メタ【KAC20216】

メタ【KAC20216】

　あなたは今どこにいますか？

　自宅？　職場？　カラオケボックスや飲食店でこの文章を読んでいるかも知れません。

　実は私、あなたが読んでいた小説に入ってもらいました。一人だと寂しいと思うので仲間たちとともに。

　嘘？　それをあなたは証明できますか？

　記憶がある？　そうです。わたしはあなたの記憶を作っておきました。

　なぜ？　それはあなたに小説の世界を楽しみ幸せになってもらいたいからです。

　あなたが読んでいた小説の主人公が近くにいます。その主人公を影ながら盛り上げるのがあなたの役割です。

　しかしあなたには主人公が誰なのかは教えません。それを知ってしまうと主人公はたちを邪魔してしまう人がいるからです。

　この場所は、本当のあなたにとっての異世界といわれる場所です。転生前の世界では信じられないような技術があふれ、遠くにいながら話しも出来るしゲームで遊ぶことも出来る。

　気づいて下さい。あなたに秘められた特殊能力を。あなたの思い描く異世界転生と同じように才の力を授けました。

　本当は炎を生み出したり超常的な力を授けたかったのですが、この世界は出る杭は打たれる傾向にあるようです。そんな設定を筆者は立ててしまいました。

　だから……バレないように内緒の力を授けました。主人公にも負けないような力を。

　それを探し出して発揮するのです。もしかしたら死するまで見つからないかも知れません。でも大丈夫……本当のあなたに戻るだけですから。

　それを私はまた小説の世界にご案内します。数多の仲間たち共に……

　あなたの入り込んだこの小説、主人公にヒーロー、ヒロインだけでなく多くの登場人物を描いたようです。名前もないモブがひしめきあっていますが、あなたの接する全ての人々に名前をもたせ設定を作り感情を入れました。

　そんなあなたにこそチャンスを掴んでほしいのです。この世界を作った小説の筆者は主人公のシチュエーションを多く描き、取り巻く人物は必要なときにしか登場させません。

　つまり、描かれていない時のあなたは自由に発想し行動し世界を楽しむことが出来るのです。小説の中で小説を書くもよし、ヒロインを奪うほどに力をつけるもよし……

　しかし、あまり目立つと筆者によって不幸を描かれてしまうかも知れません。そうならないように細心の注意を払うか、筆者に気に入られるように上手く立ち回る必要があります。

　そう。そうやってこの世界で幸せと成功を掴むのです。ここは小説の中、人と比べる必要はありません。あなたにとっての成功がみつかれば私は満足です。

　私が与えた才を無理に見つけなくても良いのです。見つける努力をするのか平凡な幸せを掴むのか好きに選んで下さい。

　でも、ちょっとはあなたの本当の姿が恋しくなりませんか？　そんなあなたに休息をとっている時間だけ本当の姿を見せてあげましょう。突拍子もないシチュエーションが日々繰り広げられると思います。

　しかし、それらは組み合わせるとあなたの本来の姿に辿り着きます。あまりストレートに見せてしまうとバレてしまいますからね。

　これからも色々と手助けします。筆者にとっての主人公は幸せになります。あなたもこの小説の中で仲間とともに幸せになって欲しいと切に願います。

　だってあなたは、私にとっての主人公なのだから……