TURN6:エレメント束ねし主人公(ヒーロー)

(前回までのあらすじ。カードアニメの世界に転生した俺はある日、この世界の主人公である『切藤遊太』にデュエルを挑まれ勝利。その後リベンジマッチを挑まれたが、俺は今の所優位に立っていたのであった!)


「ターン貰います、ドロー」


遊太

HP:2400 AC:0 手札:3枚

フィールド:サモン・マジシャン 鋭石の巨兵 セットアップガール

タカシ

HP:4000 AC:3 手札:2枚

フィールド:沼地の支配者ゲロゲロック

裏側カード1枚


「遊太が繰り出したモンスターの攻撃力を下げて返り討ちにするとはね…」

「でもダブルヘッドドラゴンはやられちゃいましたがまだ3体モンスターが残ってるっす!切断の壁で下げられたのは攻撃力、防御力はそのままっすからね!」

「………」


「『魔鎖鬼の壺』使います。2枚ドロー」

(ヨブゲロゲに天使の豊札か…悪くはないかな)


AC:3→2 手札:1→3枚

『魔鎖鬼の壺』 マジックカード

自分の山札から2枚ドローする。


「ヨブゲロゲを召喚。召喚時に効果発動。ドロゲロゲを召喚。その効果で1ドロー」


AC:2→1 手札:2→3枚

『ヨブゲロゲ』

下級 タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:0 防御力:100


『ドロゲロゲ』

下級 タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:0 防御力:100


「またヨブゲロゲからの更なるゲロゲ…相変わらず次々とカードを出してくるっすね…」

「そしてドロゲロゲは場にゲロゲモンスターが3体いれば出た時に1枚ドローが出来る。息切れもしにくいのがあのデッキの恐ろしいところね…」


「カードを1枚裏側で出します」


AC:1→0 裏側カード:1→2枚


(裏側カードはしっかり準備した。次のターンに手札を補充できる手段もある。この番で出来ることはこんなもんかな)

「まずはゲロゲロックの効果発動。素材カードを1枚捨てて対象はマジックで」

「これで次のターンまで互いにマジックは使えなくなったわけか…!」

「さらにヨブゲロゲとドロゲロゲでエクストラ」

(先週戦った時は水タイプ2体で召喚できる『ウォーターサーファー』を使ってきたよな。あいつを出して俺のモンスターを手札に戻すつもりか?)

 ヨブゲロゲとドロゲロゲがデュエルガジェットに吸い込まれると、毒沼が現れ、その中から毒々しいカエルモンスターが這い上がってくる!

「毒沼のゲロゲポイズンを出します」

「え!?」


「先週とは違うモンスター!?」

「状況に応じてエクストラ召喚するモンスターを変える…それがあいつの戦法…!」

「ん?今のってカエルと変えるを掛けたんすか?」

「別にシャレじゃないわよ…」


『毒沼のゲロゲポイズン』

エクストラ タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:1000 防御力:1000

召喚条件:水タイプ爬虫類下級モンスター×2


「ゲロゲポイズンの効果発動。1ターンに一度、素材にしたモンスターを墓地に送り、相手モンスター全員の攻撃力・防御力を1000下げます」

「何だって!?」


鋭石の巨兵 攻撃力:300→0 防御力:1800→800

サモン・マジシャン 攻撃力:0 防御力:1600→600

セットアップガール 攻撃力:0 防御力:100→0


「ひょひょひょー!?先輩のモンスターが毒でへなちょこにー!?」

「マジック封じの次は能力ダウン!あいつ…隙が無い!」


「バトル入ります」

(ダメージ量考えればセットアップガールを攻撃するのが一番だけど…どちらにせよこのターンで仕留めるにはダメージ足りないんだよな。だったら進化しそうな奴潰すの優先した方がいいか)

「ゲロゲポイズンでサモン・マジシャンを攻撃」

 ゲロゲポイズンから放たれる毒のビームがサモン・マジシャンを貫こうとしたその時、とげとげした身体の小さなモンスターが現れる。

「ウニウニー!」

「!?」

「手札のタテウニボーを墓地に送って効果発動!自分のHPが相手のHPより少ない場合、このターンが終わるまで俺のモンスター全員は戦闘では破壊されない!」

(ちっ…手札誘発を握っていたか…!)

「でもダメージは通ります」

「ああ、それは覚悟の上だ!うっ!」


毒沼のゲロゲポイズン 攻撃力:1000

サモン・マジシャン 防御力:600

遊太 HP:2400→2000


(戦闘でモンスターを破壊して場を一掃するつもりだったけど…戦闘破壊出来ないならダメージを優先するか…)

「ゲロゲロックでセットアップガールを攻撃」


沼地の支配者ゲロゲロック 攻撃力:1500

セットアップガール 防御力:0

遊太 HP:2000→500


 騒音による攻撃がモンスターを襲い、余波で遊太も吹っ飛ばされる!

「がああああ!!!」


「遊太!!」

「先輩!!」


「いってえ…でも仲間達は守ることが出来た。ありがとな、タテウニボー」

(うーん、モンスターを破壊出来なかったのは痛いなあ。まあカウンターもちゃんと伏せたし、ゲロゲロックもまだ生きてる。次のターンくらいは凌げるだろう!)

「ターンエンド」


遊太

HP:500 AC:0 手札:2枚

フィールド:サモン・マジシャン 鋭石の巨兵 セットアップガール

タカシ

HP:4000 AC:0 手札:1枚

フィールド:沼地の支配者ゲロゲロック 毒沼のゲロゲポイズン

裏側カード2枚


「ひょえええええ…先輩のHPは残りたったの500…もうダメっすよお…」

「不幸中の幸いなのはモンスターは守りきれたことだけど…」

(恐らく遊太の狙いは進化召喚による一発逆転。でも上級モンスターを出したとしても落とし沼やミラーバリアで破壊される可能性が高い。どう乗り越えるつもりなの…?)


(そういえば…前世が見たアニメの遊太っていつもHP残り1000を切った状態から一発逆転って展開が多かったよな。丁度今みたいな状況で…いや、まさかな!こっちのHPは満タン、場にはカウンターカード2枚!そう簡単には突破できないだろう!!)

「…俺のターン!」

(このドローで…全てが決まる…!)

 遊太は目をつぶり、特訓の事を思い出した。


「よいかね切藤君、キミのデッキのエースカード『エレメンタル・マジシャン』は様々なエレメントを束ねる力を持つモンスターじゃ。その力を引き出すためには…この特訓で大自然が持つエレメントをキミ自身の身に付けるのじゃ」

「大自然が持つ…エレメント…」


(エレメンタル・マジシャン!お前の本当の力を引き出してみせる!!)

「行くぜ!!ドロオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 全身の力を指に込め、遊太はカードを引く!そして引いたカードは…

「来た!!あらゆるエレメントを束ねし最上級魔術師!エレメンタル・マジシャンを進化召喚だ!!」


AC:3→2

『エレメンタル・マジシャン』

上級 タイプ:闇 分類:魔術師 攻撃力:2500 防御力:2100


「キター!先輩のエースカード!エレメンタル・マジシャン!!」

「でもあいつの裏側カードは恐らく…」


「落とし沼を発動。エレメンタル・マジシャンを破壊」

 足元に底なし沼が現れ、エレメント・マジシャンを呑み込む。


「うわあああん!!折角出したエースが!?」

「落ち着きなさい新聞部。遊太の目を見てみなよ」

「…へ?」


(焦っているようには見えない…まだ逆転の手が残ってるってことか?しかしゲロゲロックでマジックが使えない今、そんな方法があるとも思えないが…)

「やっぱり落とし沼を仕掛けてきたか…やるな!だけど俺の上級モンスターはエレメンタル・マジシャンだけじゃないんだぜ?」

「…!」

(…まさか!?)

「聖なる岩の鎧で敵陣を踏みつぶせ!上級進化!!いでよ!聖石の巨兵!!」

 鋭石の巨兵は光り輝く石を身にまとったゴーレムへと姿を変える!


AC:2→1

『聖石の巨兵』

上級 タイプ:地 分類:岩石 攻撃力:2000 防御力:2500


「ひょー!2体目の上級モンスターっすか!!」

「なるほど…このために大ダメージを受けるのも覚悟でモンスターを守ったのね!」


(…いやいやいや!上級モンスターは確かに強力だが、進化前となる同じタイプ・分類の下級と中級が場に出ていない状態では役立たない…事故要員になりうるカード。マジックロックがかかってる状況でそれを2種類揃えただと!?いくら何でも引きが良過ぎないか!?)

「聖石の巨兵の効果発動!こいつが場に出た番に一度、相手フィールドの裏側カードを1枚選び破壊する!クラッシュスタンプ!!」

 聖石の巨兵が大地を踏みしめると地割れが発生し、タカシのフィールドに伏せられたカードが破壊される。

「あ、ミラバリ…」

「よし!」


「聖なる結界ミラーバリアを破壊したっす!」

「これで相手の裏側カードはゼロ。ようやくまともに攻撃が通るようになったわね」


(ゲロゲロックを突破できるモンスターを出されたか…でもまだライフに余裕はある。こっちが有利なのには変わりない!)

「これで終わりじゃないぜ!送り火ゴーストを召喚!」


AC:1→0

『送り火ゴースト』

下級 タイプ:炎 分類:ゴースト 攻撃力:300 防御力:300


「そして効果発動!俺自身のHP半分と引き換えに…墓地の効果を持たない闇タイプモンスター1体を復活させる!」

「…!!」

 火の玉のような外見のゴーストモンスターがくるくると回ると魔法陣が出現。その中から魔術師が姿を現す。

「さあ蘇れ!エレメンタル・マジシャン!!」


遊太 HP:500→250

『エレメンタル・マジシャン』

上級 タイプ:闇 分類:魔術師 攻撃力:2500 防御力:2100


「やったー!エレメンタル・マジシャン復活!総攻撃を仕掛ければ相手のモンスターは全滅できるっす!」

「………」

「どうしたっすか?盛り上がる状況なのに浮かない顔っすね」

「確かにモンスターは全滅させられるわ。でも遊太のライフは残りたったの250。それにフィールドには防御力0のセットアップガールが残ってる。このターンに仕留めることが出来なければ…次のターンに攻撃されておしまいよ」


(ゲロゲロックの防御力は1800、ゲロゲポイズンの防御力は1000。巨兵とマジシャンそれぞれに攻撃されても合わせて1700ダメージ。さらに火の玉ゴーストの攻撃を加えて300ダメージ、合わせて2000ダメージ。かなり痛いがまだ耐えられる)

 タカシは手札のカードを確認する。

(そして俺の手札は『女神の豊札』。ドローソースはしっかり確保してある。次のターンに攻撃できる何等かのモンスターを出してセットアップガールを攻撃すれば俺の勝ちだ!)

「…確かにエレメンタル・マジシャンと聖石の巨兵で攻撃してもとどめを刺すことは出来ないな。でも…誰がこの2体で攻撃するって言ったんだ?」

「…へ?」

「俺はエレメンタル・マジシャン、聖石の巨兵、送り火ゴーストの3体でエクストラゾーンを展開!!」

 3体のモンスターが遊太のデュエルガジェットの中に吸い込まれていく。

「エクストラ召喚…!?」

(いや、遊太がエクストラ召喚を使うことは知ってる。前世で見たアニメの中でも登場したからな。でも…この3体を素材にするエクストラなんかいたっけ?)

「この星の奥底に眠る!灼熱のエレメントを呼び覚ませ!!エクストラ召喚!!」

 デュエルガジェットの中からマグマが吹き出し、その中から赤き魔導士が姿を現す!

「いでよ!!エレメンタル・アースコア・マジシャン!!」

「はっ!」


『エレメンタル・アースコア・マジシャン』

エクストラ タイプ:炎 分類:魔術師 攻撃力:2500 防御力:2500

召喚条件:エレメンタル・マジシャン+地タイプモンスター+炎タイプモンスター


「ひょっひょー!!エレメンタル・マジシャンが進化した!!」

「ふうん…特訓でエクストラ召喚を会得したのね。やるじゃない!」


(何だこいつ!?こんなのアニメに登場したっけ!?ってか前世の世界でもカード化されてないよな!?)

「アースコア・マジシャンの効果!1ターンに一度、エクストラ素材モンスターを墓地へ送って発動!墓地へ送ったモンスターのタイプが地または炎だった場合、相手の水タイプモンスターを全て破壊する!!」

「!?!?!?」

(ちょっと待て!?いくらなんでもメタがピンポイント過ぎない!?)

「聖石の巨兵が持つ大地の力を借りるぜ!灼熱のマグマは海をも干上がらせる!マグマオーシャンウェーブ!!」

 アースコア・マジシャンが灼熱の杖を振るうとマグマの大波が発生。ゲロゲロックとゲロゲポイズンを呑み込んでしまう!

「さらに!墓地へ送ったのが上級モンスターだった場合、破壊した数×800ポイントのダメージを相手に与える!!」

 マグマの粒がタカシにも降りかかる!

「あっつ!!」

(殺意たっけえなおい!!)


タカシ HP:4000→2400


「おおっ!800×2で1600ダメージっす!」

「これで相手のライフは残り2400!」


(まずいまずいまずいまずいまずい!裏側カードはもう無いし、手札誘発も握れていない!完全に積んでる!)

「これで決める!!エレメンタル・アースコア・マジシャンで直接攻撃!灼熱のアースコア・ストーム!!」

 アースコア・マジシャンの杖からマグマの竜巻が発生し、タカシに襲い掛かる

「んぎゃああああああああああ!!!」


タカシ HP:2400→0


「ぶつぶつぶつぶつ…」

(クっソー落とし沼をエレマジが出たタイミングで打ったのはプレミだったな…アースコアが出てから打てば勝てたし…いや、それは結果論か?普通に考えたらあの状況でエクストラ素材3種類を都合よく揃えてくる可能性の方が低いよな…うーん…)

「…?」

 座り込んでいた自分に遊太が手を差し伸べていることに、タカシは気が付いた。

「サンキュー!楽しいデュエルだったぜ!!」

「………」

(いややっぱり納得いかんわ!!1ターン目にマジック2枚使われたとはいえ、それ以降はずっとマジックロックしてたんだぞ!?大半のドロソやサーチは使えないはずなのに何故回る!?運良過ぎだろ!?解せぬ解せぬ解せぬ!!)

 デュエルに勝ってマウントを取る事に生きがいを感じていたタカシの前世、高橋たかし。故にその記憶を継ぐタカシも大の負けず嫌いなのである。

「あのっ…えっと…またデュエルしましょう。次は負けないっすから…」

 タカシは遊太の手を借りずに立ち上がった後、そう告げた。

「ん?おう!またやろうぜ!でも俺だって次も負けないぜ!」


 それから数日後…

「ゲロゲロックで攻撃」

(この攻撃が通れば俺の勝ちだ!!)

「ウニボーの効果発動!!」

(手札誘発握ってるのかよ!?)


さらに数日後…

(このターンさえ凌げれば俺の勝ちだ!)

「いっくぜー!これが俺の新たなエース!!」

(この状況で何故大型モンスターが出てくる!?)


さらにさらに数日後…

(あのカードさえ引かれなければ俺の勝ち!!)

「きたぜー!俺のキーカード!!」

(思ったそばから引いてくるのかよ!?)


「サンキュー!今日も楽しいデュエルだったぜ!」

(何故勝てないんだああああああああああ!!!)

 タカシは幾度となく遊太にデュエルを挑み、見事十連敗を達成したのであった!


To be continued…

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