第17話 境域護りし者

 鳥居を含む境界門には、待人まちびとを迎え入れるだけでなく、荒人あらびとへのけん制という役割もある。さらに守人もりびとと呼ばれる戦士も配されており、けん制に動じないモノを直接的な行為で撃退している。

 元来、彼らやしろに携わる者たちにとって、ハロウィン収穫祭は完全に畑違いな風習だ。命の悪あがき享楽の宴を謳う行動原理も、生と死の不条理でありながら公平な還流こそ理想とするやしろの者にとっては理解に苦しむものだった。

 しかし、"モール・モース"の侵攻が神域を脅かす事に繋がれば話は別だった。

 奇しくもそれが、ハロウィン享楽の宴の日に起こった。

この日ハロウィンに同じ事をすることになるとはね。これも何かの縁なのかな?それとも誰かのお膳立て?」

「もしそうなら、我らはそれに付き合う他ないでござるな」

「荒人を退ける。ただそれだけだ」

 境界門の向こうに、巨大な"モール・モース"が迫る。

 守人もりびとたちは得物を構え、静かにそれを迎え撃った。

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