↑ひと

 日常は当たり前のルーティーン

 非常に退屈な一日が今日もくる

 回り回るそんな活動

 つまらなくてしょうがない


 恩人で親友の少年が目を覚ます

 彼は学校へと出かけて

 帰ってきたら遊びに出かけて

 それがこの日も行われるのだ


 今日もまた「行ってきます」と

 絶え間なく回る私に伝える

 当然が繰り返される中で欠伸あくびが出る

 この日も変わらない日常の中にいた



 変わるのが怖い私はそう思い込んでいた



 本当は少しずつ変化していることは知ってる

 変化を恐れた私は変わっていくことに

 気づかない振りをしてきていた

 その積み重ねを日常だと思い込んだ

 どんなに目を背けても現実はそこにあるのに


 「行ってきます」の言葉を聞いたら

 次は「ただいま」の声を聞く

 そんなこと「当たり前じゃん」と

 昨日までの私なら呟いた

 今日も明日も明後日も

 「ただいま」を聞くことも

 彼が帰ってくることも

 なくて、悲しくなって

 私は回る



 異常な出来事を封印して

 史上最悪な記憶を忘れたい

 回り回るこんな活動

 私だっていつか錆びて消える


 放心した心情が私を狂わせる

 彼は車にかれて

 帰ってくることは叶わなかった

 折れた心が頬を濡らす


 現世に戻ることは絶対にない

 ひつぎの中で燃えていく

 本体も心も灰となり消えた

 せめて彼の意志を紡ごうと

 私は懸命に生きることにした


 私は今日も変わらず回り続ける

 非日常が連なる世界で回り続ける

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