リリィ=パンプキン

お日様の匂いがする。


ボクはそっと目を開けると、窓から差し込む明るい光が見えた。ふかふかの気持ちいいベッド。枕に顔をもぐらせて、自分の頭のにおいを嗅ぐ。


「ふふ」


ボクはいつも、自分のにおいを嗅ぐと安心するようである。ちなみに頭の匂いは、若草の匂いがした。


「リリィ、起きた?」


背後から和やかな女性の声がする。


「んんー、まだ眠いなー」

「そんな事言ってないで、お、き、な、さ、い!」


ボクは空中を旋回する。


ボフッ


綺麗に掛け布団だけぶんどられて、ボクの体はベッドに着地。


「ねぇーママ、ボクまだ寝足りないんだけど」

「そんなこと言ってないで、早く食事済ませて塾へ行け!」


ボクは渋々ベッドから起き上がる。寝ぼけた目に映るのは木の丸太で建てられた木造の部屋。ボクの自室だ。部屋を出ると


「うわーいい香り。今日の朝食何?」


食欲をそそるとてもいい香りは、ボクの目覚ましにもなった。


「その前に顔洗ってきなさい」


とボクのママはいなす。


ボクは言われた通りに、顔を洗ってから食卓へと足を運ぶ。


「ほーら、今日は焼き立て木の実のほかほかパイよー 」

「えへへ、わーいいっただっきまーす」


パクッ


サクッとした生地、とんろりとしたほかほか木の実が混ざり合って、魔法がかけられたように口のなかで踊る踊る。


「もうママの料理さいっこう!」

「へへん。当然よ」


と自慢げにママは腰に両手を据える。


ボクはとある小さな村、トト村に住むリリィ=パンプキン。ママと二人で仲良く暮らしている。


「ごちそうさまー」

「おそまつさまでしたー。じゃ、塾行く支度しなさい」

「はーい」


ボクは自室に戻ると、外に出る時の服装に着替える。赤色に黄色の入った衣服。ボクはそういった色が好きだ。

ボクは鏡を見ながら櫛で髪をかしていると、ふんわりと若草の香りが鼻を覆う。


「ん、んーいい匂いだわー。安心するー」


寝癖もなくなり肩まで伸びたブロンドの髪がしんなりとしたら身支度準備完了。この時覗いた瞳の色は紅色だった。実を言うと、ボクの瞳の色は日によって変わる。普段は緑色なのだけど、時々紅色に変色するのだ。どこかの国だと季節というものがあって、季節が変わると自然の緑が紅に変わるらしいが、それに似た現象なのかとボクは勝手に思っていた。ママに聞いたら、何でだろうと一緒になって悩み始めるし、本当のところは分からない。


まぁどうでもいいんだけどね。


「ママー、今日の目、紅色だったー!」

「あらほんと、夜ちゃんと眠った?」

「眠ったよー、ぐっすり」


そんないつもの何気ないやり取りを繰り返して、ボクは家を後にした。家の前では、いってらっしゃーいとママが陽気に手を振って見送っている。ボクも手を振り、いってきまーすと返した。今からどこに向かうかというと


「おぉリリィちゃん、おはよう。今日も塾かい?」

「おはようございます、おじ様。これから塾です」

「よく出来た子だよまったく。ワシの孫息子と来たら、宿題やってないだのと言って、まだ家にこもっとるわい」


宿題?

あー昨日出された下位火炎魔法ジェラって魔法を使えるようにしとくってやつね。まさかボクの得意魔法が宿題とはね。


「あーあれですね。いでよ下位火炎魔法ジェラ!」


と上に返したボクの掌からは、詠唱と共に巨大な火炎が湧き上がる。ボクの体躯の3倍はあった。辺りに火花が飛び散りジュージューと音を立てている。


「リリィちゃん!? こりゃ凄い。やっぱりリリィちゃんは天才だよ。普通の人よりも大きなジェラじゃ」


するとその大きな声を聞いた人達が、周りにぞろぞろと集まってきた。


「こりゃあ凄い、ぶったまげた」

「リリィ姉ちゃんすげぇ」

「こいつは魔物の十体二十体は一度にほふれるぞ」


周りから持て囃されて、ボクはもう照れが隠せない。


でもおかしいな。昨日の夜に下位火炎魔法ジェラをしたらこれの半分も出なかった様な…

ボクは巨大な火炎をぱっと消す。


「何かと思ったらリリィか」


すると向こうからボクと同じくらいの歳の男の子がやって来た。


「フォトじゃん。おはよう」

「おはよう。さっきのなんだ? すげぇの出てたけど、まさかジェラの進化系ジェラシー? ジェラリーバとかか?」


その問いにボクはつい笑みを浮かべてしまう。ボクの凄さを言い表した最高の表現だ。そしてトドメのボクの言葉。


「ただの下位火炎魔法ジェラだよ!」

「え、えーっ!?!?!?」


もう一度掌に巨大な火炎を生み出して見せた。一瞬フォトの目玉が飛び出た様に見えたが、気にせずボクは自慢気に両手を腰に据える。


「えっへん」

「な、なんだよそれ、お、俺は必死に朝までジェラの特訓してたって言うのにさ! 俺の十倍、いや二十倍はあるってこれ」


ポカン。さっきのおじ様がフォトの頭を杖で叩く。フォトの祖父だ。


「何を言っとる! お前は朝までグースカ寝ておってからに。朝起きて宿題忘れてただの騒いどったろうが!」


それを見ていた周りの人達は各々に吹き出して、笑いが溢れていた。





「リリィってさ、時々化け物みたいな力出すよな」

「そう?」

「さっきだって、あれがジェラだなんて信じらんねーよ。間違ってジェラリーバ唱えてたとかじゃねぇの?」


魔法は詠唱言語を間違っていても、感覚や詠唱者の意思が優先されて発動するもの。ただし詠唱言語を間違うと、魔法を制御出来なくなり、暴走、消滅などといった事故が起こってしまう。


とまあ塾で習った受け売りなんですがね。


「あんなの、詠唱言語を偽りでもしたらとんでもない事になるよ?」

「だよなー。じーちゃんもちゃんとジェラって唱えてたって言ってたし」


ボクとフォトは塾についた。


この塾では、主に数式、魔法数式、魔法学、魔法実技、戦闘実技、家庭科、薬学、美術、工作、歴史、国語、国学、経済学を学ぶのだけど、誰もが全てを学ぶ訳では無い。六歳に入学してから十八歳まで学ぶこの学び舎では、六歳から十二歳までは全てを同進行して学んでいくのだけど、十二歳から十八歳まではどれかを集中して学ぶ事が出来る単位制を取っている。

ボクは今十四歳だ。将来的には魔法の講師になりたいと思ってる。ちなみに明日で十五歳なのだけど、ママは覚えてくれてるかな。



「さあ皆さん。宿題はやってきましたか? 一人ずつ発表してもらいますが」


「はいはいはい! 俺! 俺一番にやりたい!」


手を挙げたのはシュナイダー。クラス一元気過ぎる男の子だ。


「行きます! いでよ! 俺の、ジェェェエエ工ラァァァァァァァアアアアア」


シュナイダーの上に返した掌からは小さな炎が現れる。


「何だか小さいな。シュナイダー君。君は確か魔力値が高い方だったよね」

「はいそうっす!」


と先生はシュナイダーの出した下位火炎魔法ジェラに顔を近づけると、下位火炎魔法ジェラは暴走した。


ボォオッ


先生の顔は焦げてしまった。


「ゴホンッ、シュナイダー君、どうも君の詠唱は……………………長過ぎた。故に暴走したと見える」

「すみませんでした!!!」


と反省したのかしていないのか、大きな声での謝罪を返したシュナイダーは席に戻っていく。


「次は?」

「はい! 俺行きます」


次はフォト。


下位火炎魔法ジェラ!」


ボォ


シュナイダーのより少し大きい炎がフォトの掌に。


「うん。合格」

「よっしゃ!」


とフォトはボクの方に向いて満面の笑みでグッジョブポーズを送る。宿題を忘れたと息を荒くしていた割にはしっかりとした火炎が完成していた。つまりフォトは魔法の筋が良いのかもしれない。


「次」

「私、やろうかな」


次はメーク。クラスの中ではマイペースな女の子だ。


下位火炎魔法ジェラ


小さな手にはフォトと同じくらいの火炎が現れた。


「ふむ、合格」


きっとあれくらいが平均的なんだろう。だとするとボクは


「次、リリィ行きます!」

「おお、リリィ君。さあ皆さん、リリィ君がお手本を見せてくれますよ」


ボクはこの塾いたっての魔法の天才。講師でさえ尊敬するほどの才能を持っていて、一国の魔法兵士団の団長と並べてもそれ以上の魔力を有している。

魔法兵士団は魔物に太刀打ちすべく立ち上げられた組織で、ボクは未来の魔法兵士団長とまで有望視されている。だけどボクがなりたいのは魔法の講師。お願いされても困るだけだ。


ボクは深呼吸をする。


「いきます、下位火炎魔法ジェラ


ボクの掌からパチパチと音を立てながら、それは瞬時に湧き上がった。巨大な火炎。その場の全員が驚いて、ボクの魔法に魅入っている様だ。


「ここ、これは凄い。リリィ君、やはり君は…」

「リリィ! 天井燃えてる!」

「え?」


メークの言葉にボクは慌てて下位火炎魔法ジェラを消す。天井を見上げると、メークの言った通り、天井に丸い黒焦げがついていた。


「先生、すみません」

「い、いやぁリリィ君。さすがだよ。君は天才だ」


クラス全員の拍手が上がった。ボクは頭を掻きながらどうもどうもと返す。席へと戻る際に、自分の頭を掻いた指のにおいを嗅いだ。


「ふぅ、落ち着く」




授業が終わり、ボクは帰路につく。


「リリィちゃんお疲れ」

「リリィ、今朝の凄かったよ。よっ、未来の英雄」

「あはは」


英雄はさすがに言い過ぎだろうと、クラスの仲間の言葉を思い出しながら、ボクはいつの間にか着いていた自宅のドアを開いた。


「ただいまー」

「お帰りリリィ。あなた、あんまり外で魔法をひけらかすもんじゃないよ。ただでさえあなたの魔法は強過ぎるんだから」

「はーい」


きっと今朝の一件を耳にしたのだろう。周りから褒められ過ぎていただけに、叱るママがリリィには新鮮だった。


「それよりママー、今日の夜食は?」

「シチュー。もうすぐ出来るわ。待ってて」

「はーい」


ボクは食卓テーブルに座り、うきうきしながら母の料理を待つ。


「それにしても、何で今日はあんなに大きなジェラが…」


ボクの魔法は人より何倍かは優れている。しかし今日はそんなものではなかった。それこそフォトの言った、十倍、二十倍。


もしかして。


ボクは自室に駆けた。鏡を覗き込むと、瞳の色は緑色に戻っていた。


「よし、今なら……下位火炎魔法ジェラ


ボォオッ


大きな火炎がボクと並ぶ。しかし今朝方けさがたほどの大きさもない。それでもフォトの三倍くらいだろうか。ふと授業の時に天井を焦がしてしまったことを思い出して、慌てて下位火炎魔法ジェラを消した。


「やっぱり」


ボクは時々異常なほどの力を発揮する。そして時々瞳の色が紅に変わる。この歳でやっと謎が解けた。ボクは瞳の色が紅になると、魔力が急激に上がる体質なんだ。


「ママー!」

「どうしたの? そんなに慌てなくても、もうすぐシチューは出来るわよ」

「ママ聞いて! 分かったのボク!」


この解明を、この興奮を、いの一番にママに伝えたかった。


「ママ、ボクね、時々瞳の色が紅くなるでしょ? その時にね、魔力が物凄く上がるの!」


すると


ボトッ


ママはシチューを皿にすくっている木のおたまを床に落としてしまった。


「ママ、どうしたの?」

「え? あらやだ、私ったら」


ボクは訝しげにママの顔を覗く。ママは一瞬青ざめた表情にも見えたが、いつもの笑顔に戻っていた。


「何でもないから大丈夫」

「ほんと? じゃあボクの話、どう思う?」

「え? ああ、す、凄いわね。そんな発見をするなんて。やっぱりあなたは凄い」



ママの態度は変だった。まるでボクの瞳の色と、魔力の関係について心当たりがある様な。ボクは納得のいかないままシチューを口に運ぶ。





「パパー!」

「リリィ! ああ、愛しのボクの娘」


ボクはパパと呼ぶその人に飛び込んだ。大事に抱えてもらっている。その人の顔は影がかかっていてよく見えなかった。



これは小さい頃の、ボクの記憶?


「リリィ、こっちへおいで」


「リリィ、今日は何して遊ぼう」


「リリィ、今日は木の実を取りに行こう」


「リリィ、美味しいパン屋が出来たみたいだ」


「リリィ」


「リリィ」


「リリィ、ボクは旅に出なくちゃならない。ママとお留守番、頼めるかな?」

「うん! パパの代わりに、私がママを守る」

「マリィ、行ってくるよ」

「気をつけて、〇〇」


マリィって、ママの名前。


「リリィ、逃げろ、今すぐそこから逃げるんだ」




「パ……パ」


朝日で目が霞(かす)む。いや、霞んでいるのは涙のせいだ。


「ボク、泣いてたの?」


ボクはすっと起き上がった。涙を腕でぬぐうと、見ていた夢と覚えている記憶を照らし合わせる。ボクのパパはボクが五歳になる頃に旅に出た。ボクはママを思って、パパがいない間自分がママを守らなきゃと、パパと同じ自称に変えたのだ。それからずっと音沙汰おとさたもない。パパは一度も家には帰ってこなかった。


「リリィ、起きな……起きてたのね。朝食が出来たから、早くこっちへ……どうしたのその目! 腫れてるじゃない!」


ママは心配そうな表情を浮かべながらボクの元に駆け寄る。


「何があったの? それともどこか痛いの?」

「ううん、何でもない。けど、パパの夢、見てた」

「パ、パパ? ………どんな?」


ママの目が一瞬揺らぐ。ボクはそれを見逃さなかった。


「パパが一緒に遊んでくれた夢」

「はあ、リリィ」


ママは嘆息を吐いて、ボクを抱き寄せた。その抱擁ほうようはとても優しくて、温かかった。ボクはママの背中をポンポンと軽く叩いて、ママを体からそっと離す。


「ごめんねママ。それとね、パパが最後に…………ううん、何でもない」


これ以上心配かけると良くない。ボクはそう思って、パパの最後に残した「逃げろ」という言葉を、心の内に秘めておく事にした。


「そう。リリィ、朝食出来てるわよ」


今日の朝食はミートパイ。サクサクしていて美味しい。少し喉につまりかけたが、慌てて飲み込んで、もぐもぐと元気よく平らげた。


「ごちそうさま!」


笑顔で言った。


「ねぇリリィ、ちょっとこっちへ来て」

「どうして?」


言いながらボクはママの元に寄ると、ママはボクの両脇に手を持ってきて


「こーちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょっっ!!!!!」

「あぃやーはははははははっ!!」


不意打ち。いきなり何をしだすかと思えばこちょこちょ。ボクは耐え難いくすぐり攻撃に笑い声を上げずにはいられない。


「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!」

「あははははは、ひーひひひひひひっ…ちょっと…ふふぶふっ…ママんっ」


しばらくママのくすぐり攻撃は続いた。なに故この様な攻撃をされたのか。


「気分の晴れない時は思い切り笑うものよっ」


な、何を言っとんのですかねこの天然ド悪魔は。

怒り心頭、ボクの頭に血が上(のぼ)る。


「んな事のために人にくすぐり攻撃かましとったんか我ぇい!」

「だって、大事な娘が笑ってなかったんだもん。親なら娘の可愛い笑顔が見たいものじゃない?」

「へぇー、そうですか」


ボクは途端にふっ切れた。


「まあ、いいや」


夢を見て気持ちが沈んだかと思うと、くすぐりで笑わされ、それをした意味不明な理由に頭に来てと、いくつもの感情の余波がボクの勢いをくじいた様だ。


「でも次やったら、くすぐり返すからね」

「あら、可愛い」


何だって?という怒りを込めた発言に対し「はいはいすみませんでした」と笑顔でなだめるママ。そんな母へ訝しげな視線を送りながら、ボクは自室に戻って塾へ行く支度をする。ふとボクは鏡に映った自身の瞳に目を止めた。


「また紅色になってる」


二日連続で紅色になる事は珍しい。初めて瞳が紅色に変わると知った時からは、二ヶ月に一回くらいでしか瞳の色は変わらなかったが、その頻度ひんどは年齢を追うごとに増えていき、最近では十日に一回は瞳の色が変わる様になっていた。


「いってきまーす」


ボクは家を後にする。そしてそのまま塾へと向かう。いつもならそんなところだ。だけど今日は塾には向かわなかった。


「何か今日は行く気しないなー」


ママには心配かけまいと強がったけど、今日見た夢はやっぱり気になる。


「寂しい。パパ、もう顔も覚えてないや。まだ帰って来ないの?」


ママには旅に出たと聞かされた。でももし今日見た夢が小さい頃の記憶なら、パパは何か事件に巻き込まれていたのかもしれない。旅に出るというのは、小さかったボクには伝えやすい表現だったのかな。 あの夢の最後、「逃げろ」ってどういう意味?

ボクの足は自然ととある家に向かっていた。


「村長さんおはようございます。リリィです」

「おぉリリィどうした? 今日は塾のある日ではないのかな?」


パパについて、この村の古株である村長が一番よく知っていると踏んで、村長の家へとお邪魔していた。


「えぇそうなんですけど、今日は村長さんにどうしてもお聞きしたいことがありまして」

「そうかそうか。塾をサボるのはいけないことだが、塾よりもワシの話を聞きたいとは、なかなか嬉しいことを言ってくれる。さて、何を知りたいのじゃ?」


ボクはゴクリと唾を飲み込む。


「ボクの……パパについてです」

「パパ? んーはて、リリィはマリィと二人だけでこの村にやって来たからのう…」


ボクは生まれた時からここに住んでいたんじゃ? ママは確かそう言っていた気がする。


「どこ出身か分かりませんか?」

「ふむ。確か、パンプキン王国とか言っておったのう。初めて聞いた王国じゃったので何者か疑っておったが、その人となりに次第に皆気を惹かれおった。かくいうワシもじゃな。その上リリィ、お主の様な天才児じゃ。認めない者はまずいるはずないのぅ」


パンプキン王国。ボクも初めて耳にした。ママは一度もそんな事を話したことがない。なぜボクにだけ? ボクに知らたくなかった何かがある。ママは何かを隠してる。

ボクは村長に礼を言って、その場を後にした。ボクは塾へと向かう。塾の前まで着くと、門には厳しい目つきで仁王立ちしている人がいた。塾の講師だ。


「リリィ、君のような優秀な生徒が、遅刻はいかん」

「じゃあ俺は優秀じゃないから遅刻はしていいんですか?」


と講師の後ろからフォトが覗く。


「たわけ」


先生は詠唱なしで、軽い下位火炎魔法ジェラをフォトの頭にぶつけるとフォトは焦げた。フォトの更に後ろ側で集まっていたクラスの皆がそれを見て、大笑いをしていた。



その日の授業が全て終わり、ボクは自宅へと向かった。


ボクは塾にいる最中、ある決断をしていた。パパについて、ボクとママの出身国であるパンプキン王国について、帰ったらママに問い詰めようと思っていた。それを望んでいないのかもしれない。もしママが、ボクが真実を知る事を望んでいないのならボクは追求しない。そしてボクはどんな真実でも受け止める覚悟はある。なぜならママを信じているから。






「ただいまー」

「お帰り、リリィ」


ママが笑顔でボクの帰りを待っていた。いつもの事だ。いつもの事なのだけど、何だかぎこちなくて違和感がある。思い込みだろうか。ママは食卓テーブルを隠すように立っている気がする。


「今日、何の日か覚えてる?」


ママに言われてボクはハッとなった。ママが覚えていてくれてるか心配してたはずなのに、逆にボクが忘れてしまっていた。

そう、今日は


「ボクの誕生日ね!」

「大当たりー!」


どうぞご覧くださいという様に、ママは食卓のテーブルをボクに見せた。


「わぁー!」


そこにはボクの大好物のフルーツタルトがお皿に添えてあった。


「今日はこれで決まりよ!」

「ありがとうママ! 大好き!」

「それからこれ」


ボクは母にピンクのお花の髪飾りを貰った。


「つけてみて」

「うん……どう、似合う?」

「可愛いぃーっ!!」


ボクはママに強く抱きしめられる。


「痛いよママ」

「あら、ごめんなさい……ほら、出来たてよ。一緒に食べましょう」


ボクはさっそく大好物のフルーツタルトを口に頬張った。


「ゆっくり食べなさいよ」

「あんまーい」


タルトの生地のサクサクしっとり感に、甘い蜜と果肉のじゅるじゅるが堪らなく美味。


「ママ、ボク幸せだよ」

「うん。そう言ってくれると、ママも幸せよ」


先程まで何を考えていたかも忘れさせるほどの幸せな時が流れた。



気づけばボクはベッドの中。


「おやすみママ」

「おやすみリリィ」

「……ねぇママ」

「なぁに?」


ボクはパパの事を問い詰めようとして、止めた。本当にママを信用しているなら、何も聞かないであげるのがいいと思ったからだ。


「大好き」

「私も大好きよ」


ボクは眠りについた。





次の日になった深夜。ボクは寝付けなくて、ベッドから起き上がった。何だか外が騒しい。ボクは妙に辺りが明るく見える事に違和感を覚えた。灯りをつけてもいないのに何故だろう。


「何これ」


鏡に映ったボクの瞳は、紅く煌びやかに怪しく光っていた。それはもう、今までにない程に。

ボクは怖くなってママを探した。だけどママの姿はどこにも見当たらない。仕方なく外に出ると、騒がしい正体である話し声にママの声が混ざっている事に気がついた。村の一番の広場だ。


「ママ?」


そこにはママの後ろ姿があった。そしてママの前に立ちはだかる黒い影が三つ。近づいていくと、夜灯に照らされてだんだんとその姿がハッキリとしていく。


「あれは…魔物?」


見るからに異形な姿をした魔物に挟まれて、緑色の鳥の羽根がついた深緑のベレー帽に漆黒の外套がいとうまとう、短めな緑髪の髪をしたボクくらいの歳と思われる少年がいた。でもその少年は真っ青の肌色をしており、人間ではない事がはっきり分かる。恐らくは人型の魔物。どうやらママはその人型魔物と話しているみたいだった。少年はボクに気付いて、ママにそれを促した。ママはこちらを振り返る。


「リリィ、何でここへ」


ボクを見るママの表情は今にも泣きだしそうな、苦しそうな、悔しそうな顔をしていて、ボクは余計に事の顛末てんまつが分からなくなる。


「あなたは王女? リリィ王女ではありませんか? その瞳の輝き、間違いない。この肌にピリピリと伝う凄まじい魔力。やはりお力に目覚められたと見ても間違いない」


その人型魔物はボクへ向かって歩き出した。


「リリィは渡さない! リリィは王女何かじゃないわ! 私の娘よ!」


ママは人型魔物をボクの元へと行かせない様に、その前に立ちはだかる。


「黙ってなさい、お母様?」

「きゃっ」


人型魔物が腕を払い、ママは横へとなぎ倒された。


「ママ!」


倒れたママはがくがくと立ち上がろうとするが、他の二匹の魔物が押さえつける。

ボクは初めて、物凄い剣幕で怒るママを見た。人型の魔物はいったい何者なのか。ボクの名前を知っている上に、ボクの事を王女と言っていてますます訳が分からない。


「王女、お初にお目にかかり光栄です。わたくしはパンプキン王国の子爵の息子、王子候補のカラナ=リオーネ」

「カラナ、さん? さっきから王女王女って、何のことですか?」

「おや、まさか話していないのですかお母様?」


苦悶の表情を浮かべ黙りこくるママ。


「いいでしょう。私からお教えします……………リリィ王女、あなたは現パンプキン王国が王パンプキングと、そこの女マリィとの間に生まれた子供、人間と魔物のハーフなんです」


つまりボクは、魔物の血を引いている?


時折出る異常な魔力、確かに魔物の血が原因とすればつじつまが合う。


「しかしあなたは生まれた時から人間と何ら変わりなかった。本来なら、魔物は生まれた頃から自らの力に目覚めるもの。ですがあなたは違った。パンプキン王国の次代の王が、人間の様に弱くては困るのです。しかし今夜、あなたは力に目覚められた。その力を感じ取り、こうしてあなたをお迎えに上がりました」

「つまりボクがパンプキン王国の女王となれ、とおっしゃるんですね?」

「ご理解が早い。次代の王ならばそうでなくては」


このカラナ=リオーネとかいう魔物の言い分は理解した。パパはこの魔物達の王。その王であるパパが、ボクを王とするためにこの魔物達に命令したのか。それとも魔物達が勝手にしている事か。どちらにせよこれはチャンスだ。ずっと会いたかったパパに会えるかもしれないのだから。


「パパと……王と……会えるの?」

「はい?」


人型魔物は呆気にとられた様に返した。


「王と会えるんでしょ?」

「王? 王は既にいません。人間と婚約を結ぶなどあってはならないことです。ですので我が国で処刑済みです」


ボクは耳を疑った。ママは何も言わず俯いている。つまり知っていたという事だろう。そして無意識の内に封をしていた記憶がはっきりと鮮明になっていく。あの日見た夢。


あの日狩りに行ったパパがボロボロの衣服と血だらけで帰ってきた。その場に倒れ込んだパパにボクは不安になった。

『リリィ?』

優しい優しい笑顔だ。小さかったボクの不安はかき消えて、その笑顔にいつものパパを重ねてしまった。

『リリィ、ボクは旅に出なくちゃならない。ママとお留守番、頼めるかな?』

横たわったまま、柔らかい優しい口調で

『うん! パパの代わりに、私がママを守る』

赤紫色の血に塗れたその指を、小さなボクが握る。

『マリィ、行ってくるよ』

凄く痛くて苦しいはずなのに、優しく穏やかな笑みを絶やさない。

『気をつけて、ダリア』

涙を流すマリィ。

パパは動かなくなった。

『ママ、パパは?』

『パパは……パパはね、旅に出たのよ』


知っていた。分かっていた。物心のつく直前に見た光景。それでも思い返せば、理解出来てしまう。それが怖かった。ずっと見えていたのに見ようとしなかった。パパはあの日、死んだんだ。蝉の声が聞こえなくなるように、友達と釣った魚が動かなくなる様に、死んだんだ。ボクは滲む涙を堪えて、拳をぎゅっと握る。


「カラナさん、お話は分かりました」

「では、私と共にパンプキン王国へ来てくださると?」

「ボクは行かないよ」


カラナの表情は曇る。


「なぜです? あなたはもう魔物の力に目覚めた身、人間の世では生きられません」


ボクの中で何かがメラメラと燃えたぎっていた。

パパが死んで、ママはどれだけ苦しかったのだろう。

きっと自分のせいで死んだなどと考えたに違いない。


「ボクはパパの代わりにママを大事にするって決めたんだ」


ボクは手にありったけの魔力を込めた。


「何をするつもりで」


カラナはニヤリと不敵に笑む。


「止めて! リリィ!」

「ボクは、ボクから、ママからパパを奪ったあなたたちを許さない!! いでよ、下位火炎魔法ジェラ!!!!!」


上に返した掌を頭上に掲げ、バチバチバチバチと大きな音を立てたかと思うと、それは姿を現した。

炎の竜。

正確には魔力の流れによって竜を象っている様に見えるだけのものだろう。その大きさも凄まじく、数十メートルは高く火炎がそびえ立っている。朝に出した大きな火炎とは比べ物にならないほどに、凄まじいものだった。


「す、素晴らしい。これほどとは……まさに王に足る力! フハハハハ!!!!!」

「黙れ! カラナ! お前なんか、天に召されろ!!!!!!!! 」


ボクは手をカラナに向けて振り下ろそうとする。


「リリィ! 待って! そんなの撃ったら、村が全部燃えちゃう!」


ママの声。それを聞いた瞬間、ボクの下位火炎魔法ジェラは瞬く間に姿を消した。


「フハハハ、素晴らしい、実に。その年代にしてあなたは、先代王を超えている。人間と魔物のハーフなんていうから、弱ければ国の恥と処刑を考えていたのですが、生かしてみるものですね。いや、ぜひとも王にしたい」

「だから、ボクは一緒にいかないと」


「リリィ…ちゃん?」


後ろから声が聞こえた。フォトのおじいさん。それから周りにも人影がいくつも見える。


「リリィ……」


嫌な予感がした。


「さっきの……なんだよ……なんなんだよ!!」

とシュナイダー。

「シュナイダー……」

「リリィちゃん、リリィちゃんはリリィちゃんよね? 本当に魔物なの?」


とメーク。


「違う! 違うよ!」


月光の下、ぞろぞろと闇の中から村の人々が姿を現す。


「俺の家族は、魔物に殺されたんだ!」

「人に化けていったい何をしようと」

「きっと俺たちを信用させて、後で殺す気だったんだ!」

「いや、俺たちを利用して人間同士争わせるつもりだったのかも」


深い真夜中の村が騒がしく、淀んだ空気が流れ始める。


「待って! ボクは、知らなかったの!」

「嘘つけ! 魔物め! 俺の家族を返せ!」


一人が小さな石ころを拾うと、ボクに向けてそれを投げつける。

それはボクのそばに転がった。


「そうだそうだ! 魔物なんか、死んで然るべきだ!」


そしてまた一人、また一人と石を拾ってボクに向かって投げつけてきた。ボクは慌ててそれをかわす。


「リリィ」

「村長?」


人々の間から村長が姿を現した。暗くて良くは見えないが、日中に見た優しい表情とは裏腹に、白い目でボクを睨んでいるように見えた。


「お主を魔物として、敵対する」

「そんな……」


村長が笛を吹くと、辺りには装備を整えた魔物討伐隊が集まってきた。魔物が入ってきた時に備えて、出動を控えていた討伐隊が今、ボクに標的を定めてこの場に集(つど)う。今までに感じた事のない冷たい視線がボクに突き刺さった。



何、何なのこれ。


「王女、さあ私たちの国へ」


手を差し伸べる人型魔物。ボクは思わず人型魔物の手を振り払った。


「ぐあぁあぁあぁあ! 痛いぃぃぃぃぃぃー! 手を、手を振り払われただけなのに、腕が折れてしまったー!」

「は?、そんな訳」


カラナは振り払われた腕を抑えて、大袈裟に痛がる。痛みに苦悶する表情の隙間には、ほくそ笑んだ口元が見えた。


「見よ、この力。まさに魔物! 同じ魔物の手を弾いただけで骨をへし折る力! 人ならばどうなっていたか」


それを見た人々の間にはどよめきが広がっていく。


「リリィ、俺たちもう一緒に塾行けないのか?」

「フォト……違う…信じて…」


ボクの声はとてもか細くなっていた。横暴で邪悪で卑劣なのが魔物。そう教えられてきたボクが今、皆から魔物扱いされる事にただただ恐怖する。


「リリィ王女、あなたは人間の世では生きられません。ましてや人間と魔物のハーフ、他の魔物に受け入れられるとも考えにくい。お分かりですか? あなたは魔物にすら偏見されるのです。 …………少し騒がしくなってきたみたいなので、また後日お迎えに上がります」


邪悪に笑うカラナと他二匹の魔物は闇に消えた。ボクはいつの間にか、両肩を抑えながら必死に震えを抑えている。ふと見上げると、周りの皆が掌に火炎を湧きあがらせていた。すると一斉に火炎が四方八方からボクへと降りかかる。


「防御……しなきゃ…………シー……ルド」


ボクは授業で習った防御魔法を唱える。いつもはこれで分厚い薄白い壁が目の前に張り出されるのだが、なぜだか薄っぺらい。普通の人が平均的に張れるほどの壁が、降りかかる火炎に対し弱々しく目の前に張り出される。これでは簡単に防御癖を燃やし尽くされて、ボクに火炎が届いてしまうだろう。ボクはその場から逃げようとした。しかし足がすくんだのか、ボクはうつ伏せに転けてしまう。立とうとしても体に力が入らない。ボクは為す術なく、目を瞑った。


下位盾魔法シールド!」


声が聞こえたかと思うと、誰かがボクの背中に覆い被さった。それはとても優しくて温かい。まるでママに抱きしめられているような


「……ママ?」


そっと振り向いた後ろには優しい笑みを浮かべる母親の顔があった。


「リリィ……かはっ」


ママは咳き込むと、口から赤い液体を吐き出す。


「ママっ!? ママ何で!!」

「リリィ……決まってるじゃない……あなたは私の娘よ? ……」


気高いママの姿に、ボクは目頭が熱い、胸が熱い。火炎は全てママが受けたはずなのに、ボクの心は焼かれたようだった。


「リリィ、よく聞くのよ。今ここから、あなた一人で逃げるの」


ボクは辺りを見回すと、討伐隊がこちらに向かって駆け寄ってきている。


「私は出来るだけ時間を稼ぐから、あなたは出来るだけ遠くに逃げて。もうここへは来ちゃダメ。この付近も危険よ。分かるわね?」

「でもそれじゃ……ママが」


辺りからは息巻く討伐隊の者達が、「魔物の親も殺せ」と叫び散らしている。


「いいから行きなさい」


すると片目を瞑り逞しく笑ってみせた。


「今の瞳のあなたなら、村の結界には引っかからないわ、さあ! 走って」


ボクはママの言われるがままに立ち上がり村の外へと向かって走る。


「絶対に振り返っちゃダメよ!」


その言葉を背に、ボクは一心不乱に村の外へと走り出す。


「待てぇー!」

「くそ、逃がすか魔物ー!」

「人に紛れるなど決して捨て置けん!」


走り続けた。後ろから何が聞こえようとも、ボクは足を止めなかった。


「リリィには手を出させない! 上位氷魔法ヒュルゾネス


「「「ぐあぁっ!!!」」」


「あれは氷系上位魔法」

「くそっあいつも魔物か?」


ボクは振り返らない、ただひたすら走る、走る、走る。目が涙で滲んでも、走った。


「リリィ! 幸せをくれて、ありがとぉー!」


ボクは一瞬、足の力を緩める。それでもぐっと堪えてボクはママの逃げてという言葉を胸に力一杯地面を踏み込む。


「ええぃこの女! 焼いてやる。中位爆発魔法バグナム!」


ドカーーン!!!!!


爆音に混じって一人の悲鳴が聞こえたような気がした。ふとよみがえる、ママと共に過ごした笑顔の記憶。毎年にはママがお手製のパイをご馳走してくれた。足をくじいてワンワンと泣き叫ぶ子供のボクを優しく抱いてくれた。塾で初めて使った魔法を見せたら、ボク以上に喜んで頭を優しく撫でてくれたしお祝いにぬいぐるみをプレゼントしてくれた。



爆音の静まる頃、ボクの目からはせきを切ったように涙が溢れ出てきていた。




















ボクはどこまで走ってきただろう。幸せな誕生日のはずだった。でもそれは一体の魔物のせいでぶち壊しになってしまった。そしてこれからもそうなってしまうのかと、ボクは不安に駆られていた。


「はぁ、はぁ、はぁ」


さすがにもう追っては来まい。これだけ走ったんだから。


辺りは薄暗い森の中だった。今にも何か出そうで怖い。止まってみると、とても静かだった。追っ手の声一つしない。肩で息をするボクは、力なく地面にへたり込んだ。


「静か…」


森の木々が風に揺れる音。それだけが今のボクの耳に響いている。先ほどまでの喧騒けんそうが嘘のようだ。


「これからどうしよう……一人で……生きて……」


不意に口から出た言葉が、ボクの涙腺をくすぐっていた。


「うっうっ、っく…ひっく……」


思い返すのは塾で過ごした日々にママとの日常生活、村人達との関わり。一言で、幸せだった。それが全て手から離れていったことで、ボクはより過去の幸せにすがろうとしていた。


「もう…ひっく…戻れないの?」


問いかけても誰か答えてくれる訳でもない。道端に咲くお花も、木々も、誰も答えてくれない。昔お花さん達とお話をして遊んでいたことがあったけれど、そんなの全てボクの思い込み。本当に話せていた訳じゃない。



「誰か…助けてよ」


「一人は…ひっく…嫌だよ」


「ママ…もう会えないの?」


爆音に散ったママの声が脳裏にちらつく。ボクは怒りと悲しみに混濁した強い気持ちをどうしていいか分からず、胸に強い痛みを抱え込んでいた。涙なんかでは流せない、地面を叩いたところで壊れない、ボクは胃にさえ不快感を抱き、吐きそうになる。


すると上から風を切る音がした。ボクは即座に見上げる。何かが降ってきた。それは白髪ショートの女の子。その子と目が合ったと思った瞬間、ボクは意識を失った。

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