第7話

 人はどこから生まれ、どうして今ここにいるのか。

 進化、たまたま、それとも何か。

 探求はするが、答えの見つかる問いなのだろうか。

 どっちでもいい。

 ただ、知りたいだけだ。


「人じゃない?」

 彼が見た姿は、他の誰とも違っていた。隣の女性とも、村の人たちとも、周りを歩く人たちとも。

 明らかに違うものだった。

 似ても似つかなかった。

 類似点はあるが、あくまでそれだけだった。

「いいえ、人です。あなたも人です。だから、怯えないで」

「いや、違う。違った。形が、形が違った。本当はなんなんだ? 人じゃないならなんなんだ?」

 彼の問いかけにも、女性は表情を変えなかった。

「記憶を失い、周りと違えば、取り乱すことも無理はありません。話せば長くなりますが、きっとあなたの出自とも関係しているはずです」

「でも、でも」

 引き攣った表情の彼に向けて、女性は微笑みかけた。

「大丈夫です。大丈夫。これがあなたの目的でしょう?」

 彼は少しの間、視線を宙に彷徨わせると黙って深く頷いた。

 女性もまた頷き返すと空を見上げて口を開いた。

「そう、これは少し前の話。今の世界が出来上がった時の話……」

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