TURN30:新たな未来のエレメント

「超エクストラ召喚!行くぞ!エレメンタル・マスターロード・マジシャン!!」

「セイーアッ!!」


『エレメンタル・マスターロード・マジシャン』

エクストラ タイプ:闇 分類:魔術師 攻撃力:2500 防御力:2500

召喚条件:エレメンタル・マジシャン+上級モンスター2体以上


遊太

HP:100 AC:0 手札:0枚

フィールド:

エレメンタル・マスターロード・マジシャン 素材:7個


ザキダリ

HP:4700 AC:0 手札:0枚

フィールド:

タイムウォーク・スパイラル・ドラゴン 素材:1個

ブラックホール・ロータス・ドラゴン 素材:1個

蒼炎の混沌爆竜 素材:1個

テンペスト・ストーム・ドラゴン 素材:1個

裏側カード:1枚


「エレメンタル…マスターロード…マジシャンだと!?」

「これが遊太の…」

「新たなエースか…!!」

「優しい光です…」

「フン!だがそのモンスターの攻撃力は2500!我の四天竜には遠く及ばん!」

「それはどうかな?」

「何?」

「エレメンタル・マスターロード・マジシャンの効果!このモンスターの攻撃力は素材モンスターのタイプ一つにつき1000アップする!」

「素材モンスターのタイプ…確か素材にしたのは闇タイプのエレメンタル・マジシャンに光タイプのエレメンタル・プリースト、それと…」

「水タイプのハイドロゲロゲ、炎タイプの大文字ゴースト…」

「聖石の巨兵は地タイプ、ストームヘッド・ドラゴンは風タイプ、そしてセットアップ・プリンセスは無タイプです!」

「つまり合計7タイプ!攻撃力は7000アップね!!」


エレメンタル・マスターロード・マジシャン

攻撃力:2500→9500


「攻撃力9500だと…!?」

「バトル開始だ!!エレメンタル・マスターロード・マジシャンで!タイムウォーク・スパイラル・ドラゴンを攻撃!!」

「四天竜の防御力はいずれも4000!その差は5500!」

「攻撃が通れば!」

「ザキダリ様のHPを一気にゼロにできます!」

「無駄だ。我はカウンターカード『ゴッドゲイン』を発動!!」


『ゴッドゲイン』 カウンターカード

相手モンスターが自分のエクストラモンスターに攻撃する時に発動できる。自分のHPを自分フィールドのエクストラモンスターの攻撃力の合計だけ回復する。


「またゴッドゲイン!?」

「奴の場には攻撃力4000の神が4体…」

「その合計値は16000です…」

「うおおおおお!!!」

 神の力を吸収し、更にみなぎるザキダリ。


ザキダリ HP:4700→20700


「HP…20700…!?」

「…バトルは終わっていない!エレメンタル・マスターロード・マジシャンの攻撃!エレメンタル・マスター・ストリーム!!」

 エレメンタル・マスターロード・マジシャンの杖かららせん状の水流がタイムウォーク・スパイラル・ドラゴンを貫き、その余波がザキダリにも襲いかかる!

「ぐおおお…」


エレメンタル・マスターロード・マジシャン 攻撃力:9500

タイムウォーク・スパイラル・ドラゴン 防御力:4000

ザキダリ HP:20700→15200


「フッフッフ…ハッハッハ!!!」

「そんな…あと少しで勝てると思ったのに…」

「エレメンタル・マスターロード・マジシャンの効果で上がるのは攻撃力のみ。次のターンに攻撃を喰らったら遊太は…」

「しかも残りHP15200…こんなの…削り切れるわけがありません…」

「やはり運命は我を味方しているようだ…この世界は滅び、新たな世界を創造する…その定めを変えることは出来ぬ!!」

「それは…どうかな?」

「…む?」

「エレメンタル・マスターロード・マジシャンの更なる効果!エレメンタル・アクア・リチャージ!!」

 攻撃を終えたエレメンタル・マスターロード・マジシャンの身体が蒼く輝きだす!

「エレメンタル・マスターロード・マジシャンが相手モンスターを攻撃で破壊した時、破壊したモンスターと同じタイプのエクストラ素材…ハイドロゲロゲを墓地へ送る!」


エレメンタル・マスターロード・マジシャン

素材:7→6個 攻撃力:9500→8500


「素材のタイプが減ったことで攻撃力は下がるが…このモンスターは続けてもう一度攻撃できる!!」

「なん…だと!?」

「効果によって2回目のバトル!エレメンタル・マスターロード・マジシャンで蒼炎の混沌爆竜を攻撃!!」

 エレメンタル・マスターロード・マジシャンの杖から放たれる灼熱の炎が蒼炎の混沌爆竜に襲いかかる!

「エレメンタル・マスター・バーニング!!」

「うぐうう…!」


エレメンタル・マスターロード・マジシャン 攻撃力:8500

蒼炎の混沌爆竜 防御力:4000

ザキダリ HP:15200→10700


「だが2回攻撃した程度で我のHPを削り切ることは出来ぬ!」

「誰が2回で終わりだって言ったんだよ?」

「な…まさか!?」

「エレメンタル・マスターロード・マジシャンの効果は素材モンスターのタイプの数だけ発動できる!炎タイプのモンスターを破壊した事により、大文字ゴーストを墓地へ送って効果発動!」

 エレメンタル・マスターロード・マジシャンの身体が今度は赤く輝く!

「エレメンタル・フレイム・リチャージ!!」


エレメンタル・マスターロード・マジシャン

素材:6→5個 攻撃力:8500→7500


「よし!四天竜のタイプは水・炎・闇・風でバラバラ!」

「そしてエレメンタル・マスターロード・マジシャンはそれらのタイプを全てエクストラ素材に使って召喚している!」

「つまり効果を4回使うことができるということですね!」

「3回目のバトル!エレメンタル・マスターロード・マジシャンでテンペスト・ストーム・ドラゴンを攻撃!!」

 エレメンタル・マスターロード・マジシャンは杖から暴風を放つ!

「エレメンタル・マスター・ゲイル!!」

「ぬうううう…!!」


エレメンタル・マスターロード・マジシャン 攻撃力:7500

テンペスト・ストーム・ドラゴン 防御力:4000

ザキダリ HP:10700→7200


「風タイプのストームヘッド・ドラゴンを墓地に送って効果発動!エレメンタル・ウインド・リチャージ!!」

 エレメンタル・マスターロード・マジシャンの身体が緑色に輝く!


エレメンタル・マスターロード・マジシャン

素材:5→4 攻撃力:7500→6500


「あ…あり得ない…!!」

「4回目のバトル!エレメンタル・マスターロード・マジシャンでブラックホール・ロータス・ドラゴンを攻撃!!」

 エレメンタル・マスターロード・マジシャンの杖から闇魔法が放たれる!

「エレメンタル・マスター・イクリプス!!」

「があああっ!!」


エレメンタル・マスターロード・マジシャン 攻撃力:6500

テンペスト・ストーム・ドラゴン 防御力:4000

ザキダリ HP:7200→4700


「これでザキダリのモンスターは全滅!」

「奴を守る神のカードはいなくなった!」

「闇タイプのエレメンタル・マジシャンを墓地に送って効果発動!!エレメンタル・ダーク・リチャージ!!」

 エレメンタル・マスターロード・マジシャンは黒きエネルギーを吸収し、再び力がみなぎる!


エレメンタル・マスターロード・マジシャン

素材:4→3 攻撃力:6500→5500


「合計5回の攻撃だと…!?」

「そして最後のバトル!エレメンタル・マスターロード・マジシャンで相手プレイヤーに直接攻撃!!」

「「行け!!遊太!!!」」

「エレメンタル・マスター・ファイナル・ブラスト!!!」

「バカな…神の力を得たこの我が…敗れるというのか…!?」

 エレメンタル・マスターロード・マジシャンの放つ七色に輝く聖なる光魔法がザキダリに炸裂する!!!

「ぐあああああああああああ!!!!」


エレメンタル・マスターロード・マジシャン 攻撃力:5500

ザキダリ HP:4700→0


「………」

「…よっしゃああああ!!俺たちの…勝ちだ…!!!」

「やったな遊太!」

「まあ…今回は素直に褒めてやるわ…よく頑張ったわね」

「ああ!」

「…!見てください!ザキダリ様が…」

 倒れているザキダリの様子を見て一同は驚く。

「化け物となった奴の身体が…崩れていく…」

「人間の姿に戻ったけど…少しずつ消滅しているわね…」

「くくく…」

「!?」

 ザキダリの意識が残っていることに驚く一行。

「…我…私は…神のカードを完成させるため、私の…デュエルエネルギーも…カードと一体化させていた。どうやら…そのツケが…回ってきたようだ…」

「ザキダリ…いや、ゼットさん!!」

「…?」

「あんたの行いは到底許されるものじゃない。でも!俺はあんたのおかげでデュエルオムニバースに出会うことができた!その事は今でも良かったと思っているよ!」

「…そうか…私も…最後にキミとデュエル出来て…良かった…さらばだ…切藤遊太、そしてその仲間たちよ…」

 ゼットの肉体は完全に消滅する!

「ゼットさん…」

「…!おい、奴のカードを見てみろ!」

 攻撃によって吹っ飛ばされ、地面に散らばっていたザキダリのカードを遊太たちは拾う。

「四天竜のカードが…」

「消滅していく…」

「四天竜は人々から集めたデュエルエネルギーによって創られたカードだと奴らは言っていた。エネルギーを束ねていたザキダリが消滅したことで、カードの形状を保つことができなくなったのだろう」

「『覇王神竜ボルヴァーク』のカードも消滅していく…デュエルエネルギーを集めて世界を滅ぼすために無理やり創られたこいつらも解放されたんだな…」

 カードに閉じ込められていたデュエルエネルギーは天高く昇っていき、そして元の場所へ戻っていく。

「…そうだ!タカシ!!」

 遊太が振り返ると、そこには気絶しているタカシの姿が!

「タカシ!大丈夫か!?」

「…っー…遊太?」

「良かったッ…!!」

(そうだ…俺はザキダリにデュエルを挑んで負けて、遊太に未来を託したんだったな…で、遊太が俺の目の前にいるということは…)

「…倒したんだな。ザキダリを」

「ああ!お前が俺に託してくれた希望のおかげだよ!」

(デュエルオムニバースDXの次回作…デュエルオムニバースGODにて、ザキダリは倒されてカードに封印された人々は解放された。俺が負けたとしても遊太が勝ちさえすれば俺は生き延びられる。そう思ったからこそ俺は遊太の可能性に賭けたんだが…)

「…?どうした、タカシ?」

「あ…いや、何でもない」

(本当にクソ展開という名の未来を変えちまうとはな…やっぱりお前は本物の主人公ヒーローだよ)

「ところで遊太。エレメンタル・マスターロード・マジシャンなんてカードどこで手に入れたのよ?前はデッキに入れてなかったよね?」

(ん?エレメンタル・マスターロード・マジシャン…?)

「うーん…勝ちたい!って思ってたらデッキに入ってた!」

「何よそれ!?」

「遊太。そのカード見せてくれねーか?」

「エレメンタル・マスターロード・マジシャンのことか?おう、いいぜ!」

 タカシは遊太のカードを見せてもらう。

(やっぱり…前世の世界のアニメでも遊太はザキダリとのデュエルで新たな切り札を召喚したが、それは『エレメンタル・マスター・マジシャン』だった。このカードは…)


 タカシは前世の世界で見たテレビCMを思い出す。

『デュエルオムニバース!歴代主人公たちのエースモンスターが新たな進化を遂げて登場だ!!』

「俺の新たなエレメント!エレメンタル・マスターロード・マジシャン!!」

『20周年記念アニバーサリーパック!好評発売中!!』


(『エレメンタル・マスターロード・マジシャン』はデュエルオムニバースDXが放送終了してから10年以上経った後に登場したリメイク版。本来ならこのアニメの世界には存在しないカードのはず…俺が遊太に干渉して歴史が変わったから、この世界にこのカードが現れた…ということかな?)

 その時!突然城が揺らぎ始める!

「な、なんだ!?」

「この城もデュエルエネルギーで保っていたのか…!脱出するぞ!!」


 遊太たちはダークワールドの城を脱出し、デュエニウム鉱山の外に出る。

「ふう…何とか脱出できたな」

「城は跡形も無く消えたわね…ん?」

 遊太たちは逃げ惑うダークワールドの兵士たちを目撃する。

「大和、ダークワールドは一人残らず狩るって言ってたけど…あいつらも追うのか?」

「俺の目的は春奈を救い出すことだけだ。春奈は救い出し、諸悪の根源も打倒した。これ以上奴らを追うのは時間の無駄だ。それよりも今は春奈と一緒にいられる、その喜びを一秒でも長く噛みしめたい」

「私も同感です。お兄様」

「そっか…さてと!Dシティに帰るとするか!」

「そうね。大和と春奈ちゃんはDシティの出身ではないって聞いたけど…アンタたちはどうするの?」

「俺たちは故郷へ帰るとするよ」

「私は…ダークワールドに操られていたとはいえ、多くの人を傷つけてしまいました。一刻も早く故郷へ戻って、その償いをしたいのです」

「流石は春奈。素晴らしい考えだな。兄として俺は誇らしいぞ!」

(この兄貴のシスコンっぷりはぶれねえな)

「そっか。じゃあここでお別れだな」

「ああ。遊太、愛良。俺と共に戦ってくれた事、感謝する。おかげで妹を救い出すことができた」

「礼はいらないよ。俺は俺の信じるデュエルのために戦っただけだし!」

「それと…お前にも感謝している」

(…え?俺?)

 予想外の反応にきょとんとしてしまうタカシ。

「春奈を洗脳したダークワールドの四天王…ブルーナを倒してくれて、ありがとう」

「お、おう」

「じゃあな。行こうか春奈」

「はい、お兄様。皆様もお元気で!」

 遊太と別れて出発しようとする大和と愛良。すると遊太は…

「あ、ちょっと待った!!」

「…?どうした?まだ何か用でもあるのか?」

「お別れする前にさ…俺とデュエルしようぜ!大和!!」

「何?俺とデュエルだと?」

「ああ!復讐とか使命とか…そういうの抜きのさ。純粋なデュエルをお前としたい!」

「フッ…いいだろう!その勝負、受けて立つ!!」

「行くぜ!大和!!」

「かかってこい!遊太!!」

「「デュエル!!!」」

(うんうん、こういうエモい展開をデュエルオムニバースDXの最終回で見たかったんだよ俺は!!)

 遊太と大和、互いを認め合うライバル同士の二人による、熱いラストデュエルが繰り広げられる!


(こうして悪の組織『ダークワールド』との戦いは幕を下ろした。ラストデュエルを終えて大和たちと別れた後、俺たちはDシティへ戻ってきた)


 Dシティの住宅街…タカシはベルを鳴らしてドアを開ける。

「ただい…」

「たかしちゃん!!!」

「おわっ!!」

 前世はたかしの祖母、現世では中学生の女の子であるチヨがタカシに抱きついてきた。

「もう!心配したのよ!!本当に…本当に…無事で帰って…良かった…!」

「ばあちゃん…今回は…ちゃんと戻ってきたよ…」

 タカシの脳裏に浮かんだのは前世での事。突然な事故に巻き込まれて死亡したため、祖母にお別れを告げる瞬間も無かったことであった。

「…ただいま!」

「…うん、お帰り。たかしちゃん!!」


(カードに封印されてしまった人々も戻ってきて、襲撃を受けたDシティの復興作業が始まった。被害は甚大だったが…)

「行くぞ!建築デュエル!!」

「着工開始!!」

 壊れかけのビルでデュエルをする作業員たち。召喚されたモンスターの力によって、ビルはみるみる修繕されていく。

 そんな様子を通りすがりのタカシは見て驚いていた。

「さ…流石はデュエルアニメの世界…本当にどんな事でもデュエルで何とかするな…」

(デュエルの力によって街はどんどん元通りに。一週間後には完全に復興し、学校も再開。いつも通りの日常が戻ってきたのであった)


(さて、今まで俺は前世の世界で見たアニメ『デュエルオムニバースDX』の内容を思い出しながら生きていた訳だが…)

「タカシ!!」

 タカシが歩いていると遊太が話しかけてきた。

「俺のデッキ、また強くなったんだぜ!デュエルしようぜ!!」

「うん、いいよ」

(この世界はアニメの最終回とは異なる運命を迎えた。これからの未来、どんな事が起きるかはもう予想する事はできない)

「行くぜ!!」

 二人はデュエルガジェットを構えて…デュエル開始の体勢を取る!

「「デュエル!!」」


 20分後…

「んぎゃあああああああ!!!」


タカシ HP:2000→0


 攻撃を受けて吹っ飛ばされて仰向けに倒れるタカシ。

「やっぱり…負けた…」

「よっしゃ!!ギリギリだったけど今回も俺の勝ちだ!!」

「あーもう!!何でいつもHP100から逆転されるんだよ!!クソゲー乙!!」

「く…?何じゃそりゃ??」

(デュエルオムニバースDXのラスボス…ザキダリが言っていた通り、この世界ははっきり言って理不尽だと思う。モブキャラと主要キャラで明らかにドロー力に差がある点とか色々)

「はあ…くっそお…一度だけ勝てたことあるからドロー力の差は絶対ではないはずだが…ぶつぶつぶつ…」

「タカシ!」

 遊太はタカシに手を差し伸べる。

(だが俺はこの世界で歩む人生は悪くないと思っている)

「サンキュー!楽しいデュエルだったぜ!!」

(最高のヒーロー…俺はその友となれたのだから)

 遊太の手を借りて立ち上がるタカシ。すると…

「ひょっひょ!先輩ー!取材させて下さいっす!!」

「アンタ…ダークワールドに首突っ込んでカード化されたっていうのに懲りないわね…」

 遊太の後輩の甲斐節夫、そして幼馴染の間宮愛良がやってきた。

「行こうぜタカシ!」

「うん…!」

(さて…最後は俺がデュエルオムニバースの中でお気に入りのセリフで締めるとしよう)

「俺たちの人生はこれからだ!!」


デュエルオムニバース外伝

~害悪陰キャデッキ使いオタク君、デュエル世界に転生する~

おわり

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デュエルオムニバース外伝~害悪陰キャデッキ使いオタク君、デュエル世界に転生する~ @toriken

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