第41話「特訓と試合」

第41話


リーフさんのもとで自然の中のマナを生かした鍛錬を始めてから8日が経った。


「よし、ソラもうそこまででよい。」


「ありがとうございました。」


「だいぶ自然の中のマナを感じて、使えるようになってきたな。やはりソラのマナを扱うセンスはずば抜けているというということを改めて思ったよ。」


鍛錬を始めてから、だんだんとマナを感じとれるようになり、今となっては体に纏わせる程度ならば出来るようになっている。


「しかし、やっぱり十傑選定戦にはマナゾーンの完成は間に合いませんでしたね。」


「うむ、だがそれはそれで仕方ない。確かにマナゾーンの完成までは至らなかったが、もし万が一魔力が足りなくなったりしたときには便利であろう?」


俺はそれに対して、そうですね。と答えるも、内心では、俺魔力無限なんですよね。と言っていた。


***


「おはようソラ。ついに今日は十傑選定戦だけど対策はどうだい?」


あれから二日後、俺たちはついに十傑選定戦と新入生大会の日を迎えた。


「ううん、無理だった。」


「「えっ?」」


「えっ、無理だったのか?ソラ。」


二人は俺の返事がかなり意外だったのか、二回も質問してきやがった。


「じゃあ今日の試合はどうするのよソラ?」


「うーん……まぁ二つの対策のうち片方は出来たから、そっちでどうにかできないか探りながら戦ってみるよ。それより、そっち二人はどうなの?」


そう、何も今日はそれだけの日ではない。さっきも言ったが、アーサーやエミリア含め、学年ごとの試合もあるのだ。


「僕はレオナルド七将との実技訓練とか、城での騎士団訓練に積極的に参加してたからだいぶ自信はあるよ。」


「私もほとんどアーサーと同じ理由だが、その他にも宮廷魔導士とかリーフさんのお陰でだいぶ強くなった自負はある。」


どうやら二人ともだいぶ自信があるらしいな。俺も頑張らないと。


"ガラガラガラガラ"


「皆んなおはよう。今日は待ちに待った新入生大会の日だな。もう少ししたら皆んなで戦闘場のSクラスの席に移動するから、皆んな心身共にしっかり準備をしておくようにな。」


俺たちが朝話していると、ランド先生が教室に入ってきてそう声を掛けた。


さて、では移動を待っているこの間でこの30日間の変化を話そうと思う。まず、回数自体は多くはないがクラスメイト皆んなと打ち解けて、ちゃんと話すようになった。それと、ラビリンス校長ともだいぶ仲良くなった。まぁこれはリーフさんと行っている鍛錬お陰もあるだろう。



「さて、じゃあ皆んなそろそろ移動するぞ。」


少ししてランド先生が皆んなに声を掛け、ついに戦闘場に移った。

なんか皆んな緊張してそうだけど、まぁ皆んなSクラスとして負けられないと気張っているのもあるだろうし、ほぼ初めてのガチの対人戦だからしかたないか。


***


"うわぁあーーー!!!!!"


俺たちが戦闘場に着いた頃にはもうすでに会場は大盛り上がりとなっていた。


「凄いなこれ。」

「「そうだね。」」


もうすでに集まっていた2〜4学年の生徒たちと、その他教員たちにより会場設営は終わっており、会場は音楽と生徒たちの歓声で溢れていた。


「それじゃあ取り敢えず皆んなは席で待機していてくれ。俺は教員側だから別のところにいる。だけどまぁ安心しろ、お前たちの番に近づいたら十傑評議会をサポートする執行部の先輩たちが案内をしてくれるからな。………それじゃあ皆んな頑張れよ。」


歓声の中でランド先生がそう言うと、俺たちのところからさらに移動して行った。


その後も歓声が鳴り止まぬまま時間が過ぎ、俺たちは会話をして時間を潰していた。

するとそんな時、


「皆んな、始まるみたいだよ。」


アーサーが皆んなにそう言った時、突如歓声も、音楽も、音という音が何もかも断ち切られた。

……これはミナト エイシの魔法だな。


"パチンッ!!"


甲高い指パッチンの音とともに、彩られた戦闘場の真ん中に十傑第一席であるミナト エイシが姿を現した。


「……やっぱり凄いな。」


俺は時間という概念を理解しているから、マナに触れたから分かる。凄い高度な次元で魔法が織りなされていることが。…これは流石に勝てないかもな。


「全校生徒の皆さん、おはようございます。現十傑第一席ミナト エイシです。今日は学年対抗戦、そして十傑評議会選定戦があります。皆んな、今までの努力の成果を目一杯に発揮して下さい、楽しみにしています。」


「「「うぉおーー!!!」」」


ミナト エイシの言葉に再び歓声が起こり、ついに学年対抗戦として、初めに一年の学年対抗戦が始まることとなった。


「それでは一年生の皆さんは移動を開始して下さい。」


執行部員の先輩たちだろうか、俺以外のクラスメイトたちが移動を開始した。


「皆んな頑張ってね。」


「「「「「うん。」」」」」


俺は皆んなにそう声を掛けて見送った。すると皆んなが決意をした顔で返事を返してくれたのだが、何か感動したわ。……頑張れ。


***


十傑評議会と執行部によって作られた公正なトーナメントによって試合は進んでいった。


「あーあ何かつまらないなぁ。」


俺は皆んなの成長とかを見れる。と楽しみに一人観客席で見ていたのだが、レオナルド七将とリーフさんによって鍛えられた皆んなにとって、他クラスのABCクラスの生徒など有象無象に過ぎなかったのだ。

……なんだか他クラスの鼻っぱしらを折るようで可哀想だな。これで自信を無くさなければいいけど。


「結局Sクラスの戦闘向きな生徒が残るよねー。」


トーナメントは進んでいき、ついには準々決勝まで行くともはや上位8人は全員がSクラスのメンバーだった。ちなみに一人の落ちてしまったSクラスのメンバーは回復魔法を得意とするケールさんだが、回復魔法士で準々決勝の一つ手間までいくというのは流石はSクラスといったところだろう。


「それでは準々決勝のカードを発表します!!まずは第一試合ハルバート・アーサー対アルフォード・ダイン。第二試合ライナー対カーヴス・レオン。第三試合レイン対ルイス・クリスタ。そして最後、第四試合トラスト・メリッサ対ハルバート・エミリア。以上四試合です!!それでは早速第一試合を開始しますので準備をして下さい。」


司会進行の生徒がそう言ってまた歓声が起こった。

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