ゴール!ゴールは、どこだぁー!?

ヘパ

第1話 ゴール!ゴールは、どこだぁー!?

 ゴール!ゴールは、どこだぁー!?


おちつけ!おちつくんだ、ヘパイストス!


いや、無理だー!うしろから、ミノタウロスの足音が、せまってくるんだもん!


なんとかして、ゴールまで、逃げきらないと!


つかまったら、ゲームオーバーに、なっちゃうー!



 なんで、俺、こんなめに、あってるんだろう……。


なんで、こんな恐ろしい迷宮めいきゅうに、迷いこんじゃったんだろう……。



 それは、ひょんなことだった。


友達で、あそぼう!って、約束してて、海のレストランに集まったんだけど。


『ごめん。コンサートで、遅れる。』って、アポロンちゃんから、連絡が来た。


『部屋に、行ってていいよ!』って、言われたから、ダイダロス先生と、プロメテウスおじさんと、いっしょに、2階にあがった。



 「先に、俺たちで、遊んでようぜ!」って、ダイちゃんが、アポロンちゃんの部屋のゲームを、かってに、あさりはじめた。


「これなんか、おもしろそうじゃない?」


「なに?ラビリントス……?」って、プロちゃんが言った時。


あー!って、思った。


「それ!知ってる!トリトンが、持ってたやつ!」


「どんなゲーム?」って、きかれたから。


ミノタウロスに、つかまらないように、迷宮から、脱出するゲームだって、説明した。


「でも、俺は、見てただけで。プレイしたことないから、よく、わかんないんだけど。」



 ダイちゃんとプロちゃんが、「へー、ホラーか。」って、なって。


みんなで、やれば、ホラー、怖くないんじゃない?って、話になって。


ラビリントスに、決定した。



 それが、たぶん、1時間くらい前のこと……。


 ラビリントスは、石の壁に囲まれてる、冷たい雰囲気ふんいき巨大迷路きょだいめいろで。


時々、モンスターの声とか、きこえるし。


急に、ミノタウロスが、がばっ!って、出くるから。


めちゃくちゃ、わぁー!って、びっくりするし!


こんな、心臓がいくつあってもたりないダンジョンの中を、長い間、ひとりで、うろうろしてたら……。


もうだめだ、頭おかしくなりそうだ。



 最初は、ダイちゃんとプロちゃんと、いっしょに、歩きまわってたんだけど。


不意打ちで、ミノタウロスが出てきたせいで、散り散りに、なってしまった。



 ふたりとも、どこ、いっちゃったんだ……?


まさか、すでに、モンスターとかに、われた?


だとしたら、俺だけでも、ゴールに、たどりつかないと!


ゲームオーバーになるのは、いやだー!


……って、必死に、出口を探してるんだけど。


右に行ったら、行き止まりだし。左に行ったら、同じ場所に、また戻ってきちゃった……。



 だめだ!完全に、迷った!抜け出すなんて、無理!


どうしよう!って、途方に暮れて、困ってたら。


追い打ちをかけるみたいに、暗闇の向こうから、ミノタウロスの足音が、きこえた。


どんどん、こっちに、近づいてくる!


後ろは、壁!もう、逃げられない!われる!?


わぁー!って、覚悟して。その時を、待ってたら。


天井から、リボンがれてきた。


『つかめ、ヘパ!』って、天からの声が言った。



 リボンをつかんだら。次の瞬間、ダンジョンの外にいた。


なんか、よくわかんないけど……ゴールできた!?


「やったー!クリアできたー!」って、VRゴーグルを、はずしたら。


アポロンちゃんが、あきれた顔してた。


「俺が、助けてやったんじゃん!アイテムまで、つかわせやがってよ!」


そう言うアポロンちゃんの後ろで、ダイちゃんと、プロちゃんが、笑いをこらえてる。



 ふたりの声、聞こえないし。姿、見えないと思ったら!


ダイちゃんと、プロちゃんってば、先に、VRゴーグル、はずして、戦線離脱してた。


外野がいやから、俺が怖がってるの見て、笑ってたのか!?


てっきり、ゲームオーバーしたのかと、思ってたのに!


うわぁー!完全に、ハメられたー!



 「ひどい!いっしょに、ゲームやってるって、思ってたのに!」


「ごめん。けっこう、笑わせてもらった。たのしかったよ。」って、プロちゃんは、ついに、声あげて笑いだした。


ダイちゃんは、しゃべれないくらい、笑い転げてる。



 家に帰ってきたら、俺が叫んでて、びっくりしたって、アポロンちゃんに言われた。


「ヘパの悲鳴、うるせー。廊下まで、ひびいてた。なんか、かわいそうだったし。レアなアイテム、つい、つかっちゃったよ。アイテム消費の罪は、重いぞ、ヘパイストス。もう一回、探索たんさくに行こう。ただし、みんなで。」


「みんなで!?」って、ダイちゃんと、プロちゃんが、やるの!?って、顔してた。


「やる。」って、アポロンちゃんが、きっぱり、言った。


「てゆーか、俺、今、帰ってきたんだよ。おまえらだけ、遊んでんじゃねぇよ。」


「違うのやらない?」って、ダイちゃんが、言ったけど、アポロンちゃんは。


「俺も、ひとりじゃ、怖くて。このゲーム、できないから。」って、ことで。


ラビリントス、第2ラウンドが、はじまった。



 さっき、一回、ゴールしちゃったから。ゲームが、めちゃくちゃ、難しくなってる。


ミノタウロスが、3体に、増えてたし。しかも、ランダムに、瞬間移動してくるし。


たいまつを、ともしてないと、真っ暗で、なにも見えないし。


ゴールするの、つらい!


友達と協力プレイじゃなかったら、まじで、怖かった!


みんなで、叫びまくって。ほんと、今日は、声が枯れた。

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