今までの告白で1番自信がある。美少女のあきらなら、大丈夫!

 あきらとならきっと、互いを想い合う真実の愛を求められる。

 ふられる未来なんて、ない。絶対ない。あり得ない!


 あきらが少し目を逸らす。潤んだ瞳がキラキラと輝く。

 告白シチュに気付いたのか動揺している。

 そんなあきらも堪らない。ドキドキする。


「はなしって何ですか、純先輩……」

 身体を小さくするあきら。それでも胸は大きい。絶賛成長中だ。

 ドキドキが止まらない。クリスマスには2人で写真を絶対撮る!


 身なりを整え、もう1度深く息をして、思い切って言う。


「あきらのこと、好きです。付き合ってください!」

 絶対平気! 自信あり! 上手くいく! この恋、絶対に勝つ!

 昨日、あきらの作ってくれた弁当がカツサンドだったのがその証拠。


 と、思ったが……。あきらは情けなく下を向く。


「ごめんなさい。こちらにその気はないですから……」

 へ? うそ! どうして? ふられた……。

 昨日までの2週間、うっとりした目でこっち見てたじゃん!


「そんなぁ。もう、あきらなしには生きられないのに」

「生きて! 私が死ぬ。飛び降りるから。うぇーんっ……」

 な、泣かれてしまった。


「なっ、泣くなよ。死ぬって何だよ」

 だめなのか? ランキング2位のあきらでもだめなのか?

 だったらもう、誰ともつきあえないじゃないか……。


「惨めなの。純先輩と一緒だと惨めな気持ちになるの」

「惨めって、どうして? あきらは美少女じゃないか」

 ランキング2位は伊達じゃない。隣の学校からも見物に来る輩がいるほど。


「純先輩。今のセリフ、鏡を前にして言えるの?」

「そ、それは……」

 鏡と聞いて怯んでしまった。1番嫌いなものだから。


「やっぱり言えないでしょう。それが私が付き合いたくない理由なのよ」

「そうじゃなくって、鏡を前にしたくないってことだから……」

 事実だけど、言い訳がましい。言うべきじゃなかった。


「私のこと美少女って言いながら、自分の方がかわいいーって思ってる」

「美少女言うな。か、かわいいとか、自分で言うわけないじゃん!」


「先輩のせい。一緒だと比べられる。イヤなの。2度と近付かないで!」

 と、あきらは駆け出してしまった。あきらでもだめとは……。

 だったらもう、カノジョ作りは諦めないといけないのか……。


 そんなのイヤだ。絶対にイヤ! いつかは絶対にカノジョを作りたい!




 下駄箱の前。ばたりと会ったのは、大親友の真壁ひかる。

 落ち込んだときに助けてくれるのが親友というものだ。

 しかもひかるは、新聞部発表のイケメンランキング3年連続堂々第1位!


「どうしたの、秋山」

 と、気遣ってくれる優しい声に涙が溢れた。思いっきり甘えることにした。

________________________

 この物語はイケメンと美少女の恋がテーマです。


 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

 引き続き、お楽しみください。

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