第31話 ダンジョン 9階層 その②

ゴブリンシャーマンが赤の魔石の杖から黄色の魔石の杖に持ち替えた。

明らかに魔力を練っている。

ヤバイと思った瞬間、愛莉が障壁を張った。

特大のライトニング(落雷)が炸裂した。


「危なかったな。障壁が無かったらどうなっていたことか。愛莉、ありがとう。」


「じゃあ、反撃するわよ。火耐性があるからそれ以外の属性ね。」


「一応、光魔法が弱点のようだ。それに右手からしか魔力を操作できないようだから右腕狙いで集中攻撃だ。」


「マジックブースト」

「ブリザード」

「アイスランス」


シャーマンは素早く赤の杖に持ち替え、分厚いファイアウォールを張った。

氷魔法は一瞬で蒸発した。


「火と氷はダメだな。恐らく水もダメだろう。光で攻めるぞ。愛莉、春菜は弾幕を張って意識を集中させてくれ。」


「わかったわ。ホーリーアロー。」「ホーリーランス」

「シャイニング」「シャイニング」「シャイニング」


シャーマンは黒の杖に持ち替え、闇の霧に隠れた。

今だ! 俺は隠密を発動し、縮地で一気に間合いをつめた。

剣に光属性を付与し、背後から素早く右腕を切り落とした。

「ホーリースラッシュ!!」


シャーマンが気付き振り返った時にはもう右腕が無く、杖が握れなくなっていた。

さらに魔法も使えなくなり、ただでかいだけのゴブリンとなった。

右腕を失ったシャーマンは怯え後ずさりする。


「愛莉、春菜! もう防御するものは無いから一気に畳み込め!」


するとシャーマンの周囲にバリアのような障壁が形成され、右腕が再生し始めた。


「え?! 魔法がすべて弾かれたわ。」


背後に巨大な魔力を感じ振り返るとそこにはさらに巨大なゴブリンが2体立っていた。


*鑑定

  種族: ゴブリンクイーン

  ランク: B+

  スキル: 光魔法、水魔法、超回復、超再生、多産、子孫繁栄、誘惑

  弱点: 闇魔法、物理攻撃

  アイテム: 魔石、聖光の杖、クイーンの耳飾り、高級ポーション


*鑑定

  種族: ゴブリンキング(9階層フロアボス)

  ランク: A-

  スキル: 剣術、斧術、身体強化、超再生、覇気、剛腕、統率、絶倫

  弱点: 魔法全般

  アイテム: 魔石、キングの大剣、キングの首飾り、高級ポーション、宝箱


スキルをコピーさせてもらう。

右腕が完全に回復したシャーマンはキングの後ろに隠れ、また魔法陣を展開し、ゴブリンを召喚し始めた。

次々と召喚されたゴブリンはキング、クイーン、シャーマンを守るような陣形を作った。

愛莉が魔法を撃ちこんでいるがクイーンのバリアが強すぎて全て弾かれてしまう。

その間にもどんどんゴブリンが召喚され数を増していく。


「先にクイーンを落とさないとこちらの攻撃が通らない。俺が突っ込むから援護を頼む。」


「わかったわ。無理しないでね。」


「回復は任せて!」


一気に近づき、バリアに剣を突き立てた。

しかし、ビクともしなかった。

群れたゴブリンが襲ってこないのもバリアを越えられなかったからだろう。

物理も魔法も弾いてしまうクイーンのバリアをどうやったら攻略できるだろうか。

クイーンの方も愛莉の魔法を恐れてバリアを解除できないのだろう。

お互い攻められずに小康状態続く。


あれ? もしかして瞬間転移って物理的な障害を無視して移動できたよね?

クイーンのそばに瞬間転移できるんじゃ?

試してみるか。


「愛莉、バリアが解けたらすぐに特大の魔法を打ち込めるように魔力を練っていてくれ。」


「何か思いついたのね。わかったわ。一発で雑魚ゴブリンを一掃してみせるわ。」


「ふふふ。流石の自信だね。春菜は全力のバフをお願い。」


「わかったわ。信じているわ。頑張ってね。」


俺は剣に魔力を注ぎ、切れ味を上げる。

良し。準備完了だ。


「いくぞ!!」


クイーンの背後に瞬間転移し、全力で剣を振り下ろした。

クイーンの首が転がり、バリアが解けた。

すぐに愛莉の隣に転移した。


「インフェルノ!」「メテオストライク!」「アブソリュート・ゼロ!」


シャーマンも含めキング以外のゴブリンは全て消え去った。

キングはもうボロボロで、立っているのがやっとといった感じだ。


「キングよ。ちゃんと剣で戦ってみたかったが悪いな。トドメを刺させてもらうぞ。」


キングはジッとこちらを睨んで仁王立ちだ。

もう観念したように見える。


「ホーリースラッシュ!」


首が宙を舞って転がった。

遅れて仁王立ちだった体がそのまま背後に倒れた。


キングの居た場所に10階層への階段が出現した。


「やっと終わった。しんどかったね。とにかく安全エリアで休もう。」


「ゴブリンがトラウマになりそう。」


「何千頭倒したのかわからないわね。」



『まさかゴブリンキングまで倒すとは思ってもみなかったよ。楽しませてくれるじゃないか。次はどうかな?』


別のフロアから覗いていた謎の人物が呟いた。


マイルームで寛ぐ。

愛莉は風呂へ。

春菜は晩御飯の準備。

俺はリビングのソファーで寛ぎながらドロップアイテムを確認する。

まずはゴブリンシャーマンのアイテムから確認することに。


*鑑定

 シャーマンの腕輪

 INT:+200、DEX:+200

 効果:HP/MP回復速度上昇、魔道の極意(INTが10分間、2倍になる)


*鑑定

 ダークマターの杖

 INT:+250、AGI:+80、DEX:+80

 効果:闇魔法強化、闇の霧(闇属性の障壁)、闇属性耐性UP


*鑑定

 イカズチの杖

 INT:+250、AGI:+80、DEX:+80

 効果:雷魔法強化、落雷、雷属性耐性UP


*鑑定

 マグマの杖

 INT:+250、AGI:+80、DEX:+80

 効果:火魔法強化、炎の壁、火属性耐性UP


3本の杖を出してみると何か違和感を感じる。

なんか錬金術が使えそうな気がする。


「愛莉、ちょっとミスリルの杖を見せてくれ。」


風呂上がりの愛莉から杖を預かる。

4本の杖が光り出し、合体して1本の杖へと進化した。

ミスリルの杖に3色の魔石が埋め込まれている。


*鑑定

 黒炎雷の杖

 INT:+500、AGI:+200、DEX:+200

 効果:闇/火/雷魔法強化、闇/火/雷属性耐性UP、黒炎龍の雷


「愛莉、なんか凄い杖に進化したよ。あとシャーマンの腕輪も使ってくれ。」


「ありがとう。ちょっと重くなっちゃったけど、威力が倍以上に上がっているわね。これで私の魔法がさらに強くなるわ。」


次はクイーンのアイテムを鑑定しよう。


*鑑定

 クイーンの耳飾り

 INT:+200、AGI:+200、DEX:+200

 効果:HP/MP回復速度上昇、回復魔法効果2倍、デバフ無効


*鑑定

 聖光の杖

 INT:+400、AGI:+150、DEX:+150

 効果:光魔法強化、回復魔法効果2倍、バフ効果2倍、パーフェクトヒール


これは春菜に装備してもらおう。

次はキングのアイテムだ。


*鑑定

 キングの首飾り

 STR:+300、AGI:+200、DEX:+200

 効果:身体強化2倍、武道の極意(STRが10分間、2倍になる)


*鑑定

 キングの大剣

 STR:+400、AGI:+200、DEX:+200

 効果:クリティカルヒット2倍、覇気、HP強奪、ヘイトUP


首飾りは俺が装備しておこう。

大剣は俺には扱い辛いので大剣を使う仲間ができた時まで封印かな。

ちなみに宝箱からは風神の魔弓が出た。


*鑑定

 風神の魔弓

 STR:+300、AGI:+300、DEX:+300

 効果:狙撃、連射、自動弓矢装填、疾風の矢、魔法属性の矢、

    狩人の極意(貫通力が10分間、2倍になる)


弓も封印かな。

今日は疲れた。

春菜のおいしいごはんを食べて、風呂入って早く寝よ。


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