第4話「冒険者協会と初戦闘」

第4話


銀の帽子亭を出た後、俺は看板娘の子の言う通りに南門の方へと向かっていった。南門の方へと向かっている途中、剣が交差している看板を探しつつ大通り沿いにあるお店にも目を向けていると、野菜や石や魚、肉などを売っている露店の他に木の看板に大ジョッキが描かれたいかにも酒場という雰囲気を醸し出している店や、木の看板に小瓶と薬草のようなものが描かれた薬屋のような店など様々な店が建ち並んでいた。


「色々な店が出てるんだなぁ。そういえば、あの商人のおじさんはどこで何の店を出してるんだろうか?………お!ここが冒険者協会か。」


俺は冒険者協会を見つけたので早速入ってみることにした。


***


見たところ冒険者協会の建物は3階建てになっている大きな建物のようだ。

そして俺は冒険者協会の中に入った。入るとそこには扉の正面に受付のようなカウンターがあり、扉から見て右側には換金所と思われる場所が、左側には小さな酒場のような場所があった。

受付と換金所と思われる場所では若い受付嬢がせっせと仕事をしており、酒場ではまだ昼にもかかわらずガタイの良さそうな男たちが呑んだくれていた。

まぁ俺はそんなことは気にせずというよりかは関わりたくないなと思いながら受付へと向かう。


「んお!見ねぇー顔だなぁ、ひっく、うぇー。そんな若くてひょろいと冒険者としてやっていけねぇぞ!死にてぇなら他に行けやぁ?あん!?」


俺が受付に向かっていると、案の定絡んできやがった。そしてその呑んだくれは、最悪なことに俺の進路を塞いできた。

うわ、出たよ。電子書籍とかでありがちな奴だ。アホキモゴリラが。もぉ関わって来んなよなマジで。しかもこれじゃあ無視して進めないじゃないか。てかクセェし。


「あの、なんなんですか貴方は?取り敢えず僕は登録やらなんやらをしたいので、退いてくれませんか?」


血の気の荒いのはいやだし、逃げようかとも思ったが、結論として俺は逃げずにちゃんと話すことにした。

もしかしたら俺は誰かが止めてくれるかもしれないだとか、冷静になってくれるかもとかいう希望的観測をしていたのかもしれない。だが俺は何より、せっかくの異世界ライフでビクビクして初っ端から出鼻くじかれるのはいやだった。だから俺は目の前のキモい異物を無視したり逃げたりせずに話したのだ。


「あー!?なんだテメェ、喧嘩売ってんのか。誰にどけって言ってるか分かってんのか。俺ぁなぁ!Bランククラン"龍の牙"の団長、ベルリオンだぞ。」


はぁ!?何で喧嘩売ってるってことになるんだよ。しかもベルリオンってお前誰やねん。あーあこれ完全に暴力ふるわれるやつやん。俺魔法使えねぇんだけど。なんか特殊魔法とやらで熱って書いてあったけど使い方とか何も分からんし。どうする、何か考えて試してみるか?でもこんな状況だしやってみるしかないよな?

それにここじゃベルリオンとやらも魔法とかは使えないはず。なら物理的攻撃しかしないはずだな。なら取り敢えず熱で身体能力を上げられるのかとかを試してみて戦うのが一番良さそうだな。


「仕方ねぇ、ちゃんと俺の思う通りになってくれよ"熱強化ヒートアップ"」


俺は頭で理屈や、合う名前をパッと考えて俺はそう唱えた。


「ステータスオープン。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

新門 宇宙 (シンモン ソラ)


攻撃力  3000+3000 (1重)

防御力  3000+3000 (1重)

体力   3000+3000 (1重)

魔力   ♾

知力   計測不能

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

使用可能属性 なし

特殊魔法 熱

使用可能魔法 

熱強化ヒートアップ:熱を自身に与え身体能力を飛躍的に向上させる。一重につき基礎ステータスを元と同じ分だけ上乗せする。十重まで可能。(十重時基礎ステータスの10倍分を基礎ステータスに上乗せする。)


称号  人類の叡智、無限の魔力、転生者、              

    神の加護を受けしもの

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


うお!体が軽い。てかブッ壊れ魔法かもしんねぇこれ。でもこれは慣れないと、というか俺が強くならねぇとこれ以上重ねがけしたり長期戦したりするのは厳しいかもな。一重でま心拍数がかなり上がっていることが分かるし。でもまぁ今はこの状況を打破することができたらいい!


「はぁもういいよかかってこいよ。クソゴリラ。」


「あぁ!?ベルリオンだっつぅの。お前みたいなひょろがきはママの乳でも吸ってろや。」


ほらほら少し挑発しただけでキレて右で殴りかかってきた。自分を強化しているからか、転生したからか、体がすごく軽く感じたし、逆にこのゴリラの動きは遅く見えた。まぁ単純にゴリラが酔ってるのもあるだろうが…………ホンマちょろいなぁ。Bランクって結構ランク高いんじゃないのか?

まぁ何にせよ今の俺にとっちゃ好都合だからいいけっど!


「お前こそ臭いし、汚いんだよ!寄るなっ!」


俺はそう叫びながらベルリオンとやらの右ストレートに対して、カウンターで力一杯顔に拳を打ち込んだ。すると俺の放ったカウンターはベルリオンとやらの右頬に直撃していた。

"ドゴッ"という嫌な鈍い音が響きベルリオンは吹っ飛んでいき、冒険者協会の外へと行った。そこで俺はすぐさま追撃に転じるべく、俺も冒険者協会の外に出るが既にベルリオンとかいうゴリラは気絶していた。

ホッとして協会の中に戻り受付に戻ると、なんだか拍手された。なんでも拍手してくる男女いわくベルリオンとやらはここらでかなり偉そうにしていたらしい。Bランク帯でも上位にいて"雷龍のベルリオン"と二つ名がつくほどであったらしい。

そこで俺は本当に酔っている状態で良かったと心底思った。


しかし軍事都市というなら、もっと強い人もいるもんじゃないのか?なんて考えていると後ろ、そう協会の入り口の方から"バチバチ"という音が聞こえてきた。嫌な予感がして後ろを振り返ると先程戦ったベルリオンが雷を纏っていた。


「おいおいマジ勘弁しろよ。魔法とかはズリぃだろ。こちとら魔法どころか、この世界初心者だぞ。」


またまた、やばいな。やばい状況に多く触れるのは転生者の義務なのか?これ絶対に、熱強化ヒートアップ一重だけじゃ勝てねぇよな。クソどうする。


「あー痛ってぇな。ちっ、舐めてたことは認める。悪かったなぁ、さっきのいいカウンターですっかり酔いが覚めたよ。だから今度は安心しろ、全力で殺してやる。」


とベルリオンはやる気満々でこちらに向かってきた。いや目ぇギラギラやん。マジで人か分からんくなってきたな。

俺は仕方ないと溜息を吐きながら、熱強化ヒートアップを三重で構える。


「どうなるか全く分からないけど取り敢えずもってくれよ俺の体。熱強化ヒートアップレベル3。」


俺はすぐに体が熱くなるのを感じたが、戦闘の緊張からかあまり気にはならなさそうだ。


「ステータスオープン。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

新門 宇宙 (シンモン ソラ)


攻撃力  3000+9000 (3重)

防御力  3000+9000 (3重)

体力   3000+9000 (3重)

魔力   ♾

知力   計測不能

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

使用可能属性 なし

特殊魔法 熱

使用可能魔法 

・熱強化:熱を自身に与え身体能力を飛躍的に上げる。一重につき基礎ステータスを倍にする。十重まで可能。(十重時基礎ステータスの10倍分を基礎ステータスに上乗せする。)


称号  人類の叡智、無限の魔力、転生者、              

    神の加護を受けしもの

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「行くぞゴラァクソガキー!!」


ベルリオンが叫び、雷を纏いながらこちらに飛んでくる…………ってあれ?思ったより遅くね。雷を纏ってもスピードとかまで雷みたいになる訳じゃないのか?だとしたら勝てるかもしれないぞ。ベルリオンの罠かも知らんが今はそんなことで躊躇している場合じゃない。

すると俺は無意識に右の拳に多量の熱量を集中させ、ベルリオンとは比べ物にならないスピードでベルリオンを殴りに行く。


"ドゴォーーーーーーーーーン"


という音が鳴り響いた。

お、やったか…のか?どうだ?俺には思ったよりも疲労がないが。てかあれ、ベルリオンはどこいったんだ?

そんなふうに俺が色々と考えていると、何やら人が集まってきた。民間人の他にも何やら統一感ある鎧をつけている人たちもきた。


「格好的に騎士団か?」


「おい、そこの男。其方か?ここで爆発音を上げたものは。それと何だ変な男が急に飛んできて南壁に激突してきたんだが。」


代表らしき金髪美人な騎士が問いかけてきた。身長は175センチほどの俺と同じくらいありそうな感じで程よく引き締まっているといった、正にスタイル抜群な感じで顔もとても整っていた。

あ、あとちなみに飛んでった男のことはベルリオンのことだろうな。


「はぁ爆発音を起こしたのは多分俺です。ですがその壁に飛んでいった男が俺に突っかかって、殺そうとしてきたんです。だから全力で抵抗し、追い返したまでです。」


「まぁ話は取り敢えず詰め所で聞く。ついてこい。」


えー、マジかよ。俺冒険者登録したいんだが……

と落ち込んでいると、協会からダークエルフ?と思われる艶やかな女性が出てきて、急に金髪美人の騎士に話しかけた。


「やぁローズ副団長。そこの男の件、私に預からせてもらえないか?。そこの男はな、まだ冒険者になっていない。つまり一方的に喧嘩を売られ、それにとどまらず理不尽に殺されかけた、ただの可哀想な一般市民に過ぎない。だから抵抗したのだ。それは人として当然だろう?それに、証人ならここにいっぱいおる。だから、いいだろう?」


「………………はぁ、そこまで分かっていて証人とかも多くいるなら分かりました。ではこの件は冒険者協会、ギルド長のレイス殿にお任せします。」


えぇー!?この人がギルド長か。でこっちの金髪美人騎士がローズさんね。で結局俺はどうなんの?俺の話のはずなのに、俺だけが一番分かってないんだけど。…………あ、騎士団退いてった。


「さてでは、ちょっと君来てくれるね?話したいことがあるんだ。」


俺は早速ギルド長なる人に呼び出しをくらった。これは難なくいきそうって訳じゃ無さそうだ。



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