お待たせしました!

 一足遅れて到着してしまった。

 しかも、原因は補習……。


 からかわれるだろうなぁと思いながらログハウスの前に来た私は――、


「何コレ……」


 ――殺風景だと思っていたログハウスの周りに、たくさん観葉植物が咲いているのを見て驚いた。


「よ、遅かったな」

「A! 何ここ、すごいね!」

「だろ?」


 さも自分の城を自慢するように言うAにうんざりしながら、私は訊ねる。

 美しい植物の中でも特に目を引く4本の木々についてだ。


「あの気は何? 桜? って桜な訳ないか」

「さあ? 植物のことはよくわからないよ?」

「ピンク色の蕾がついてる……でも、あれ?」


 4本の樹の中で、1本だけ蕾がついていない木があった。


「これだけ、病気なのかしら?」

「どうだろう? 帰りに管理人さんに報告してあげればいいよ。一本だけ病気なんじゃないかって」

「それだと遅すぎない?」

「なら、後で電話してみよう」


 「そうね」と私はAに頷く。

 けれど、




さくよ




 ふと、どこかからそんな声が聞こえた気がして――私は、不思議な気を見上げた。

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