第30話 追求

そこは、とても退屈な空間だった。



「——紳士淑女のみなさんには、ぜひともこの場を、交流と親交の場として活用していただき——」



豪華で豪勢な食事、お酒。

上流階級の集い。



「なにかと暗い時代だからこそ、奸智なる我々が知恵を出し合って——」



中身のない話。上っ面だけ整えた、まるで″意味のない″会話の連続。



「——我々が、新たな時代を作っていこうではありませんか。


私からは以上です。エストリア商工会議所会長、アーネスト・ワインバーグでした。」


その男が、壇上で演説を終えると。パーティ出席者から拍手が送られる。

…今まで彼の話なんて、誰も全く聞いてなかっただろうに。白々しい拍手が、彼へと送られる。



(…ほんと、こういう場所苦手…)


メアリー・ヒルはシスター・マーラからの誘いを承諾して、エストリア随一の富豪である

″ケネス・ゴールドスミス″が主催するパーティへと来ていた。

「青の教団」の病院への有力な寄付者であるゴールドスミス氏と顔を合わせるのは、シスター・マーラの「仕事」の一つだった。


「…最近は事業も調子が良くてねぇ。おたくのところはどうです?」

「はっは、いや全くうちは全然ですよ。」

「いやいやそんなことはないでしょう。おたくの貿易社、随分と儲けてると聞きますよ?」


…そこは、エストリア王国の″上流階級″が集うパーティ。


上流階級といっても、その中心は、50年前の「エストリア内戦」後、急速に財をなしていった″新興富裕層″と呼ばれる者たちだ。

彼らは金融、土地売買、食料、物流、小売、貿易などあらゆる産業で莫大な利益をあげ、巨大な財を形成していった。


そしてこのパーティには、そういった″新興富裕層″たちと密接な関係を持つ者達——貴族、学者といった者達も出席している。


「はっはっは!最近は地震が多くて困りますなぁ!私の所有する土地に、万が一のことでもあったら大変です!」


「いやいや、地震より怖いのは水災害ですよ。私のワイナリーも、災害で結構な面積がやれれましたよ!」


この場はいわば、″上流階級″の交流の場でもあった。彼らはワインを飲み、豪華な食事を嗜みながら、テーブルを移っては立ち話を続ける。まるで面白くのない会話を、人を変えて、また人を変えては——延々とそれを続けていた。


こんなものに、一体何の意味があるのだろう?

メアリーはそう思った。金持ち同士の、つまらない会話。

品のない声で、嬉々として自慢話を続ける男や、香水のにおいのきつい体臭を撒き散らす女。自分は誰々とコネがあるとか、自分語りに終始する者——


″間″を作るのが罪であるかのごとく、ひたすら会話をし続ける人々。

粗陋で荒々しい声で、″つば″をひたすら飛ばしながら話続ける人々。


メアリーに言わせれば、こんな連中がなぜ、

″上流階級″なのかよくわからない。本当の上流階級とは、もっと品があるものではないのか?

″静寂″ではなく、大袈裟な″喧騒″にこそ、彼らが価値を見出しているのならば、メアリーのそのような考えも、場違いなのかもしれないが。


「…あの、シスター・マーラ。私ちょっと、気分が悪くなってきました…」


メアリーは、酒と食事の匂い、香水の匂いが充満したこの荒々しい喧騒の場に、気分不良を起こしていた。


「…メアリー。無理にあなたを連れてきてごめんなさいね。…あの席で、少し休んでいなさい。」


シスター・マーラが、メアリーにそう言った矢先——不運にも、それを邪魔する者がいた。


「おお、あなたは!シスター・マーラじゃありませんか!やはり、来てくれたのですね!」


突然と。仰々しい声で、シスター・マーラに声をかけてきた男がいた。


高価な服を身に纏い、両手には煌びやかなダイヤモンドの指輪。いかにも「成金」といった感じの男。そこそこの高齢だろうが、目力がありエネルギッシュさも醸し出す、彫りの深い顔。綺麗に揃えられた口髭からは、真っ白な歯を覗かせていた。


「あら、ゴールドスミスさん。お久しぶりです。」


シスター・マーラが、わざとらしい作り笑顔で返す。

…この男がパーティの主催者、ケネス・ゴールドスミス…


「…いやはや!″青の教団″の大主教様が、私との″関係″を軽視せずにいてくれて、喜ばしい限りだ!」


「…もちろんですよ。ゴールドスミスさんは、私達の教団が運営している病院に、多大なる支援をしてくださってますからね。感謝してもしきれません。」


シスター・マーラは笑顔でそう話す。

″多大なる支援″という美辞な言葉で表現したが、要するに″莫大な金″を寄付してもらってる、ということだ。


「もちろんですとも!青の教団の理念…

″貧しき者にも、等しく救済を″。

それに私は深く共感しているのです。教団のためになら、どんな協力も惜しみませんよ!

…だから、教団としても。ぜひとも私に″協力″を惜しまないでほしい…」


″協力″を、という言葉が殊更強調された。結局のところ、本質はそういうことなのだ。


(カネをやるから、協力しろ)


この男の本音は、それ以上でも以下でもない。少なくともメアリーは、そのような穿った見方で、この男のことを見ていた。


このゴールドスミスという男の言葉や声色が、そこはかとなく″わざとらしく″、上っ面だけのものであることを、メアリーは見抜いているからだ。

理由はともあれ、自己の利益ために「教団」を利用しようとしていることは、明白だ。


シスター・マーラも彼に対して、本音ではそう思っているだろう。そうあってほしい…が。


「…ええ。教団はいついかなる時も、ゴールドスミスさんに協力しますよ。」


とはいえシスター・マーラも、波風立てずゴールドスミスに応対する。



「…ところで、ゲッペルス医師長は来ていないようだが?」


目敏いゴールドスミスは、自らが主催するパーティに招待した、もう1人の招待客——青の教団″医療部門″のトップたるゲッペルスが来訪していないことを、訝しむようにシスター・マーラへと問い詰める。


「…ああ、申し訳ありません。ゴールドスミスさん。ゲッペルス医師長は、緊急の″用事″で、このパーティには来れなくて…

彼も本当に残念がっていましたが…」


残念がっていた、というのは嘘であることは、メアリーにはすぐわかった。

とにかくシスター・マーラは、この男の機嫌を損ねないようにしているのが、傍から見てもすぐにわかる。

自分が慕っている人物が、″このような″ 浅短な金持ち男の″機嫌″を取ろうとしていることに、メアリーは非常に落胆した。


「…そうかね。私のパーティを断るぐらいだから、よっぽどの用事なんだろう…

ところで、そちらのお嬢さんは?」


出来れば声をかけられたくはない。

そんなメアリーの淡い希望は、容易く粉砕される。


「…す、すみません。私はちょっと…」


メアリーは本能的に、ゴールドスミスから逃げた。彼が好ましくなかった、というのもあるかもしれないが。それよりも——ゴールドスミスの視線が、メアリーの豊満な胸に行っていたからである。彼女は、ゴールドスミスの″性的″な視線を即座に感じたのだ。


「ちょっと待て!名前ぐらい——」


ゴールドスミスが言い終わる前に、メアリーはそそくさと逃げて行った。


「…まったく、挨拶もなしとは。不躾な。

…だが、良い女だ。

シスター・マーラ。彼女の名前は何といいます?」


「…メアリー・ヒルです。」


「…なるほど。パーティに来られないゲッペルスの″穴埋め″のため、彼女を呼んだわけだな?…シスター・マーラ。彼女を紹介してくませんか?」


「…彼女は、ただの薬剤調合師です。

とてもあなたには釣り合いませんよ…」


いやらしい下心で、メアリーに食指を伸ばそうとしていたゴールドスミスから、シスター・マーラなりに彼女を守ろうとした言葉だった。だがそれが逆に、ゴールドスミスを興奮させていた。


「そうか…薬剤調合師か!

ふふふ…そういえば、ちょうど私専属の医療スタッフが欲しいところだったんだ…

彼女なら、適任かもしれないな。」


ゴールドスミスはそう言うと、シスター・マーラを押しのけてメアリーを探しに行った。


良くも悪くも、ゴールドスミスの行動力はとても早い。それは、仕事においても。…あるいは、女においても。



「…では、登壇代わりまして…私からお話を。」


パーティ会場の前方にある壇上には、富豪や貴族、学者などの有力者達が次々と登壇して、スピーチを行っていた。


「…みなさまごきげんよう。

アルベール大学の、デンゼル・アイスマンです。私はアルベール大学の教授として、数十年の間教鞭をとってきました——」


アイスマン教授は、骸骨のようにガリガリの見た目で、ひどく甲高い声の老人。

やや伏し目がちに話すその姿は、遠目から見れば、寝ているのではないか?と見違えるような落ち窪んだ目をしていた。



「ゴールドスミス氏の資金援助によって建てられたアルベール大学は…数学、物理学、経営学、心理学など…あらゆる学問を総合的に提供する、国内随一の大学です。」


スピーチの内容は図らずとも…パーティの主催者たるゴールドスミスへの賞賛の言葉が紡がれることは、容易に想像できた。


「…この大学から多くの卒業生が…今やゴールドスミス氏の事業に携わっています。

″魔法しか″学ばない魔法学校であったり…

″古めかしい″伝統作法やら″武芸″などを教える、騎士団の″スクール″とも違う…


このアルベール大学こそ、″資本″がもたらす有益な運用を教える、この国で最も先進的な学問機関なのですよ…」


アイスマン教授の表現は、とてもまどろっこしい言い方だ。

要するに「アルベール大学」とは、″金儲け″に必要な、あらゆる学問を学ばせる大学である。当然ながら金儲けには、数学やら経営やらあらゆる知識が必要になるので、必然的に多くのことを学ぶことになるわけだが。


「…ゴールドスミス氏は、慈善活動にも熱心です。″難民保護″や、慈善団体への資金援助…彼は多くの雇用も生み出し、その持てる″富″を…この国の幸福と繁栄のために、活用されていらっしゃいます…」


辟易とするような、ゴールドスミスへの賞賛の言葉の連続。もちろん、彼が主役のパーティだから、ある種当然のことなのかもしれないが。




メアリー・ヒルは、ゴールドスミスから逃れるように、雑多な人混みの中へと入っていく。


「くそ…見失った。」


メアリーを見失い、ゴールドスミスは舌打ちする。パーティ会場は、広いが人が雑然としており、その中で特定の人物を見つけるのは、困難を極める。


ともかくメアリーは、ゴールドスミスが″追跡″を諦めてくれることを願う。

そして早足に歩いていた彼女に、とある人物と肩がぶつかった。


勢いよくぶつかり転倒しかけたメアリーを、すんでの所で、その″男″は受け止めた。



「…君、大丈夫かね?随分と早足で…

何かから逃げるようだったが…」


「すみません…ぶつかってしまって…」


受け止められたメアリーは、すぐに姿勢を整えて、その男に謝罪する。


「…かまわんよ。

…君は、パーティの出席者?」


男は、この場に″似つかわしくない″メアリーの風体から、確かめるように彼女に尋ねた。


「…はい、一応は。本当は、私なんかがこのようなパーティに来る資格はないのですが…」


メアリーの言葉を聞いて、男はすぐに察したようだった。


「…なるほど。さしあたりシスター・マーラに連れてこられた、ということかね?」



「…わかるんですか?」


「…まあね。君のその格好は、″青の教団″の関係者だろう?であるならば、シスター・マーラも来ているはずだ」


その男は、メアリーが身につけている——それは青の教団所属の者が着衣する白服で、彼女が教団関係者であることをすぐに見抜いたのだ。


「…仰るとおりです。シスター・マーラからの誘いで、ここに来ました」


「…随分と、騒がしいところだろう?」

男は、柔和な笑みを見せながら彼女に尋ねる。


「…はい。私はちょっと、こういうところは苦手です。″上流階級″のパーティなんて、来たことないし。気の利いた話も出来ないし…」


「…そう肩を張ることもない。どうせここにいる連中の会話なんて、まるで″中身″がないんだからな。…空虚なんだよ。

彼らの話に、耳を傾ける価値などない。


…それに、このパーティに出席している者達は、そのほとんどが″上流階級″などではない。

エストリア内戦の後に、大神院と融和的な関係を築きながら……金儲けで地位を築いた、

″成り上がり″どもさ。」


自らもそのパーティに招待されながら、同じパーティ出席者をひどくけなしているこの男に、メアリーは不思議な感覚を覚えた。

この男性は、ここにいる多くの人間と同様な——事業化や資産家ではないのだろうか?


「…あの。不躾かもしれませんが、何をされてるお方なんですか?」


メアリーは男に尋ねる。



「私か?

…そうだな。魔法学校に勤めている。」



「魔法学校…」



魔法学校関係者…

メアリーは、このパーティに呼ばれるほどなのだから、男性が魔法学校関係者の中でも、かなりのお偉いさんなのだろうと思った。


「…ところで、シスター・マーラと一緒に来ているのだろう?彼女の元に戻らなくて、いいのかね?」


「それは、そうなんですけど…」


メアリーは、ちらちらとパーティ会場全体に目を通す。人が多くてシスター・マーラもどこにいるのかわからない。

なにより、ゴールドスミスには見つかりたくない…


「…あの。もう少しここにいます。」


メアリーは、この男性に僅かながらの″安心感″を覚えていた。


他のパーティ出席者のような、積極的に

″他のテーブル″に行って「顔を売る」ということであったり、「ワイングラス片手」に乾杯する、というような慌ただしさが、この男性にはない。

メアリーのように狼狽えず冷静ではあったが、彼もメアリーと同様に「こういう場」が嫌いなのだろう。だからメアリーは、自分と「同類」——かもしれないこの男性の傍にいることで、ある種の安心感を覚えていた。


「…君もシスター・マーラに付き合わされて、いろいろ大変だな?」


男が、微笑を浮かべながらメアリーに話す。


「…はい。でもシスター・マーラが、こういうパーティに来るなんてのは、意外でした。

″神″に仕える身は、こういう世俗的な場には、あまり赴かないものかと思っていましたから…


でも…教団のためですよね。

教団にしろ、教団が運営する病院にしろ、それを維持していくのにはお金が必要で…

だから、″寄付金集め″のために、こういう場所にも顔を出すしかない…」


自分に言い聞かせるように語るメアリーだったが、その表情には、やや落ち込んだようなあとが見える。男はそれを察して、彼女に尋ねる。


「…シスター・マーラに、落胆したかね?」


男の問いかけに、メアリーは驚いたような顔を見せる。


…たしかに、多少がっかりはしたが…決してシスター・マーラその人自身へ、落胆したわけではない。彼女はシスター・マーラを尊敬している。マーラが人格者であることを、メアリーは決して疑ってはいない。だからこそ、メアリーは、男の言葉を否定する。


「…いえ。そういうわけではありません。

ただ…現実は厳しいのだということは、思いました。

理想だけでは、やっていけない。″理念″を貫き通すには、″お金″がいるんですよね…」


「そうだな…」


″そうだな″、という男の言葉は、どこか寂しさがあった。


「…自分の理念。あるいは理想… あるいは、信念か?

自分が何のためにここに存在しているのか、自分は何をやろうとしているのか、大切なのは、それを見失わないことだ。

…それを忘れなければ、あらゆる″変化″の中で、″自分″という存在を″維持″していけるのだ…」


何のために自分が存在しているか。

自分が何をやろうとしているか。

″自分″という存在の意義を、忘れないようにする。


「なんだか哲学的ですね…さすがは教育者」


メアリーは笑顔で、彼の言葉を誉める。


「…そうですね。私が大切にしているものは何か。自分がやろうとしていることは何か。…私も、それを忘れないようにしたいです。」


メアリーは、男の言葉を反芻する。

そして最後に、男に尋ねた。


「…あなたにも、忘れてはいけない大切なものが?」


メアリーの質問に、男は少しばかり…目の色を変えた。その瞳に表出したもの——それは

″怒り″でもなければ″哀しみ″でもない。


ただ″空虚″な目をしていた。


まるで、あらゆる感情を排した″死人″のような瞳…

あるいは、全ての感情を″内包″しているのかもしれない。


哀しみも、怒りも、苦しみも。


しかしメアリーは、おおよそこれまでこの男性から感じることがなかったこの″空虚″な瞳に、ある種の恐怖感を感じていた。

そして男は、静かな声色でメアリーに返答する。


「…私が忘れないもの。そうだな。


私は忘れない。


そのために、生きているのだから」



男はそれ以上、言わなかった。



メアリーもそれ以上は、聞かなかった。





「おお!そんなところにいた!随分と探したよ!」


そして突然に、活気極まった声でメアリーを呼ぶ男があった。


…案の定、ゴールドスミスだった。

あの男、ずっと私を探していたのか。

なんというしつこさだと、メアリーは思った。


「…そんなに逃げなくてもいいじゃないか?悪いようにはしないよ?」

「あ、ちょっと…!」

ゴールドスミスはメアリーに接近し、問答無用で彼女の手を握りしめた。


「ちょっと…離してください…!」

メアリーは抵抗するが、男は手を離さないどころか…こともあろうに、メアリーのお尻をわし掴みにしたのだ。


「きゃっ…!!」


そのあまりに露骨な色情的行為に、メアリーは声をあげる。そしてゴールドスミスは、お尻を掴み、触るだけでは飽き足らず…もう片方の手を、彼女の胸のところへもっていき、やはりその乳をわし掴みにした。


「やめて……!!」


「…メアリー、といったな?

この私、ゴールドスミスに″触られる″ことを光栄に思え。ごまんという女が、私に懇意されることを望んでいるのだぞ?

私の女になれ…メアリー。

なあに、重荷を感じることはない。…愛人は、お前だけではなく大勢いるのだからな?」


「いや……!」


メアリーは声を絞り出して抵抗する。


どこまで最低な男なのだろう…

しかし、ゴールドスミスの横暴な振る舞いを、誰も止めようとはしない。


「もう、やめて……!!」



ただ1人を、除いては。



「…そこまでにしておこうか、ゴールドスミス。」


さっきまでメアリーと話していた男が、ゴールドスミスの腕を掴んでいた。


「…お、お前……!」


ゴールドスミスは自分の行動を制止され、若干怖気づいたが、男の顔を見るやいなや、吐き捨てるように言葉をつなぐ。


「…私の邪魔をするな…

このパーティの主催者は私だ。

お前はただの″招待客″でしか、ないのだぞ?」


「…そんなことはどうでもいい。

彼女が、嫌がっているのがわからないか?

…わからないのならば、君の脳味噌は小動物以下だな。…いや、小動物のほうがまだ賢い」


あからさまな侮辱の声をかけられたゴールドスミス。しかし彼は、言い返せなかった。


その男の″眼力″があまりに強かった。

まるで猛禽類のように、獲物を捉えたかのごとく、一才揺らがない眼力。

″睨み合い″の勝負にあって、ゴールドスミスに勝ち目はなかった。


ゴールドスミスはついに降参して、メアリーの体を自由にする。


「ちっ…邪魔をしおって…!」


ゴールドスミスはそう吐き捨てると、そそくさと急ぎ足で、逃げるようにその場を離れる。

″財界″の世界において、強い影響力を誇るゴールドスミスに楯突ける人間は、このパーティ会場ではそうそういるものではない。

ゴールドスミスを追い払ったこの″男″を、周囲にいたパーティ出席者は、畏怖するようにじろじろと見つめていた。


「…大丈夫、かね…?」


「…ありがとうございます。助けてくれて…」


メアリーは、男に感謝する。彼がいなければ、あのまま何をされていたか…


「ケネス・ゴールドスミス…成功した事業家とはいえ、下卑た男だよ…」


男は、蔑むようにゴールドスミスを評した。


そして今度は、別の人物からメアリーへ声がかかる。


「…メアリー!ようやく見つけた!…急にどこかへ行っちゃうんだから…」


メアリーを呼ぶ声は、シスター・マーラだった。


「…ごめんなさい、シスター・マーラ。ちょっと私、あの人が苦手で…」


あの人、とはゴールドスミスのことだ。彼が自分に性的行為を働こうとしていたことを、メアリーは言おうかと思ったが…やめた。


いかに不埒な人物であろうと、ゴールドスミスは「青の教団」のお得意様なのだ。彼は教団に大金を寄付してくれているから。

だから彼女は、シスター・マーラや教団の事情を考慮し、ゴールドスミスを貶すことはやめる。


「…すみません、シスター・マーラ。私はもう大丈夫です。」


メアリーはそう言うと、シスター・マーラと再度行動をともにする。


…勿論、自分を助けてくれた男への、感謝を表して。


「…あの。助けてくれて、本当にありがとうございました。」


「…助けた、と言うほど大袈裟なものではない。″誰も″止めようとしなかったから、私が止めただけだ。」


謙遜、というほどのものではないが。

男は自らの行動を、人として自然な行為だと自認し、特別には思っていないようだ。



「あの…そういえば私、名前も名乗っていませんでした…」


深い関係、になったわけではないが。しかしメアリーは礼節として、自分を助けてくれたこの男性に、自分の名前は名乗るべきであったと思ったし、彼女自身も男の名前ぐらいは知っておきたかった。


「…ゴールドスミスが言っていたな。…君はメアリー、というのかね?」


「はい…私はメアリー。

メアリー・ヒルです。あなたの名前は、何と仰いますか?」



「私は……ベルナールだ。

シュテファン・ベルナール」



(ベルナール…)


メアリーはその名を頭に留めて、彼に別れを告げる。


「…ベルナールさん。では、私はこれで失礼します。」


「…ああ。パーティを楽しんでくれ」


パーティを楽しんでくれ。そう言った当人が、一番この場を楽しんではいないようだが。この言葉は、自らに対する彼なりの皮肉でもあるのだろう。



「…メアリー、大丈夫かしら?

…無理に連れてきてしまったけれど、どうしても気分が悪いのなら、パーティから席を外しても…」

「いえ…本当にもう、大丈夫ですから…」


シスター・マーラに余計な心配はかけまいと、メアリーは平静を装う。…本音を言えば、ゴールドスミスには鉄拳の一つでもお見舞いしたかったところだが…


「…では、アイスマン教授に続きまして。

…″王室議会″の議員を務めていらっしゃいます、ウィンストン・ウォルポール伯爵に登壇していただきましょう!」


そうこうしてる間に、パーティ会場の壇上では、次々とエストリア王国内の″有力者″がスピーチを繰り広げていた…


「…あの人、議会の人間…」


「…ええ、ゴールドスミス氏は″王室議会″の過半数を占める″貴族″達にも強い影響力を誇っていますから」


エストリア王国には、″王室議会″なるものが存在しており、王室政府の行政運営における指針や、″立法院″より発議された法案の承認など、この議会を通じて行われる。


議員定数は120名で、そのうち60名は、″騎士団″より選出された60名、残り半分の60名は、″貴族″と呼ばれる特権階級から選任されることになっている。


「…紳士淑女のみなさん、″王室議会″で議員を務めている、ウォルポールです。

…今回、ゴールドスミス氏が主催するこのような盛大なパーティにお招きいただき、光栄至極、と言いましょうか…」


ウォルポール伯爵は、深緑色のベーシックな服装に身を包み、片眼鏡をかけた壮年の男。

″わざとらしい″派手さはないが、″貴族″というだけあって、その所作一つ一つには、他の″成金″達とは異なり、どこか優雅さがあった。


「…ゴールドスミス氏は、我がウォルポール家にも多大なる支援をしてくださっています。…慈善活動にも熱心な同氏の活躍っぷりは、まっこと尊敬に値する限りです」


多大なる支援、というのは。要するに献金だ。

エストリア王国の″貴族″達は、かつては広大な土地を所有するなど、この国で絶大な影響力を誇っていた。

しかし50年前のエストリア内戦後、″新興富裕層″の台頭と共に、貴族達はその影響力を失っていった。所有していた土地の価格が暴落したためだ。

金銭面でも苦しくなった″貴族″達は、その土地の多くを″富裕層″達に売り払った。


戦闘技能に秀でて、エストリア王国の″武力″として強固な地位を保ち続ける″騎士団″とは異なり、″貴族″達は、この50年で没落した。


没落したとは言え、議会の過半数を握る存在であるため、未だにエストリア王国内で一定の影響力があることは事実だが…


「…これからも私は、ゴールドスミス氏のために尽力する心構えがあります。

…古くさいしきたりやら、時代遅れの″価値観″にとらわれる″騎士団″は、もはや過去の遺物…

我々貴族達は、資本家こそが国を発展させる存在であると、確信しております。」


騎士団を敵視するような、ウォルポール伯爵の発言。

確かに今現在、″貴族″達は騎士団から嫌われているのも事実だ。


″王室″に忠実な″騎士団″とは違い、″貴族″達は王室への忠誠は薄い。

…元々は、貴族達も王室への絶対的忠誠を誓っていた。しかし内戦後に彼らが没落していく過程において、新興富裕層からの金銭的支援を受けていくうちに、″貴族″達の忠誠心は、王室から離れていった。


騎士団達も、たいして″能力″がない癖に、議会の過半数を占める貴族達が気に食わなかった。故に貴族達は、自分達に忌避的な″騎士団″をも、敵視するようになる。


″エストリア内戦″前は、王室議会は騎士団と貴族が一丸となっていたため、議会と言っても、実質的に王室の″独裁体制″が維持されていたわけだが…


貴族達が王室への忠誠を軽視するようになったら昨今は、議会過半数を占める″貴族″議員達の抵抗に遭うことも少なくない状態だ。

無論、議会で決定したことは、大神院の″守護者″による拒否権一つで、覆ってしまうが。


…王室や騎士団にとって、何より厄介な事実は…この貴族達を支援している″新興富裕層″達

……彼らの背後にいるのが、″大神院″であるということだ。


大神院は、貴族の土地を民間資本家に売り払う″法整備″の手助けをした。

その結果、″新興富裕層″達は、元々は貴族が持っていた広大な土地を所有するに至った。それは紛れもなく、大神院の支援があってのことである。貴族議員達も、資金難に喘いでいた自らを救うために、喜んで″価値暴落″した土地を新興富裕層達に売り払ったのだ。


とかく大神院は、″新興富裕層″達を育てて、彼らを利するための法律を作るため尽力し、

″新興富裕層″達を自らの影響下に置いた。


そして彼らに、″貴族″への献金をさせたのだ。


没落した貴族達は、金を出してくれる富裕層の意向を、王室議会で反映させる。しかし富裕層達は、はっきり言えば″大神院″の影響下にあるので、王室議会の″貴族議員″達は——実質的に大神院から″間接的″に支配されると言ってもいい。


大神院は、自らの隷属化にある″富裕層″達を利用して…実に巧妙に、″王室議会″で過半数を占める″貴族議員″達をも掌握しているのだ。

そのような背景もあり、″王室″や″騎士団″は独裁を維持できなくなっていた。…少なくとも、政治体制の運営の下では…


それは、50年をかけて行われたことであるが、10年前の「世界大戦」でさらに、大神院は王室や騎士団の影響力低下を狙った。

王室議会の決定を覆すことが出来る、″守護者″による″拒否権″権限の制定。


狡猾な大神院は、″戦後の混乱″によって王室や騎士団が雁字搦めにされている時、巧妙に王室や騎士団の力を″じわじわ少しずつ″削っていったのだ。

″政治戦″において、大神院に遅れを取る騎士団達は、″内紛″という形で内部分裂し、それも大神院にとっては好都合な結果だった。


無論、大神院はこれらの施策を、極めて慎重に行ったが。あまり断行的に″騎士団″に攻撃的な施策を実行すれば、騎士団の″叛乱″が起きる可能性もあったからだ。


「…ゴールドスミス氏と、そしてここにいる皆様に、永遠の幸運が訪れますように!」


ウォルポール伯爵は、この言葉を、演説の締めの言葉にした。


永遠の幸福…


そんなものが、″この場″にいる全員に、本当に訪れるのだろうか? 

むしろみんな、″地獄″に堕ちてしまうんじゃないだろうか。…自分も含めて。


そんな不吉な考えが、メアリーの頭をよぎった。


「…では最後に、このパーティの主役。

ケネス・ゴールドスミス氏に登場してもらいましょう!」


ウォルポール伯爵に続いて、いよいよパーティの″主役″が、壇上に上がった。


「…やあやあみなさん。パーティを楽しんでいるかね?男性諸君は、酔った勢いでの″お触り″はやめるようにな。もちろん女性も、男性に″嫌らしい″ことをしちゃ、駄目だよ?」


ゴールドスミスの言葉に、まるで打ち合わせでもしてたかのように、パーティ席から一斉に笑いが起きる。


「…良い女とは、胸が大きい女だ。

そして良い男とは、″アソコ″が大きい男だ。

″アソコ″が大きければ、女も喜ぶ。」


またしても、パーティ出席者が同じタイミングで笑う。


一体何が可笑しいのだろう?


あの下品な発言のどこに、笑う要素を見出しているのだろう?


彼らは、ゴールドスミスが話すことなら、何でも笑いそうだ。

所詮彼らは、ゴールドスミスの顔を立てるだけの…″笑う機械″でしかないのだろう。


メアリーは、極めて軽蔑的な視線で、彼らを眺めていた。


「…さっそくだが、諸君。この私ゴールドスミスが、″難民″達への慈善活動に熱心なのは、ご存知だと思う。

…そこで今回。私は新たに、3名の難民の子どもを″養子″として迎えることにした!」


そう言ってゴールドスミスは、壇上に3人の子どもを、招き入れる。

壇上に上がった3名は、全員が女の子で、その年齢は10歳いくかいかないかぐらいの、若さだった。そして、偶然なのかどうかわからないが…全員が金髪だった。


「私は、この3人の難民の子ども達を養子に迎える!」


堂々と宣言したゴールドスミスに、一同から拍手が起こる。…もっとも、ゴールドスミスより少し離れて壇上にいた、彼の妻らしき人物は…拍手もせずに、至極″硬い″表情だったが。


「この子達は親を失って…難民として国境を超えてきたかわいそうな子達だ…

私が大切に、育てる。

さあ、会場のみなさんに挨拶をしなさい。」


ゴールドスミスは、自らが養子と紹介した、その子ども達に、挨拶をするように促す。


しかしメアリーは、子ども達の″虚ろ″な表情を見逃さなかった。

子ども達の顔は、夢遊病者のように呆然とした様子で、足元もおぼついていない。


「シスター・マーラ。あの子達、なんだか様子がおかしくはないでしょうか?…体もふらついています」


「…………そう、かしらね」


シスター・マーラは、わかっているのかわかっていないのか、ひどく″硬直″した機械的な表情になっており、それ以上は何も言わなかった。


「…ほら、早く挨拶するんだ。…教えただろう?″はじめまして″と言えばいいんだ。」


ゴールドスミスが、なかなか言葉を話さない″難民″の子どもに、挨拶を促す。

…しかし、子どもは言葉を発することもなく、やはり″虚ろ″な瞳で、その場に倒れ込んでしまった。


突然の出来事に、パーティ出席者は驚愕の声をあげる。


「…いやいやみなさん、そう驚く必要はない。この子は少々、疲れているようだ。

…おい。この子を医務室へ運べ」


ゴールドスミスが部下に命じる。

ついでに彼は、やはり虚ろな表情をしていた他の2名の女の子も、一緒に連れていかせた。


「チッ…クソガキが…せっかくの慈善アピールの場が台無しだ…後でお仕置きしないと…」


誰にも聞こえないような小声で、ゴールドスミスが呟く。


「…みなさん。少々場が白けてしまったが。

とにかく私は、越境して苦しい立場にある難民達への支援は惜しみません。」


そしてすぐに話題を切り替えたゴールドスミスは、やはり揚々と…自らの″善人″っぷりについて、語り出す。


「…職のない難民達を、私は大勢雇用しています。…それは社会的な弱者にある彼らを救うことが、私の義務であると考えているからです。」


また、会場中から拍手が起きる。

メアリーは、意地でも拍手はしなかった。

自分にセクシュアルな行為をした人間を、賞賛など出来るはずはない。


「難民達が安心して暮らせるような、″平等″で″公平″な社会を…私達は作っていかなければなりません!」


理想を並べたてた、ゴールドスミスの演説。もちろん、理想とその本心が見合っているかどうかは、疑わしいものだ。


「…私達が努力を惜しまなければ、差別なき公平な社会を作ることが出来る!

だからこそ我々は——」


「あのう、ちょっといいですか」


勢いづいたゴールドスミスの演説を中断するように… 一人の女性が———眼鏡をかけた女性が、ゴールドスミスの話を遮って、挙手をしていた。


「…なんだね、君は」


自信の演説を止められ、ゴールドスミスは不機嫌な声色になる。ゴールドスミスの逆鱗に触れるようなことをしでかしたこの女性の存在に、周囲はざわついていた。


「ちょっと質問、よろしいでしょうか?」


その女性は怖気付くことなく——飄々とした様子で、ゴールドスミスに尋ねた。


「…質問、だと?私に何を質問する必要がある?」


怒気を孕んだ口調だが、ゴールドスミスは彼女の質問を受けつける。


「ゴールドスミスさん。

…あなた今、″難民への支援は惜しまない″…

そう、言いましたよね?」


「…その通りだが」



「…ではあなた、″難民労働者″にどれだけの賃金を支払っていますか?」


唐突な質問に、ゴールドスミスはすぐに答えを返さなかった。…というより、返せなかった。なので苦し紛れな返答をする。


「…何が、言いたいんだ?」


「…ゴールドスミスさん。あなたは、都市部郊外にある鉱山を所有していますよね?

…そこでは、大勢の難民労働者が働いていますが…彼らは、極めて劣悪な労働環境で危険作業に従事している。…死者や怪我人も大勢出ていますよね?


…あなたは、そんな難民労働者達に、どれほどの給料を払っているのですか?」


「それは…」


ゴールドスミスは、明らかに答えに窮していた。そんな彼を、眼鏡の女性は容赦なく追求する。


「…答えられませんか?それは、そうでしょうね。

鉱山で働く″難民労働者″達は、その危険作業で、何人も命を落としていると聞きます。

…あなたは、そんな危険作業に従事する彼らに、一銭も賃金を支払っていません。

僅かな食料と、寝床を与えているだけです。


危険作業で死んでしまったら、また新たな″難民労働者″を連れてくる。

怪我人は、「青の教団」が運営する病院で治療させて…回復したら、また″タダ働き″させる。


…あなたはこのサイクルで、難民労働者をタダでこき使って、莫大な利益をあげているのです。衣食住を確保できない、立場の弱い難民達につけこんで…


これがあなたの言う、″慈善活動″ってやつですか?」


ゴールドスミスは、冷や汗をかいているようだった。

まさかこのような″追求″をされることを、まるで予期していなかったのだろう。

ゴールドスミスは苦し紛れに、女性へと言葉を返す。


「そ、そんなこと… 一体何を証拠に……」


「証拠?

私は直接、鉱山で取材しましたから。

何でしたら、証人を連れてきましょうか?」


「黙れ!それ以上虚偽にまみれたことを言うと、ただじゃすまないぞ!!」


脅し付けるゴールドスミスに、しかし女性は一切動じずに、馬鹿にするようにフンと鼻を鳴らす。


「…へえ…ただじゃすみませんか?

じゃ、やってみてください」


「衛兵!こいつをつまみ出せ!」


ゴールドスミスに命じられ、屈強な衛兵が女性の腕を掴み、彼女を力づくで連れていこうとする。しかし次の瞬間——



衛兵の体が、宙に浮いていた。



衛兵は、一瞬何が起きたかわからなかったが、彼の体が床に叩きつけられる時には、自らが″投げられた″のだと理解する。


その見事な″投げ技″を披露した彼女。

その艶やかな見た目とは裏腹に、優れた″体術″を披露した女を前に、他の衛兵達は怖気付いて、足踏みしていた。


「…どうしたんですか?私を″つまみ出す″んじゃないんですか?」


しかし衛兵達は、まるで″隙のない″彼女を前に、踏み出せなかった。



「…どうやら、私を追い出すつもりはないみたいですので、質問を続けさせてもらいます。


…そうですね。

ゴールドスミスさん。あなたが先程、″養子″として迎えるといった、難民の子ども達についてですか…」


青ざめるように、ゴールドスミスの顔から血の気が引いていく。


「なぜ、養子に迎える子は、全員女の子なんです?」


「やめろ…」


ゴールドスミスは、恐れているようだった。

″核心″を突かれることを。



「…なぜ、全員が金髪なのです?」


「黙れ…」


女性は、なおもゴールドスミスを追い詰める。



「…″養子″なんて大層なものではないでしょう?…あの子達はあなたの——」


「黙らんかぁ!!」


ゴールドスミスが激昂する。


もはや怒りを制御出来なくなっていた彼は、銃を彼女へと向けていた。



「…私を、殺しますか?」


ゴールドスミスに銃を向けられても、彼女は冷静だった。


「…その前に、最後まで質問をさせてくださいよ?」


「黙れ…!」

ゴールドスミスは鼻息を荒らくしながら、躊躇なく銃の引き金に手をかけていた。


「——危ない!!」


銃声が響く。



メアリーは、彼女を助けるために、咄嗟に飛び出していた。

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