砂漠での水分調達
「概要」
2.5%というわずかな量を失うだけで、身体機能が四分の一も低下する水分。その必須物質がどの地域よりも極端に少ないように見える砂漠は死の世界です。それでも砂漠を居住地とする民がいるということは、一般人もきちんとした知識と精神をもってすれば、短期間の生存は可能なのです。今回は知識の面を学んでいきましょう。
「水の見つけ方」
まず何よりも現状を把握することから始まります。何もない平原の砂漠地帯であれば水を見つけ出すのは困難ですから、地形の起伏がある山地や、植物がある場所へ移動します。もしそうした目印がなければ川床か大きな岩を見つけましょう。雨がふる時以外は常に乾いていますが、川床が乾いているという知識があれば見えてくるはずです。また水は上から下に流れるので、なるべく低い場所へ行きましょう。
次に具体的な水の位置ですが、川床が見つけられたら、その場所を掘ります。三十センチも掘れば土が湿っているはずです。岩陰があればなおラッキーで、その岩の根元を掘るとより水分量が多いと思われます。絞れば出てくる程度なら、着ているTシャツなどに含めて絞ります。たっぷりと濁った水が出てきた場合は大吉です。その場で飲むなら、例えば程よい太さの枯れた茎の中に砂と炭を詰めて、さらに布で蓋をすることで簡易的な浄化ストローを作りましょう。持ち運ぶ際は、水の重量が足かせにならないように。
これ以外には植物を活用する方法もあります。たいていのサボテンは実以外非常にまずいか毒や棘があるので避け、ほかの植物の根や若木を食べてのどを潤します。もしビニール袋があるならば、それを炎天下の中多肉植物など葉に水が多そうな植物に二時間ほどかぶせます。すると熱によって水が滴りますので、これを飲みます。もちろん一つではかいた汗を補える量には届かないので、持っているビニールの分だけかぶせると理想的です。
あとはまれに、上方から水が岩を伝い滴り落ちる場所があるので、湿った岩を見つけたらすぐに確認をします。湿っている程度でも、靴紐など細い布を湿った場所に固定し、端を容器につけておけば岩の水が収集できます。
「注意点」
サボテンはいかにも内部に水分を宿しているように見えますが、これをなにかにつけて安易に触れると棘が刺さる場合があります。人間には暮らしにくい場所ですが、細菌やウイルスは十分生存しているので、これが原因で感染症などを引き起こすのは命が危険にさらされることにつながります。なるべく触れないよう注意します。
また、汚れた水分を蒸留するのもあまり賢いとは言えません。時間に対して得られる水分があまりに少ないためです。汚水は濾過と煮沸消毒のほうが良いと考えられます。
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