お見合いが嫌な俺はセックスが上手いなどと各種条件を 出したら元カノな幼馴染がやって来た件。それにしてもその年齢で処女とか尊いよな。

雲川はるさめ

第1話


お見合いしたくなかったので無理難題を

出したら元カノな幼馴染がやって来た件



容姿端麗


看護師


家庭的


身長は俺より低い


夜がうまい(重要度高め)


優しい


性格がいい


浮気を許してくれる


27歳。仕事はシステムエンジニア。

そろそろ結婚しろと同僚の山野井先輩はうるさい。

「俺なんかな、もう二児のパパなんだぞ。

おまえもそろそろ身を固めろ」

「見合いしろ」などと言ってきた。

「どんなひとと結婚したい?」

「あー、えっと、取り敢えずは...」

俺はお見合いの条件に無理難題を付けた。

まだ結婚したくない。

俺は仕事に追われててそれどころじゃなかったんだ。


これだけ付ければ、誰も

俺と縁談しようとは思うまい。


だがな。


「シンジー!!見合い相手、見つかったぞ」


「え、嘘ですよね?」


「それが!うまいこと条件に合致する女性がいたのよ!」


「え、いましたか!?俺の高難度な条件全てに当てハマる女が?」


「いないですよね、あり得ない...」



山野井先輩は嬉々として、


「それがー、一人だけいたの!近所の世話好きなオバさんとか、職場のやつら全員に当たってさ。ローラー作戦でしらみつぶしに探した結果...」


「その結果?」


俺はごくりと唾を飲んだ。


返答を待つ。

妙な間をつけて先輩はこう言い放った。


「真島マヒロちゃんよ!」


「は?」


一番、お見合いしたくない相手の名前だった。


俺の元カノ。正確には俺の元偽カノ。


そして、幼稚園時代からの幼馴染。


幼少期から散々、馬鹿みたいなことで口喧嘩して、

街で美少女をチラチラ見てただの、

私のこと大事にしてない、誕生日プレゼントは

もっと別なものがよかったなどと宣った女。

顔はそこそこ可愛いが、性格は超絶悪いと思う。じゃあ、なんで、彼女と付き合っていたかって?それはだな、親の再婚でできた、

義妹のアイリが、やたらと俺にベタベタしてくるもんだから、幼馴染のマヒロに偽の彼女役をお願いしたんだ。


つまり、あれだ。


マヒロと付き合ったのは致し方なかった。

他に偽の彼女役なんて頼める女友達は、

俺の周りにいなかったんだ。


彼女作れば、義妹アイリのガムテープっぽい

粘着も少しは解消されるだろう、と

踏んでた。


「お兄ちゃん、幼馴染の彼女できたんだって?」


「おう」


「そかー。じゃあ、お兄ちゃんと腕を組んで歩くの、少し遠慮しなきゃだよね」


「幼馴染の恋愛って最強なんでしょ...。

私、悔しいけどちょっと引くね」


「そうだな」


俺の目論見通り、金髪ボブで派手派手な

顔可愛い義妹は俺から少し距離をとってくれていた。


回想から現実に戻り、俺は

先輩に抗議した。


「いや、それ、俺の元カノですよ。

喧嘩別れしたんです。見ず知らずの美少女と

事故キスしたのをマジキスだと勘違いしやがって、口論の末、俺、殺されそうになったんですよ」


「向こうも嫌がる筈です。

今すぐ、その見合い、中止しましょう」


「いや、それがな。

もうセッティングは完了済だ。

向こうはおまえの名前を聞いて了承したんだ」


「ええー、そんなことあります?」


「とにかく、今週の日曜日に目白にある高級料亭に行けよ。時間は午後の14:00。

一番、いい個室取ってやったんだから」


「あ、ちょっと...」


「費用はどの位かかるんです?

一応、早めに聞いておきます」


「個室料と、季節の懐石のコースで

マヒロちゃんの分もお前が払うからー。

三万!!」


「さ、三万...!!」


「よ、予約キャンセルしましょう!

てか、見合いの取り止めをしましょうよ!」


「バカ!社長が贔屓にしてる料亭なんだ!

是が非でも行けよ」


「そ、そんな...」


俺、今月、家計がピンチなのに。


痛い出費だった。




さて。


時流れて。


元カノとの見合いの日が来てしまった。

目白の料亭にて。



サシでマヒロのやつと話し合ってた。

いや、正確には口喧嘩してた。


「なんで来た?」


「おまえ、俺が出した条件全て当てはまってねーだろ?」


「ううん。そんなことない。全てパーフェクトに満たしてるわ」


「いや、おまえ、職業看護師じゃねぇだろーが!」


「ギャル服のアパレルショップ店員は辞めたの。

今、看護学生。手に職をつけようと思って、

今年の四月に入学したわ」


今、季節は五月。

本当に最近だった。


「...っ!!」


「家庭的、優しい、性格がいい、

浮気を許してくれるってゆーのは?」


「全てクリアしてると思うわ」


「フン...!見知らぬ美少女と街で事故キスしたとき、俺の首を締めて殺そうとしたろ?」


「全く記憶にございません」


しらばっくれやがって、この!


「いや、俺はな、優しい女がいいわけ!

おまえみたいなガサツな女はお断りなの!」


「じゃあ、根本的に性格を変えてあげましょうか?」


「お、おう。できるもんならな」


「茶道を習うわ。そして、お着物教室にもゆくゆくは通う予定。大和撫子、目指そうかな」


「フン、やれるもんならやってみろってゆーんだ!!飽きっぽい性格のお前が、

お茶を立てるなんて!無理ゲーだろ」


「結構なお手前で、なんて言えるわけがねぇ」


「やってみなきゃわからないわよ」


「じゃあ、最後に。

おまえ、夜が上手いのかよ?」


「わりーけど、そこ一番重要だぞ」


「多分」


「え?なにその、多分て?」


「まだ初めてだから、自信のほどはないけど、大人向け動画を見て、色々勉強したわ」


「ま、マジ...!?」


俺の中では。


幼馴染はアパレル店員してたっていうのもあって、ギャル服を売っていたんだけども。

メイクや服装もど派手で、街を歩けば

ナンパの嵐だって事あるごとに俺に電話で自慢してた。


常日頃、ショーツが見えるんじゃねぇかってミニスカ履いてたからな、その服装コーデで男を誘っていると言っても過言ではない。


「今日、街歩いてたら、また男の人に誘われちゃったぁ」


「今、ヒマ?とか言われてさ。

暇ならどっか遊びに行こうよーってさぁ」


「どっか休めるところ、行こうよー」

ってイケメンに言われちゃったぁ」


なんて話して聞かせていたんだ。


だから、まさか見た目ド派手の幼馴染が、27歳にもなって初めてだとか、、、



「そんな嘘だろ...?おまえ、未経験なの?」


「うん、そーだよー」


強気に構えてた幼馴染が一気に顔を赤らめた瞬間だった。


俺は急に喉の渇きをおぼえて

一気にお冷を飲み干した。


そして言ったんだ。


「信じられねぇなぁ...」


「あのね、シンジの為に、初めてはとっといたってゆーかぁ...」


「ううっ...」


急な上目遣い。


潤んだ目。


反則だろ。


「私を本当の彼女にしてくれる?」


流石にこの状況、断れない。



「ああ...」


「結婚を前提にお付き合いしてくれるんだよね?」


「あ、ああ...」



偽の彼女が、本当の彼女に昇格した瞬間だった。


マヒロがパッと笑顔になった。


「そうと決まれば、私の家に今日泊まりなよ!!今夜、お父さんもお母さんも新婚旅行に

出かけてて、家に誰もいないんだよ!」


「き、気が早くないか...!?」


「色々、試したいんだよ!夜の勉強の成果、

見せたいってゆーか?」


今度は俺が真っ赤になった。




さて。俺とマヒロは一夜をともにしたんだが。


歳月流れて。


俺はマヒロと籍を入れた。


そんなに盛大ではないが、

結婚式をあげた。




それにしても、だ。

見合いから三年が経過した

今現在。

マヒロは俺が出した条件全て満たしていた。


今夜も俺は。


嫁と寝室でイチャイチャする予定。

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