倫理学専攻

ジュン

第1話

西田は、聡明大学哲学科の学生だ。

二回生になり、専攻を決める時期だ。

ところで、哲学科は、だいたい①西洋哲学専攻②印度仏教哲学専攻③中国思想専攻④イスラム学専攻⑤倫理学専攻、そして⑥美学美術史専攻に分かれることが多い。

西田は決めていた。

「僕は、倫理学を取ろう」

「人間はどのように生きたらいいのか」

西田はそれに関心がある。

しかし西田には、確信していた答えがあった。

「人間は『平凡』に生きるのが善い生き方だ」

西田は思った。

「アリストテレスは中庸(メソテース)が善い、孔子も中庸が善い、釈迦は中道が善いと言っている」

西田は思った。

「大哲学者なり大思想家というものは、当たり前のことしか言わないものだ」

西田はさらに思った。

「当たり前のことしか言わないのは『当たり前』なのだ」

西田はなぜそう思ったのか。

「哲学、倫理学は『普遍性』を重んじる、探究するわけだろう。『普遍性』とは『当たり前』の言い換えじゃないか」

西田は考えた。

「『当たり前』でない『特別な』存在に出会ったら、『倫理学』は機能不全に陥って『絶倫』が訪れる。マカ不思議な体験になる、マカによって」

西田は自信があった。

「その時はマカせておけ!」



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倫理学専攻 ジュン @mizukubo

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