TURN22:神竜降臨

(前回までのあらすじ!悪の組織ダークワールドの四天王ブルーナと戦うハメになった俺、タカシ!戦況はやや劣勢なものの、何とか俺は戦い続けていた!)

「ふふ、お遊びはここまでね。そろそろ本気で叩きのめしてあげましょう!」

「………!」

「私のターン。ドロー!」


タカシ

HP:1600 AC:0 手札:3枚

フィールド:ジャイアント・ギガ・スライム

裏側カード:1枚


ブルーナ

HP:2800 AC:3 手札:3枚

フィールド:シャーク・ドラゴン


「早速参りましょう!シャーク・ドラゴンを進化!」

「っ…!」

(まだ進化モンスターを握っていたか!)

 シャーク・ドラゴンはタイラント・シャーク・ドラゴンとは異なる姿へと変貌していく。

「海底を統べる海の覇者!サン・リヴァイア・ドラゴン!!」

「ギルシャアアアアアアア!!!」


AC:3→2

『サン・リヴァイア・ドラゴン』

上級 タイプ:水 分類:ドラゴン 攻撃力:2400 防御力:2400


「さらに!自分フィールドにサン・リヴァイア・ドラゴンが存在する場合、このモンスターは進化前を経由せずに召喚できる…!」

「…!!」

「サン・リヴァイア・ドラゴンと対を成す海の女帝…ムーン・リヴァイア・ドラゴン!!」

「ギュルオオオオオ!!!」


AC:2→1

『ムーン・リヴァイア・ドラゴン』

上級 タイプ:水 分類:ドラゴン 攻撃力:2000 防御力:2600

効果:自分フィールドに『サン・リヴァイア・ドラゴン』がいる場合、このモンスターは進化前のモンスターがいなくても召喚できる。


「そしてマジックカード『死者復活』を発動!蘇りなさい!タイラント・シャーク・ドラゴン!!」

「ゲリョオオオオオオ!!!」

 3体の海のドラゴンたちがタカシとジャイアント・ギガ・スライムの前に立ちふさがる!


『タイラント・シャーク・ドラゴン』

上級 タイプ:水 分類:ドラゴン 攻撃力:2400 防御力:2300


「上級モンスターが一気に3体…!」

(パワーはジャイアント・ギガ・スライムの方が上。だが…)

「サン・リヴァイア・ドラゴンを効果発動するわ」

(…ここだ!!)

「カウンターカード『スキルサイレンサー』発動!」

 怪しげな機械が現れ、命令を妨害する。


『スキルサイレンサー』カウンターカード

相手がモンスターの効果を発動する直前に発動できる。このターン、相手はモンスターの効果を発動させることができない。


(サン・リヴァイア・ドラゴンは1ターンに一度、場にいる水タイプドラゴン全員の攻撃力を800上げる効果を持っている。これが決まったらやられるところだった…)

「サン・リヴァイア・ドラゴンの効果をかわすとはね…でもこれで終わりだと思っているのかしら?」

(相手フィールドには水タイプ上級ドラゴンが3体…アニメでも見たこの布陣は…!)

「オーラ無し相手にあのお方から授かったこれを出す日が来るとはね…あなたに神を見せてあげましょう!」

「…来る!!」

「私はサン・リヴァイア・ドラゴン、ムーン・リヴァイア・ドラゴン、タイラント・シャーク・ドラゴンの3体でエクストラゾーンを展開!!」

 3体のドラゴンたちがデュエルガジェットの中に吸収されると…水のバトルフィールドは激しく揺れ始め、まるで嵐の海のように大荒れする!

「それは全ての『流れ』を司る者。水の流れも…空気の流れも…時間の流れさえも我が手のままに!」

 やがて大嵐は巨大な蒼き竜へと姿を変え…フィールドに降臨する!

「顕現しなさい!水の神を冠する四天竜!タイムウォーク・スパイラル・ドラゴン!!」

「グギュグオオオオオオオオオオ!!!」


『タイムウォーク・スパイラル・ドラゴン』

エクストラ タイプ:水 分類:ドラゴン/ゴッド 攻撃力:4000 防御力:4000

素材:水タイプドラゴン上級モンスター×3


「タイムウォーク・スパイラル・ドラゴン…!」

(アニメでも凄い迫力だったが…実物は威圧感がヤバい…!!!それに…)

 タイムウォーク・スパイラル・ドラゴンの雄たけびと共に周囲が歪んでいることにタカシは気づく。

「ふふ、驚いたかしら。我々ダークワールドは各地でデュエリストを襲撃し、カードに封印していたでしょう?その目的の一つが、世界中から集めたデュエリストのエネルギーを束ね、神のカードを作り出すこと。こうして誕生したカードの一枚がこのタイムウォーク・スパイラル・ドラゴンなのよ」

(設定もスケールも滅茶苦茶過ぎるわ!)

 するとフィールドが更に大きく揺れる!

「うわっ!!」

「ふふ、どうやら他の四天王たちも四天竜を召喚したようね」

 ブルーナが指を鳴らすと、空中に映像が映し出される。


~炎のフィールド~

「見るがいい!これが強靭にして無敵!最強ドラゴンの究極進化系!刮目するがいい!炎の神を冠する四天竜!蒼炎の混沌爆竜!!」

「ファオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

「ブルーフレイムの究極進化系…!?」


蒼炎の混沌爆竜ブルーフレイム・カオスバースト・ドラゴン

エクストラ タイプ:炎 分類:ドラゴン/ゴッド 攻撃力:4000 防御力:4000

炎タイプドラゴン上級モンスター×3


~宇宙のフィールド~

「宇宙の彼方より降臨し、我に無限の力をもたらせ。闇の神を冠する四天竜。ブラックホール・ロータス・ドラゴン!!」

「ダアアアアアアアアアアクオオオオオオオ!!!」

「俺の銀河竜と対を成す暗黒竜の神か…!」


『ブラックホール・ロータス・ドラゴン』

エクストラ タイプ:闇 分類:ドラゴン/ゴッド 攻撃力:4000 防御力:4000

闇タイプドラゴン上級モンスター×3


~天空のフィールド~

「その翼は厄災を起こし、その風は更なる破滅を呼び起こす!飛来せよ!風の神を冠する四天竜!テンペスト・ストーム・ドラゴン!!」

「ストオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

「くう!なんてパワーなのっ…!!」


『テンペスト・ストーム・ドラゴン』

エクストラ タイプ:風 分類:ドラゴン/ゴッド 攻撃力:4000 防御力:4000

風タイプドラゴン上級モンスター×3


「四体の四天竜が降臨したことにより、今世界中のデュエルエネルギーがこのダークワールド城に集まりつつある…あなたたちがこのデュエルに敗れた途端!この世界の終焉!そして新たな世界が始まるのよ!ザキダリ様が望む完璧なる世界がね!どうやらザキダリ様が手を下す必要も無く、我々の野望は実現する…!」

「………っ!」

「タイムウォーク・ドラゴンの効果!1ターンに一度、エクストラ素材一つを墓地に送って発動。このターンが終わった後、もう一度私のターンを行う!」

「…!!!」

「…と言いたいところだけど、残念ながらこのターンは効果を発動できないのだったわね。神にはカード効果は通用しないが、プレイヤー自身にかかる効果までは防げない。果たしてあなたは意図して狙ったのか、それとも偶然なのかは知らないけど…」

「………」

(あっぶねええええ!!スキルサイレンサーを伏せるか別のカウンターにするか迷ったけど、神が来るかもしれない可能性考慮して出しといて正解だった…!ターンスキップとかチートにも限度があるっつーの!あんなの喰らったらどんなデッキでも即死だわ!!)

「ならば力で叩きのめしてあげましょう!バトル突入!タイムウォーク・スパイラル・ドラゴンでジャイアント・ギガ・スライムを攻撃!」

 タイムウォーク・スパイラル・ドラゴンは口を大きく開き、攻撃態勢に入る。

「ザ・ワールド・エンド!!」

 神と呼ばれる竜から放たれる水のブレス。その勢いは津波のごとく。そして威力は周囲の時空が歪むほどだ。


タイムウォーク・スパイラル・ドラゴン 攻撃力:4000

ジャイアント・ギガ・スライム 防御力:2500


「…!ジャイアント・ギガ・スライムの効果発動します!エクストラ素材を二つ墓地へ送って破壊を無効にする…!」

 激しい攻撃で身体の一部が欠けてしまったジャイアント・ギガ・スライムであったが、何とか攻撃に耐える。しかしその余波が大波となり、タカシに襲い掛かる!

「ぐああああああああああああ!!!」


タカシ HP:1600→100

ジャイアント・ギガ・スライム エクストラ素材:5→3

攻撃力:2500→1500 防御力:2500→1500


「うげっ!」

 凄まじい攻撃で吹っ飛ばされ、タカシはフィールドに叩きつけられる。

「神の効果を防ぎ、さらにモンスターも攻撃に耐えるとは…!まあいいでしょう。私はこれでターンエンド!」

「はあ…はあ…っ…!」

 満身創痍であったが、よろよろとタカシは立ち上がり、そして山札に指を乗せる。

「ターン貰います。ドロー…」


タカシ

HP:100 AC:3 手札:4枚

フィールド:ジャイアント・ギガ・スライム


ブルーナ

HP:2800 AC:0 手札:0枚

フィールド:タイムウォーク・スパイラル・ドラゴン


(残りHP100の絶体絶命のピンチ。遊太だったらここで切り札を引いて大逆転!ってなるんだろうけど…)

 タカシは手札のカードを確認する。

(俺には…あいつのような主人公補正は無い…神を倒せるカードもいない。神には除去もバウンスも通用しない。効果ダメージで倒すには…ダメだ、打点が足りない…)

「く…ここまで…か…」

「ふふ、破壊を免れたとはいえ素材が減って攻撃力・防御力共にダウン、あなたの場に残ったのは下級程度のステータスしかないモンスターだけ。どうやら打つ手なしのよう…ん?」

(タカシ!諦めるな!)

(ああ…幻聴まで聞こえてきた…走馬灯って奴か…)

(まだ逆転のチャンスは残されている!!)

(…ん??これ走馬灯ではなくね?幻聴…?)

(俺とお前の…絆のカードがまだ残っている!!)

(いや…幻聴じゃない!?遊太の声!?一体どこから…)

「…!?」

 タカシは声が聞こえてくる場所に気が付く。それは…タカシのデッキの中からだ。

(まさか…これって…!?)

 そしてタカシの異変にはブルーナも気が付いていた。

「あのデュエリストにはオーラは一切無い。当然デッキにもオーラは宿っていないはず…だのに…1枚だけ…カードがオーラをまとっている…?」

「…手札の落とし沼を捨ててクイックコールを発動します」


AC:3→2 手札:4→2→3枚

『クイックコール』 マジックカード

 自分の手札を1枚捨てる。そうしたなら、自分の山札から好きな下級モンスターを1枚選んで手札に加える。


 タカシはデッキのカードを確認。その中にある1枚のカードは不思議な光を放っていた。

「こいつは…!」


「なあ!タカシのデッキに入れたらどうだ!?」

「え…ええ……大切に使わせてもらうよ」

「ああ!!」

 タカシは遊太から受け取ったカードをデッキに入れた。


(遊太が鉱山で見つけて、俺に託したあのカード…!)

「…俺はウォーター・チャレンジャーを手札に加え、そして召喚!」


AC:2→1

『ウォーター・チャレンジャー』

下級 タイプ:水 分類:アクア 攻撃力:0 防御力:0


「攻撃力・防御力共に0のモンスター…?何を始めるつもりなのかしら…?」

「ウォーターチャレンジャーの効果を使います。自分の場の水タイプエクストラモンスターを1体選び、このカードをそのモンスターのエクストラ素材に加えます」

 小さな人型の液体モンスターは、ジャイアント・ギガ・スライムの身体の中に飛び込んでいく。


ジャイアント・ギガ・スライム エクストラ素材:3→4

攻撃力:1500→2000 防御力:1500→2000


「エクストラ素材が増えたことでジャイアント・ギガ・スライムの攻撃力が上がった…しかしそれでも攻撃力はたった2000!タイムウォークには遠く及ばない!」

「さらに!自分のデッキの上から4枚を墓地に送り、その中にある水タイプモンスターも全て、エクストラ素材に加える!」

「何ですって!?」

「ただし、この効果で引いたカードが水タイプ以外のモンスターだった場合…俺は1枚につき500ダメージを受ける…」

「一か八かの大勝負…ジャイアント・ギガ・スライム以上にあなたらしく無いカードね。しかしあなたのHPは既に残りたったの100!1枚でもモンスター以外のカードを引いた瞬間、あなたの敗北が確定する!オーラを持たないデュエリストであるあなたに勝ち目は無いわ!」

「………」

(頼む遊太…俺に力を貸してくれ!!)

「ドロー!!!」

 想いを込めて…タカシは山札から4枚ドローする!そして引いたカードを確認する…

「…確かにあなたの言う通り、俺は普通のデュエリスト。ピンチの時に解決札を引き当てる力も、未知のカードを創造する力も、カードを書き換える力も俺にはない」

「ふふ、今更負け惜しみかしら?」

「だが!『ウォーター・チャレンジャー』は遊太から貰ったカードだ!このカードには俺には無い力…遊太の力が宿っている!!」

「貰ったカードですって!?だからあのカードにはあのデュエリストと違ってオーラが…ということはまさか!?」

「俺が引いたカードは…これだ!!」

 タカシは4枚のカードをブルーナに見せる!


『チカゲロゲ』

『ヨブゲロゲ』

『ミラゲロゲ』

『カベゲロゲ』


「4枚ともモンスターカード…!!奇跡を起こしたとでもいうの!?」

「4枚のカードがエクストラ素材に加わったことでスライムの攻撃力・防御力もアップ!」

 カエルモンスターたちもジャイアント・ギガ・スライムの中に飛び込み、その身体はさらに大きくなっていき…タイムウォーク・スパイラル・ドラゴンに匹敵する巨体となる!


ジャイアント・ギガ・スライム エクストラ素材:4→8

攻撃力:2000→4000 防御力:2000→4000


「これが俺には無い遊太の力…主人公補正だあああ!!」

「攻撃力と守備力が神に並んだ…!?」

「そしてジャイアント・ギガ・スライムを対象にウェポンマジック『ダブル・アタック・チャンス』を発動!」


AC:1→0

ジャイアント・ギガ・スライム 装備:ダブル・アタック・チャンス


「バトル入ります!ジャイアント・ギガ・スライムでタイムウォーク・スパイラル・ドラゴンを攻撃!!」

 ジャイアント・ギガ・スライムを腕を大きく振るって攻撃体勢に入る!

「スライムインパクト!!」

 ジャイアント・ギガ・スライムの巨大な拳とタイムウォーク・スパイラル・ドラゴンは口から水のブレスが激突!フィールドに水の大爆発が巻き起こる!


ジャイアント・ギガ・スライム 攻撃力:4000

タイムウォーク・スパイラル・ドラゴン 防御力:4000


「パワーは互角…!」

「しかしジャイアント・ギガ・スライムは素材を2個取り除くことで破壊を無効にする!」


ジャイアント・ギガ・スライム エクストラ素材:8→6

攻撃力:4000→3000 防御力:4000→3000


 攻撃の衝撃で消滅するタイムウォーク・スパイラル・ドラゴンとジャイアント・ギガ・スライム。しかしスライムはバラバラになった身体が再生し、復活する!

「神が…敗れた!?しかしあなたのモンスターは攻撃終了!次のターンが回ってくればあなたはおしまいです!」

(そう、相手はモブキャラではなくユニークキャラ。相手の手札はゼロだが、次のターンを回せば確実に俺にとどめを刺すカードを引いてくる!だからこのターンで終わらせる!)

「俺はダブル・アタック・チャンスを墓地に送って効果発動!このターン中に自分の場のモンスターが攻撃を行い敵にダメージを与えられなかった場合…装備していたモンスターはもう一度だけ攻撃を行える!!」

「な…何!?」

「これでとどめだ!!ジャイアント・ギガ・スライムの攻撃!!」

 ジャイアント・ギガ・スライムは再び腕を振るい…巨大な腕をブルーナに叩きつける!!

「リ・スライムインパクト!!!」


ジャイアント・ギガ・スライム 攻撃力:3000

ブルーナ HP:2800→0


「く…ぐああああああああああ!!!」

 凄まじい攻撃により吹っ飛ばされ、仰向けに床に倒れるブルーナ。

「オーラ無しにしては異常だと…警戒はしていましたが…これ程とは…!申し訳…ございません…ザキダリ様…ぐっ…」

 そう独り言を呟くと、ブルーナは気絶してしまった。


「か…勝てたあ…」

 安心し、思わず床に倒れるタカシ。

「今回はマジで死ぬかと思った…今までと違って相手はユニークキャラだったもんな…遊太がくれたカード…と、主人公補正が無かったらどうなっていた事やら…」

 するとタカシは遊太から貰ったカードを見てあることに気づく。

(…遊太自身だけ出なく、遊太のカードにも主人公補正は宿るし、主人公補正があればユニークキャラとも戦えるんだな…遊太のめちゃくちゃデッキを俺が使いこなすのは無理にしても、遊太から貰ったカードがあればもしかしたら俺がラスボスを…)

「って!寝てる場合じゃなかった。ん?」

 タカシはブルーナのデッキから1枚のカード…『タイムウォーク・スパイラル・ドラゴン』のカードがデッキから抜け出し、何処かへ飛んで行く光景を目撃する。

 そしてカードが飛び立ったのと同じ方向に、水のデュエルフィールドが真っ二つに分かれ、道が切り開かれる!

「…行くか。最後の戦いへ…!」


To be continued…

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