ソロモンの秘宝!

夕日ゆうや

ソロモン王の残した秘宝――ソロモン諸島にあり!

 ソロモン諸島にはソロモン王の財宝が隠されている――。


 VRMMOゲーム。それは超高度技術で作れた仮想空間に、自身の感覚を投影し、楽しむ電子ゲームの一種である。

 自己感覚投影システム。

 VRヘッドセットと呼ばれるヘルメットをかぶり、全身のスキャニングを済ませると、VR世界を楽しむことができる。

 VR世界に溶け込むと、俺は辺りを見わたす。

 パプアニューギニアの近く、ビスマルク諸島に降り立つ。

 半裸の民族キャラがところかしこにいる。

 植物でできた家。かやぶき屋根のような植物でできた屋根に、しっかりとした柱。

 民家とおぼしきものがいくつかでき、俺はそこで道具やアイテムを購入した。

 NPCまで現地人を意識しているとは思わなかったが、これなら異世界へいった気分を味わえる。

 手に持った拳銃を片手に、小刀を携える。

「しかし、和装なのか、洋装なのか……」

 主人公――自分の服装が奇抜すぎて判断がつかない。ジーパンに、青いTシャツ。それに羽衣のようなものがついている。

 不思議な格好だ。


 こうして始まったゲーム「ソロモンの秘宝!」だが、数多くの困難があり、今に至る。

「レベル80。能力は基準値を超えた、か……」

 続いてストレージを確認する。

「アイテム、スーパーポーションが八十、不死鳥の羽が三十、怒りの実が六十、とそのた諸々オッケー」

 さらに装備品のチェックも忘れない。

「灰竜の盾。灰竜の鎧。灰竜のレギンス。地龍のナイフ、これもよし」

 時間は、朝2時。これから戦闘に入っても問題ない。

 準備万端で、ラストダンジョンへと向かう。

 ソロモン諸島に隠された11番目のダンジョン。そこにこの世の全てがある、といわれている。

 船でソロモン諸島に向かい、ダンジョン手前で降りる。

 そこには大きな洞窟があり、俺たちを迎え入れてくれた。

 港のすぐ横にある湿り気の高い洞窟がラストダンジョンだ。

 肌に張り付くような湿気が不快感をあらわにしていた。

 トラップや雑魚モンスターを相手にし、中程まで進むと洞窟の様子がおかしくなる。

「歪んでいる……?」

 視界がぐにゃりと歪んだのだ。

「何事だ」

 叫ぶが声が洞窟内に反響するのみ。

 空から急に四つ足のクモが降りてくる。

 そして中央部に取り付けられたマシンガンを放ってくる。

「くそ。こんな敵がいるのか……!」

 俺は泡を食ったように逃げまわる。

 手から放った火球はクモに直撃するが、こちらの位置を教えるばかりでまるでHPが減らない。

 このままではやられる。

 そう思い、雷撃と氷柱をぶつけるが、ようやく一割のダメ―ジを与えることができた。

 こいつの弱点は電撃らしい。

 ならお望みのままに与えようではないか。

 雷撃を何度も放つと、HPゲージが八割削れた。

 次の瞬間、武装をパージし、軽くなった身体で踏みつけ攻撃をしかけてくる。

 俺はそれをかわし、ナイフで斬りかかる。

 これが有効だったのか、クモの身体は見るも無惨な格好になった。


 一時間後、ようやく倒したラスボス。その後には財宝が隠されていた。

「やっほー! これでゲームコンプリートだ」

 ソロプレイでようやく勝ち取った勝利だ。嬉しくないわけがない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ソロモンの秘宝! 夕日ゆうや @PT03wing

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説