第2話

「いやでもさ、緊急の電話かもしんないし...」


と俺。


「そっか。じゃあ、この続きはまた後で」


電話は見知らぬ番号だった。


でも。


着信の文字をタップして電話に出たら声は

聞いたことがある綺麗な声だった。


「もしもし」


「あ、山吹くん!

私だよ!今日山吹くんに振られた

林ユーコだけどさ...!」


「あ、ああ...」


「今、山吹くん家の玄関まえに

いるの。ちょっと家の中、入れてほしいなって

思って...」


「いや、今はちょっと取り込んでいて

ダメなんだ...」


俺はチラリとマヒロを見た。


早く、電話切ってよ、

と言いたげにほっぺを少し膨らませてた。


少しの間の後。


「え、あ、こんばんは」


と挨拶の声。


「君は?家に何か用?」


俺の父親の声だった。



「あ、私、同じ学年の林ユーコと言います。

えっとシンジくんに用事があってきました」


「そうなんだ。じゃ、今、鍵を開けるね...」


おおおおおい、


や、やめろ、親父...



ガチャリ...の音がリアルに聴こえて。


更に。


嬉々とした林ユーコの声も耳に入ってきた。


「お邪魔しまーすw」









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