陰キャ過ぎて嫌われ者の女子を雰囲気イケメンの生徒会長がお姫様抱っこで運んであげた結果.. 彼女の笑顔がとにかく尊い.

雲川はるさめ

第1話




陰キャ過ぎて嫌われ者の女子を雰囲気イケメンの生徒会長がお姫様抱っこで運んであげた結果..

彼女の笑顔がとにかく尊い.


校門のところで。


「おはよう!山吹くん!」

「え...!!!!」


俺が見知らぬ、発育のいい金髪美少女に

背後から抱きつかれた瞬間だった。


俺心の声「い、色々、当たってる....!!!!た、

大変だ...!!!」





現在から遡ること2ヶ月前。

山梨県のとある高校。

俺の名前は山吹シンジ。

一応、生徒会長。


ある秋の日。

体育館の反対側のスペース。

俺たち男子は5時限目の体育の時間は

マット運動だった。


俺がへッドスプリングの練習をしてる最中、


女子の方が、ザワザワと騒がしくなった。


「ざまぁ.....!!!!!」


聞こえてきたのは耳をつんざくような女の声だった。




この声。

聞き覚えのある声。

そう、現在、高3の俺を毎日のように「髪の毛長くて女みたーい」と

罵ってくる林ユーコの声だった。

「雰囲気イケメン、気取ってんの?

生真面目過ぎる生徒会長が!うっさいんだよ!」


ユーコのそばには

7段の跳び箱のすぐ脇に座り込む女子がいた。

蹲っているのは。

都会からの転入生、真島マヒロだった。

凄い地味女子。制服のスカート丈も長め。


林ユーコは俺の事が嫌いだ。

口煩いってゆーか、ウザいってことで。

俺は

林ユーコを毎日のように注意していた。

注意しない訳にはいかなかった。

何しろ彼女ときたらスカート丈が短か過ぎるのだ。目のやり場に困るくらいに。


「お前、短か過ぎるぞ...言う事を聞かないなら

生活指導の先生にチクるからな」

「制服のスカートの上部を内折りにしてるなら

今すぐ元に戻せ!」


しかし、反抗的だ。


「あーもう、うっさいなぁ!副会長の藤島くんはさ、私の短いスカート姿見ても、なーんにも言わないよ。むしろ

鼻の下伸ばしてさ、大歓迎!ってな顔してるよーwww」

「あいつと俺は根本的に違うんだよ。

今すぐ直せ!」

副会長の藤島は俺とは違う。

かなりの女好き。

もう美少女や可愛い子大好きで、彼女らに

嫌われないよう必死だった。

高2のとき、あいつが、副会長の選挙に出たのも、

「女子からモテたい。チヤホヤされたい。

内申点を良くしたい。良いところに就職したい」という邪念に基づくものだった。


生徒会長じゃなくて、副会長になったのも

いざという時の責任の重さは、副会長より

断然生徒会長、だから。


仕事もこの生真面目な俺に全部任せておけば

オッケーっしょ!という自分はただ、名ばかりの生徒会役員だった。


制服のスカート丈が短か過ぎるのは校則でいけないとされていて、一応、生徒会長のこの俺は

そんなオシャレ過ぎる輩を注意するのも仕事のうちだった。副会長の藤島はサボっているだけ。女子にウザがられないように努めている

だけだった。



俺が女子の群れの方に目をやると、

性格の悪いそこそこ可愛いぶりっ子、林ユーコが声高らかに続けていた。


「ねえ、ユーコ、こいつ、足が痛くて動けない.んじゃない?動かないよ...」

「はぁ?邪魔よ!陰キャ眼鏡!とっととそこからどいて!」

「ね、ねぇ、もしかして、こいつ、骨折したんじゃない?」

「どーする、先生呼んでくる?多分、職員室にいると思うし。それか保健室の先生を呼んでくるとか!」

ユーコ「いいよ、しばらくほっとけば!」

「陰キャが、調子乗ってるからよね!

勉強ができるからって、バチが当たったのよ!」

「何でも質問にスラスラ答えちゃってさ!

ムカつくのよ!」


林ユーコときたら、本当に性格の悪い奴だった。

俺は。女子の中に割って入った。


「どけ、お前ら。俺が運ぶわ」



「なによー!ほっとけばいいでしょ?そんな

東京から来たよそ者なんかさ。

そのうち先生、職員室から戻ってくるわよー」

林ユーコが通せんぼみたいなことをしてきたが、俺は「邪魔だ!」とユーコを突き飛ばした。


「ほんとーに生真面目な生徒会長だよね!

息が詰まるわ!正義ばっか振りかざしてさ!

ちょっとは、藤島君みたいに不真面目になりなさいよ!」


「藤島くんは、今、この状況も知らんぷりして

前方宙返りの練習してるよww」

「ま、多分ー!自分のタイプじゃない陰キャ眼鏡女子が怪我したところで、わざわざ、俺様が手を貸すほどのこともないってほっといてんだと思うけどーwww」


「あー、あいつの性格ならそーだろうな。

藤島はそーいう奴だよ。今も。そして昔もな」


藤島とは。

幼稚園時代からの幼馴染だが、

あいつは小さい頃から

面倒なことは全て人任せで、自分に利のあることは、積極的に動くが、利がないと判断したことにはまるで関心を示さない。

つまり、この状況は。

陰キャな眼鏡女子を保健室に運んだところで

俺の特にはならないと、あいつが判断したまでのこと。


よっ....と。


俺はちょっと恥ずかしかったが、

陰キャ女子の、真島マヒロさんを姫抱っこで

抱えて保健室まで連れて行った。


保健の先生に彼女を預け、

体育館に戻って来た時、

やはり、というか、予想はしていたが、

藤島に揶揄われた。


「はーっ、お前ってばなんで、

そう、真面目過ぎるかねぇ!

あんな陰キャでスタイルの悪い女をどーして抱えて保健室まで連れて行ってあげるかなぁ!俺ならほっとくね!

てか、現にほっといたし!重かっただろ?

お前の細腕じゃ、もうかなり運ぶのしんどかっただろ?www」




藤島は、小学生の頃から高3の夏までサッカー部のエースストライカーで筋骨隆々。

対し、俺は吹奏楽部で文化部だから

腕力にはあまり自信がない。ややヒョロい。

それでもなんとか真島さんを抱えて

運んだときは、ちょっと流石に腕が疲れたかな。


「まーね、、しんどかったけど、

一応、俺は生徒会長だからね。見て見ぬフリはできなかったし」


「ふん...!!!相変わらずいい子ぶっちゃってさ..!

俺のよーに生きてたら楽だぞ!毎日のよーに、

林ユーコのスカート丈を注意してさ!疲れるだろ!ほっとけよ!目の保養になるだろーがよ!」


俺は返事をしなかった。

藤島と話をしていると、たまに、というか物凄く頭が痛くなってくることがあるんだ。


この姫抱っこ事件後。


真島マヒロは暫く学校を休んでいたが、

やがて登校してきた。

それも意外な姿で。


俺は背後から見知らぬ女に抱きつかれた。


「おっはよ、山吹くん!」

「え...!?」


知らない女だった。

声も知らない。


「あの日は有難う!保健室まで

運んでくれて!骨折はもう治った!」


「え、ひょっとして真島さん!?」


「そーなの!」


「スカート短か過ぎ!」


「はいっ!直します!」


林ユーコとは違って、めちゃくちゃ素直な女子だった。


その場で直してくれた。


俺が、ドギマギしていると。

藤島が登校してきて、

「な、な、なんだよ、金髪美少女!?

この学校にいたか!?しかもスタイル抜群とか!!」


「サラシ巻いて発育がいいこと、隠してましたっ!

転入生はそうでなくても、よそ者扱いされるんで、女子から嫉妬されないよーに、

地味に、じみーに、徹してました!

これが、本来の私だったり、するかな!」


藤島は。

その場で告白してたけど、バッサリ振られてた。少しして、林ユーコが登校してきて、

自分より魅力的な女に打ちのめされ、蒼くなっていた。


俺は、といえば。

惚気話になるが、彼女にベタ惚れされてしまったんだな。





























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