ちょっとひとこといいですか?

@corky

第1話 よしよろしければどうですか?

私は会社勤めのごく普通のお節介さん。何がお節介かと言うと、ついつい世話を焼いてしまうんです。

そして、私は霊感なんて本当に無いと思うんです。むしろ私の母の方が有るくらい。とはいえ、前に独り暮らしで住んでいた部屋は霊の通り道になっていて、悪さをされるわけでもないけどやたらと霊が通るので神社で買ってきていた福矢で通り抜けできないようにしたくらい。もちろん母は後から「あの部屋、なんか気持ち悪い。居たかも…」って。凄いなぁ、体調もよくなかったらしいから霊感ある人って大変だねぇ。

そんな私のお節介が、人とのご縁結び…ご縁じゃないか。だって、相手の人を見て「この人にはあの人を紹介したい!」って思ってしまう、俗に言うお見合いバァバァです。

そんなお見合いバァバァな私。でもね、これって普通のことだと思ってたの。でも今回は違ってた!まさかの守護霊が双方から私にもの申してくるんだもん!吃驚だわ!その話を聞いてください。


有名企業に勤める月山柊真さん。30歳を過ぎたけど彼女ができても結婚できないイケメン優男。爽やかで優しくて有能でそつがない。良妻賢母ならぬ良夫賢父になりそうなのに、結婚できない!もったいない!

そして私の働く会社に出向で働いている八神弥生さん。30歳で男性からよく声をかけられる笑顔の可愛い仕事も早くて気遣いもできて楽しい女性なの。結婚したいみたいなんだけど、ご縁がないみたい。

私が八神さんと仕事場で顔を会わせるようになって、ふと「月山さんと合いそう!」って思ったんだけど、彼氏が居そうだし、彼氏が居るかどうかそんなプライベートな話をするほど仲がいいわけでもなかったから、遠巻きに「どうかなぁ?」「声かけてもいいかなぁ」なーんて仕事しながら思ってた。それに、八神さんと友達になりたかったのもあって、少しづつ仲良くなって、半年して思いきって聞いてみた!そして月山さんにも「ご飯するだけでいいから会ってみて!」って話をもっていったの。

2人のOKをもらったから引き合わせたわけだけど、同じ本を読んでいたり共通の話が色々とあったから、これはご縁だわ!なーんて思ったし、後日八神さんに月山さんの事はどうか聞いてみたら、好感触。メールのやり取りもしているそう。

引き合わせてよかった~!

え?八神さん…じゃなくて八神さんの守護霊さん??いきなり私の前に姿を表し「もっとアプローチして欲しい!」とな?八神さんの守護霊さんはご年配の男性で、八神さんのことをとっても護ってらっしゃる…んだけど、だから結婚難しいのかぁぁ。なるほど。

で、「月山さんの事はOKなんだけど、もっと八神さんにアプローチしてくれたら結婚許してやらんでもない」と。はぁ、そうなんですか。なんだかツンデレな方ですね。でも、月山さんは優しくて強引に行動する男性じゃあ無いんだよねぇ…どうなるのかな?私はどうしようもないし、守護霊様の言葉を伝えても信じてもらえないだろうし、下手をすれば遠巻きに接せられてしまうんではなかろうか!それはやだやだ!

数日後、月山さんと会うことがあって八神さんの事はどうか聞いてみた。好感触だそうだが、今他に結婚したいと思っている女性が居るだと?八神さんのことはキープしておけばいいのに、お断りしたの?早いな!まぁ誠実な性格だから仕方がない。ん?月山さんの守護霊さんが私に伝えたい事があって姿を見せてくれたんですが、どうやら月山さんの守護霊さんは月山さんのようにお優しい静かな方で、そのお優しいおばあ様が「うちの子を断ったのだからご縁はございませんでしたわね」とのこと。

あらまぁ、身を引いたのか…私としては残念ですが致し方ありません。こればかりは守護霊様ご両人の意見も合わず、八神さんと月山さんもすれ違っちゃいましたし仕方がない…んだけど?!あれ?!八神さんの守護霊じぃ様は「もう一度会ってアプローチして欲しい」と?また私に言ってますが、八神さん本人は諦めてますよ?私がまた引き合わせたらいいのかな?違う?引き合わせるために私にまた声かけていると!引き合わせろと!なるほど、チャンスがあるなら月山さんへ連絡しますので、お待ちくださいね。

その晩に月山さんへ電話をかけることにした。善は急げである。

「月山さん、お久しぶりです!結婚が決まりそうだとのことでしたがいつに結婚されるんですか…え?結婚を断られた…あ、なるほど、だからか…。いえいえ、なんでもないです。…またご飯しません?はい、ではまた」

あら、なるほど。白紙に戻ってましたか!八神さんの守護霊じぃ様は月山さんをOKなんですもんね?そして月山さんの男らしさを見たいわけですか。とはいえです、今の電話で月山さんの守護霊おばぁ様は八神さんのことは諦めてらっしゃいましたよ?

「うちの大事な子を断ったんですから、もぅ結構です」

ですって。うーん、私としては悩ましい!!守護霊抜きで二人で進展してくれないかなぁ!


結局その後に二人は会うこともなく、私もこれ以上できることもなく日々の生活を送ってました。

あれからまた半年が経った日の夕方。私は買い物に出掛けようと部屋を出たところで「もういい」という声を聞いた?感じた?知った?なんだろう、上手く伝えられないけど、それだけは伝わった。

八神さんの守護霊じぃ様?月山さんの守護霊おばぁ様?どっち??どっちかなぁ…と思いながら道を歩いていた。どっちにしろ「もういい」とのことなので、二人ののご縁はこれで終わってしまった。

残念。またご用がありましたらお声がけくださいませ。


私のお節介バァバァはどうやら私に伝えたいことがある守護霊様のせいなんだなと、最近よく思うのです。

何かお困りの方がいたら、ご相談いたしましょう。ただし、守護霊様のご用もある方でないとベストアンサーは出せませんので、ご了承くださいませね。

それではまた。


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