第16話〜興奮

「一緒だぁ…!」


彼女の口から出る息は、嬉しさが混じっていた。まさか同じ市に住んでいるなんて思っていなかったからだ、もっと遠い異国いこくの地に住んでいると思い込んでいたからだ。


彼は背は高く、髪色は黒で髪がクルクルになっているし手も足も自分より大きい。肌は日焼けしている。対して自分はどうだ。


背は小さく、髪色は白で髪はまっすぐになっており手も足も小さい。肌も真っ白だ。真反対なのだ。極端きょくたんな位置にいる月とスッポンだ。


炎華ほのかは、座っていた席に戻らずテーブルに座ったまま会話を続ける。



炎華ほのか達ね、見た目はね全然ちがうけどね。住んでる所とか考えてる事とか一緒なんだね」

「あー言われてみればそうかも」


同じ市ならワンチャン探せるくね?でも同じ市でも遠いところあるしなぁ。そこは一旦置いといて…思考が似てるのは嬉しい。あー、最近バケモンキショい事考えすぎだろ俺。


「でしょでしょ。あーあ、泉水いずみちゃんと一日中ずっと遊びたいなぁ」

「…たとえばどんな遊び?」


俺だって炎華ほのかと遊びに行きたいけど、彼女の病気は相当そうとう重いらしい。だって、考えてみろよ。


この部屋にずっとおり、外に出たことがないし学校にも行けていないそして極めつけは左の目には変な花がついている。この特徴は完全に重い病気に分類されるはず。まぁ、素人がどう考えようが無駄だよな。


「んっとね、深くは考えてないんだけどね。おままごとは飽きちゃった…か……かいた…さきに…ねたの……へいで…」


どんどん彼女の言っている言葉が、俺の耳に流れてこなくなる。そして視界もにごってくる。


目が覚めるとそこは夜の公園だった。

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