TURN16:混沌を司る者

「ゲロゲロックで直接攻撃します。ブルブルフィスト!!」

「バカな…私はダークワールドの一員だぞ!?あのお方から頂いた強力なカードもあるのに…こんな一般人に負けるというのか…!?」

 ゲロゲロックは振動する拳でダークワールド兵士をぶん殴る!

「ぐおおおおおおおおおお!!!!」


沼地の支配者ゲロゲロック 攻撃力:1500

ダークワールド兵士 HP:1300→0


 攻撃を喰らって吹っ飛ばされ、仰向けになって気絶しているダークワールド兵。そんな様子を見てタカシは思わず尻もちを付く。

「ふう…勝てたあ…流石に生きるか死ぬかって状況は緊張したわ…」


「銀河の連打竜の連続攻撃!!」

「「「ぐぎゃあああああ!!!」」」


「マスカレードクイーンと2体のスカルナイトで攻撃!!」

「「「うぎゃあああああ!!!」」」


 大和と愛良の二人も決着が付いたらしい。タカシと合流する。

「ふう、何とか全員片付いたわね」

「貴様、結局一人しか倒せていないのか」

(いや複数人まとめて倒すとかお前たち強すぎだろ…そうはならんやろ。いや、なってるんだけど)

「それよりも早く遊太を追いかけましょう」

「そうだな。奴がやられていたら俺が倒さねばならん」

「ちょっと!不吉な事言わないで。遊太はあんな奴に負けない」

「ふん…さて、まずは奴が何処に行ったかを探さないと…」

「…タカシ?どうしたの?そんな口をあんぐり開けて」

「あ…えーっと…あれ」

「…!?」

 タカシが指した方向の光景。それは…

「あれは…戦闘機械の巨人…?」

「いや、違う。兵士たちが使ったモンスターとは大きさも…威圧感もまるで異なる。恐らく奴らのリーダーのエースモンスターだ。どうやら既にデュエルは始まっているようだな…」

「急いで追いかけましょ!」


「ふっはっはっ!!」

「くっ…こいつ…強い…!」

 遊太と対峙するのは半分に割れた仮面を付けた銀髪の男。遊太は苦し気な表情だ。


遊太

HP:200 AC:0 手札:0枚

フィールド:エレメンタル・ドラゴンマージ

裏側カード:1枚


ソラシド

HP:3000 AC:0 手札:0枚

フィールド:戦闘機械の破滅巨人


そして竜に乗った魔術師『エレメンタル・ドラゴンマージ』の目の前には、何体もの機械巨人が無理やり結合されたような外見の、超巨大な機械巨人が立ちふさがっていた!


『エレメンタル・ドラゴンマージ』

エクストラ タイプ:風 分類:魔術師 攻撃力:2600 防御力:2400

召喚条件:エレメンタル・マジシャン+風タイプ中級ドラゴンモンスター


戦闘機械の破滅巨人バトルギア・デストロイ・ゴーレム

エクストラ タイプ:地 分類:機械 攻撃力:3500 防御力:3500

召喚条件:戦闘機械の巨人+地タイプ中級以上の機械×2


「遊太!!」

 大和たち一行も遊太の元へたどり着いた。

「皆!無事だったんだな!」

「ほう。ダークワールドの兵士たちを倒してここまでたどり着いたとはな。しかし残念だったな!もうすぐこのデュエルも終わる…俺様の勝利でな!!」

 戦闘機械の破滅巨人の全身の通気口から煙があがり、攻撃体勢に入る!

「戦闘機械の破滅巨人でエレメンタル・ドラゴン・マージを攻撃!」

「まずい!攻撃力は戦闘機械の破滅巨人の方が上…!」

「しかも戦闘機械モンスターはカウンターカードの効果を受けない…!」

「カウンターカードだけではない!!戦闘機械の破滅巨人は最強の戦闘マシン!!あらゆるカード効果を受け付けない!!貴様の裏側カードがどんなものであろうと、勝ち目はないということだ!!」

「………」

(この状況は…)

 勝ちを確信するソラシドに焦る大和と愛良。そして苦渋の表情を浮かべる遊太。そんな様子をタカシは黙って見つめていた。

「消え去るがいい切藤遊太!!戦闘機械の破滅巨人の攻撃!!ゴーレム・ハイパー・インパクト!!」


戦闘機械の破滅巨人 攻撃力:3500

エレメンタル・ドラゴンマージ 防御力:2400

遊太HP:200


 超巨大な腕を振り下ろす、戦闘機械の破滅巨人の攻撃がエレメンタル・ドラゴンマージに炸裂する…!

「遊太あああああ!!!」

 思わず遊太の名前を叫ぶ愛良。そして攻撃によって巨大な砂煙が巻き起こる。

「くっくっく…はーっはっはっは!!俺様の勝ちだー!!」

「…それはどうかな?」

「…何!?」

 砂煙が消えると…そこには遊太の姿が!!


遊太HP:100


「遊太!!」

「ふっ、流石にしぶといなお前は」

 遊太が無事なことを知り、笑みを浮かべる愛良。毒づいている大和も心なしか嬉しそうだ。そしてタカシは…

(ですよねー!知ってた!絶体絶命のピンチでもギリギリ耐えて逆転する!お約束の展開!俺も何度もこれにやられたからこうなると思ってたわ!)

「バカな!?俺様の戦闘機械の破滅巨人の方が攻撃力は上で、しかもカウンターカードは効かないはず!何故生きている!?」

「俺はカウンターカード『緊急回復』を発動していた!!」

「緊急回復だと…!?」


緊急回復の効果でHP1000回復。

遊太HP:200→1200


戦闘機械の破滅巨人 攻撃力:3500

エレメンタル・ドラゴンマージ 防御力:2400


攻撃により遊太に1100ダメージ。

遊太HP:1200→200


「緊急回復は自身が攻撃を受ける時にHPを1000回復するカウンターカードだな」

「…効果の対象となるのはプレイヤー自身ですね」

「つまり相手が効果を受けない戦闘機械の破滅巨人だろうと、関係なく効果を発動できた訳ね!」

「チッ…だが貴様のHPは残りたったの100!そして俺様の戦闘機械の破滅巨人は攻撃力だけ出なく防御力も3500もある!しかも俺様のHPはまだ3000も残っている!逆転など不可能だ!!ターンエンド!!」

「確かにアイツに言う通り…状況はかなり絶望的ね…ここからどうやって逆転すれば…」

「…大丈夫ですよ」

「え?」

「…遊太ならここから逆転できます」

「そう…ね…今は信じるしかないわね。遊太!!アンタとアンタのカードたちの力で!逆転を一手を引き当てなさい!!」

「…ああ!!行くぜ!!俺のターン!!」

(そう、遊太なら大丈夫。)

「運命の…ドローオオオオオオオ!!!」

(何故ならば…)


遊太

HP:100 AC:3 手札:1枚


ソラシド

HP:3000 AC:0 手札:0枚

フィールド:戦闘機械の破滅巨人


 遊太はドローしたカードを確認し、そしてにやりと笑みを浮かべる!

「よし!来た!!これが俺たちの…逆転の一手だ!!」

(それがお約束の展開だからだ!!!)

「マジックカード『光と闇の儀式』!!」

「光と闇の儀式…?どんなカードかは知らんが、俺様の戦闘機械の破滅巨人にはマジックカードの効果も通用せぬぞ!!」

「墓地に存在する光タイプのモンスターと闇タイプのモンスターを1枚ずつ裏向きにして…さらに俺の残りHPを半分にして効果発動!」


遊太HP:100→50


(ちなみに裏向き状態で墓地に置かれたカードはゲームが終わるまで存在しないものとして扱われます。…って俺、誰に向かって説明してるんだ?)

「自分の墓地から光タイプ、そして闇タイプのモンスターを1体ずつ選んで召喚する!俺が選ぶのはこの2体だ!エレメンタル・マジシャン!そしてエレメントを司りしもう一人の魔法使い!エレメンタル・プリースト!!」

 黒いローブに身を包んだ男性の魔術師、そして白い装束に身を包んだ女性の魔術師が姿を現す!


『エレメンタル・マジシャン』

上級 タイプ:闇 分類:魔術師 攻撃力:2500 防御力:2100


『エレメンタル・プリースト』

上級 タイプ:光 分類:魔術師 攻撃力:2000 防御力:2500


「ただしこのカードで召喚したモンスターの効果はターン終了時まで無効になる!」

「遊太のエース!エレメンタル・マジシャンだわ!!」

「そしてエレメンタル・マジシャンの姉であり師匠であるエレメンタル・プリーストか!」

「ほう、上級モンスターを一気に2体も召喚してくるとはな。だがいくら上級モンスターを並べようが俺の戦闘機械の破滅巨人の防御力は3500!貴様の軟弱なモンスターではダメージを与えることはできん!」

「まだ終わりじゃないさ!俺はエレメンタル・マジシャンとエレメンタル・プリーストの2体でエクストラゾーンを展開!!」

 二人の魔術師達はデュエルガジェットの中に飛び込んでいく!

「上級モンスター同士でエクストラ召喚だと!?」

「光と闇。二つの魔導が交わりし時、この世界に新たなるエレメントが誕生する!エクストラ召喚!いでよ!!混沌を司る魔術師!エレメンタル・カオス・マジシャン!!」

「ハーアッ!!」

 白と黒の装束を身にまとった魔術師が姿を現した!


『エレメンタル・カオス・マジシャン』

エクストラ タイプ:闇 分類:魔術師 攻撃力:3000 防御力:2500

召喚条件:エレメンタル・マジシャン+光タイプ上級魔術師


「エレメンタル・カオス・マジシャン…!!」

「遊太の新たな切り札!!」

(アニメでも見たけど間近で見ると迫力すげーなあ)

「行くぜ!!エレメンタル・カオス・マジシャンで戦闘機械の破滅巨人を攻撃!!」

 エレメンタル・カオス・マジシャンは手に持っている魔導の杖を構える!

「バカめ!!戦闘機械の破滅巨人の防御力は3500で貴様のエレメンタル・カオス・マジシャンの攻撃力は3000!返り討ちだ!!」

「この瞬間!素材カード2枚を墓地へ送ってエレメンタル・カオス・マジシャンの効果を発動!!」

 魔導の杖が巨大な光と闇を放つ!

「この戦闘中、カオス・マジシャンの攻撃力は…相手モンスターの防御力分アップする!」

 魔導の杖から放たれる光と闇は巨大化していき…戦闘機械の破滅巨人をも上回る大きさへと変化する!


エレメンタル・カオス・マジシャン

攻撃力:3000→6500


「こここ、攻撃力6500だとおおおおお!?」

「いっけー!!混沌のデュアルバーニング!!」

 巨大な光と闇の魔法が破滅の巨人を吹き飛ばす!!

「バカな!!ダークワールド幹部!パワーナインであるこの俺が!!敗れるというのか!?」


エレメンタル・カオス・マジシャン 攻撃力:6500

戦闘機械の破滅巨人 防御力:3500

ソラシド HP:3000→0


 攻撃による大爆発が巨人もろとも周囲の物を吹き飛ばす!!

「ぐ、ぐああああああああああああ!!!!」

 攻撃を喰らい、ソラシドは倒れる!

「勝ったあ…ふう」

 思わずホッとする遊太。愛良はすぐさま遊太に駆け寄る。

「遊太!!大丈夫!?」

「ああ…なんとかな」

「ふん、あんなに苦戦するとはな。俺ならもっと早く勝てた」

「相変わらず大和は手厳しいなあ」

「くっくっく…」

「!!」

 ソラシドの声が聞こえてきた。どうやら気絶はしていなかったらしい。

「あの攻撃を喰らってまだ意識があるとは…しぶとい男だな」

「パワーナインの一人であるこの俺様を倒すとは…流石だと褒めてやりたいところだ。だがしかし!ダークワールドには俺様よりも強いデュエリストがまだまだいる。貴様らがどんなにあがこうと!絶望の未来は変わらないのだ!ふははははは!!」

 するとソラシドを怪しげな光が包み込み…1枚のカードが地面に落ちる。

「あいつ…自らカードに封印されやがった…!」


「何!?」

「ソラシド様がやられただと!?」

「撤退!撤退だー!!」


「街中で暴れていた兵士たちが…」

「撤退していく…」

「ふんっ!」

 逃げていくダークワールド兵士に向かって大和は何かを投げつけた。

「何とか追い払うことはできたみたいだな…街をめちゃくちゃにされちまったのは悔しいところだけど」

「そうね…もう夜遅くになっちゃったし、ひとまず今日は自分の家に帰らない?家族が無事か心配だし」

「ああ、そうだな」

(家族…そっか。ばあちゃんは大丈夫かな…)

「あ、そうだタカシ。お前もダークワールドと戦ってくれたんだろ?」

「え、あ、うん」

「一人しか倒していないがな」

「一人だけでも十分さ!勇気を出して立ち向かってくれた!お前も立派なデュエリストさ」

「遊太…」

「ありがとな!!」

 満面の笑みで遊太はタカシにそう伝えた。

「あ…うん…」

 少し照れ臭そうに返事をするタカシ。

「じゃあまた明日な!!」


(ありがとう…か…対戦の後に挨拶するのは習慣としてずっと続けていたけど…あんな気持ちのこもったお礼をされたのは、いつ以来だろうか…っと、それよりも今はばあちゃんだ)

 そんなことを考えながら遊太は居候先であるチヨの家へ向かう!


To be continued…

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