第2話 世界一のコーヒー牛乳


おばあちゃんとお話をしながら、私は言った。


「やっぱり、おじいちゃんのコーヒー牛乳ぎゅうにゅう世界一せかいいちおいしい! 」

それを聞くと、おばあちゃんはクスクスと笑い、おじいちゃんはわざとの様にすこし困(こま)ったような顔をする。


「みんなそう言ったのよ、みんな、とう子ちゃんのお兄ちゃんもお姉ちゃんも、みんな」


「コーヒーより高いコーヒー牛乳だぞ、あたりまえだ」


 小学校四年生でコーヒーが好きな子はあまりいない。私もどうしてこんな苦(にが)い飲み物が好きなのかと思う、ビールもそうだけれど。


でもコーヒーを入れるのを見るのは大好きだ。おじいちゃんが白鳥はくちょうの首みたいな口の長いポットで、ゆっくりとコーヒーの粉にお湯をそそぐと、ふわっと丸い山が出来る。そしてコーヒーのかおりがお店いっぱいに広がると、すごくしあわせな気分になる。でもこれは私が特別じゃなくて、コーヒーの香りにはそんな力があるのだそうだ、だから世界中で飲まれている。そしてコーヒー牛乳、カフェオレもそうだ。

私が飲んでいるのは、おじいちゃんのコーヒーに、特別な牛乳を入れたもの。この牛乳も色々試して「最高さいこう自分じぶんのコーヒーにあうもの見つけた」のだそうだ。コーヒー牛乳にお砂糖さとうを入れてないのに、とってもあまく感じる。

でも美味しいけれど、ちょっと牛乳の値段(ねだん)が高いので、お店ではメニューには入れていない、裏(うら)メニュー、孫(まご)メニューだ。


「本当に美味しそうに飲むのね、とう子ちゃん」


おばあちゃんもうれしそうだった。






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