やめよっか(彩花side)
「小村さん、だろ?」
「…………」
何も言わない私に、もう一回ため息をつき、そっと頭を撫でてくれた。
「こんなことしても、俺のことを異性として見てくれないのは知ってるよ。」
私は、馬鹿だ。ここで泣いたら、もっと馬鹿だ。サイテーだ。でも、頭の上の温かさは、涙を誘う。
ごめん、もう、やめて………。
「っ、ふっ、ごめんなさ……!うふっう……あぁ」
「俺、泣かせたかったわけじゃないんだけど。」
少し、怒っているような低い声できゅっと心臓をつかまれたような恐怖におののく。だけど、頭はポンポンしてくれる。
「やめよっか。この関係。」
切り出したのは、たっくんだった。
「ありがとな、俺に付き合ってくれて。」
その言葉に、私は過剰反応を示す。
「ち、違うよ!私の作戦に合わせてくれたのはたっくんだよ!ごめんなさい……!たっくんの気持ちを踏みにじって……ごめんなさい……!」
たっくんを見上げると、なぜか顔が真っ赤だった。
「じゃあな。また、なんかあったら……」
手を振って行くたっくんを見つめていると、振り返ってまだ何か言おうとしている。
「俺を頼ってくれ。」
「………」
もう、どこまでたっくんはカッコいいのだろう。
「ありがとう……!」
そして、さようなら。
私は、たっくんが行った方向とは逆の道を駆けていった。
そして、冬休みをあけ、3学期を過ぎ、新学期を迎える。
やっと晴海ちゃんとクラスが一緒になって、嬉しくて。
勢いでコクってしまった。
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