第4話ええで、ええで、その調子

謎のオッサンの力を借りてダイエットが始まって1ヶ月。サラダとササミの毎日。おやつは厳禁。


「じゃあそろそろ乗ってみる?」


オッサンは体重計の前に立った。正確に言えばオッサンに操られた私。


「ほい」


気軽に体重計に乗ってくれる。大きなお世話だ。


「京子ちゃん、見てみ。10キロも瘦せてるで」


私は驚いた。確かに少し体が軽くなった気がする。


「ええで、ええで。その調子」


鏡の前に立つ。


「ほら、始める前と比べてかなりマシになったで」


オッサンは上機嫌だが私はしっくりこない。全部オッサンの仕業じゃない。


「そうは言ってもちょっと気持ち良いやろ?」


完全に否定できない。確かに体調は良くなったし、早寝早起きの生活になった。


「この感じをもうちょっと続けて、そうやな、あと3週間で次のステップに移ろうか」


何?次のステップって。


「そりゃオッサン流美的生活やないか」


そんな滅茶苦茶な理由、通用すると思う?


「まあそのへんはオッサンに任せとき。キミ、びっくりするで」


今日もトレッドミルでウォーキングだ。しかし私もまんざらではない気がしてきた。何より体を動かす楽しさと、汗の後のシャワーが気持ちいいから。


「なんや大体コツを掴めてきたやん」


オッサンも嬉しそうだ。今日の夕食のサラダはアボカドとグレープフルーツのサラダだ。


「ここのコックさんもなかなかやってくれるやん」


そのサラダとブロッコリーの丸茹で、ササミの蒸したもの。この食生活も慣れてきた。


「京子ちゃん、今に自分でもびっくりするくらいになるで」


はいはいそうですか、と適当に返事をした。


「オッサンには京子ちゃんの心は丸見えやで」


いやらしい事を言う。


「オッサンのダイエットは3ヶ月が1クール計3クールや。その時、京子ちゃんびっくりするで」


怪しいオッサン。まだまだ信用できない。


「神様からオッサンの事話して良いって許可出たから、追々話するわ」


謎のオッサンの正体が掴めそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る