第9話  不老不死探偵の助手 其の弐

 はい、探偵助手の児屋根春日です。


 師匠のトキジクさんは、居候の玄女となんかいい感じで、探偵業をこなしてます。

 阿片売人どもから誰かを救出したり、夜の街を徘徊する呪いの甲冑を倒したり、悪質地上げ屋を撃退したり、もういろいろやってます。


 二人で。


 この探偵助手を放っぽり出して二人で仲良くやってます。

 ポッと出大飯喰らいの居候女と毎日出かけてます。

 で、本家本元探偵助手のオレはなにをしているかというと、ビラ刷りとビラ配りです。


 ええ、地味です。地味な作業です。

 それを独りでこなしてます。

 なんで?

 なんで先輩助手のオレが地味作業なの?

 だいたいこれ、あの女の依頼だよ?

 もう自分でやりなよ!


 金華秘書を探してます、ってビラを刷りまくって、神保町の書店や貸本屋や古物屋中心にビラを配りまくってる。

 この辺りは東京でも有数の書物が集まる界隈だからね。まずそれで広く情報を集めるって訳っすよ。

 大陸の戦場見つけた得体の知れない古い書物を、わざわざ皇国に持ち帰るなんて、よっぽど本好きだと思うんすよ。しかもその人は東京に住んでるといっていた、という証言があるらしいんす、玄女曰く。なのでこの方法で、絶対間違い無し。


 はぁ、オレ有能過ぎる。

 有能過ぎて目眩がしそう。

 もうオレ一人で十分かも。


 ここまできたらオレ一人で解決しちゃおうかなぁ。

 変な書物見つけ出して、不死の法を解読して、あの女を早々に大陸へ帰してやる。

 そうすれば師匠と二人きりの日常が戻ってくる!

 よし、そうと決まったら俄然やる気出てきた。

 絶対に金華秘書見つけてやる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る