心は君を求めてる(彩花side)

 1月1日。晴天の、少し肌寒い日だった。私とたっくんは、近くの神社で待ち合わせることとなった。私は、着物似合ってるかな?と、自問自答しながら、神社に向かう。先に、たっくんは着いていた。


「あけましておめでとう。」 


「あけましておめでとう、たっくん。」


「行こっか。」


「………うん。」


ああ、こういうとこ、先に立って私を引き連れてくとこ。カッコいいよね。


 歩き出して、鳥居までの数段の階段に足をかけたとき、隣り合って並んでいたたっくんと手が少しぶつかった。


「っ………///」


大きくて、少し角張ってて、しっかりした、真っ白な手。綺麗だなぁ。そう思って、少し、その手に触れてみた。


 ちょん。


「っ……//」


そしたら今度は、たっくんが顔を真っ赤にした。


 階段を登りきり、2人で見つめあう。


「手、繋ぐ?」


彼が、手を差し出してくる。


「ん……。」


そして、2人で繋ぎあう。ぎゅ、と音がしそうなくらい。



 そうして、冷たい手を温めあっていると、混んでいたお参りの列が少しずつ減っていく。


「そろそろ行くか、お参り。」


「うん、何お願いしようかな?」


繋いでいた手を一回ほどいて、お賽銭箱の前で二礼二拍手。そして、目を閉じる。


 晴海ちゃんと、……


 え?なんでここで、晴海ちゃんが出てくるの?晴海ちゃんは、もう、諦めたのに……。


 晴海ちゃんと、一緒にいれますように。


 私は、頭では自制してたのに。心では、まだ晴海ちゃんを求めていた。その事実に、まつ毛を伏せながら、目元を熱くする。


 ふと右を見ると、たっくんは、ひしと目をつむって何かを必死にお参りしていた。 


 たっくん、ごめんなさい。私、やっぱりまだ、晴海ちゃんが好きです。







 お参りが終わり、おみくじを引いた。その結果が、どちらも大吉で、恋愛欄のところに私は「想っていた人に距離をつめられる」と書いてあった。嬉しい。今年は彼氏と過ごせるのかな?ちなみに、「意外な人物から求婚される」を引いたたっくんは「こえー。」と、顔をガクガク震わせていた。




 階段を降り、気になるのは、ここからどうすればいい?ということ。こ、このまま帰るのかな?


「ねえ、お参りで、何、お願いした?」


たっくんのその言葉にビクッと肩を震わせてしまう。


「な、内緒だよー!」


笑ってごまかす。ふと歩いている横顔を見ると、苦しげな表情のたっくんが。


「俺は……」


そう呟いて、彼は立ち止まった。私も足を止めてたっくんに目を合わせる。何を言われるか、怖くて。でも、これを聞けば、私たちの何かが変わる、そんなことは分かりきっていた。


「彩花と、一緒にいれますように。」


私の顔が、見なくても強ばったのが分かった。彼は、そうなるのを予知していたかのように、はぁ、とため息をついていた。


「そう、俺はお願いした。でも、彩花は、俺じゃないだろ?」


「っ………!」


心を、見透かされているかのように。


「小村さん、だろ?」

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