『ソウルフル・ワールド』

原題 Soul

監督 ピート・ドクター

公開 2020年 アメリカ/日本


個人的点数 ★4.5/5 点


あらすじ


 ジャズピアニストを夢見ながらも、音楽の非常勤講師として働くジョー・ガードナー。正規雇用の話が届くも、未だ夢を諦めきれないでいた。そんな彼に突然、有名ジャズミュージシャンと舞台に出られるチャンスが。


 ここからが新たな人生のスタートだ!と、舞い上がるのも束の間、足元のマンホールに気づかずに彼は穴へと落ちてしまう。


 目を覚ました先に広がっていたのは、人間になる前の魂達が集う、ソウルの世界。彼はそこで、生きる意味を見出せないでいる「22番」の魂と出会うのだった。



以下、ネタバレ有りの感想です





 ◆ ◆ ◆


 予告を観た段階で、これ私が好きなやつだ!!って思っていたのに、結局映画館にも行かず今になってようやく観ました(笑) つい先日ディズニープラスに加入したんですが、まず何を観ようとなった時に一番に思い浮かびました。


 面白いなと思ったのは、この映画で泣けてしまうことなんです。自分で書きながら変な文だと思うのですが、本当に泣けるのが不思議なんです。生死が大きなテーマの一つなのに、もっと生きたかったという後悔や、愛する人との別れといったシーンはありません。だってジョーは生き返る気満々なんですもん!


 しかも内容は「生きる意味とは何か」「何のために己は生きるのか」と、結構哲学じみているんですよね。それでも泣ける。大人の方がこの映画のファンになる人は多そうだなと思ったりしました。


 本当に個人的な意見なんですが、私は「生きる意味」とか「生まれてきた意味」って言葉があんまり好きじゃありません。自分の意思で生まれてきた人間なんていないし「死にたくないから生きる」で良いじゃないって。捻くれてるかもしれないけど、そう思うんです。


 22番が苦労してきらめきを見つけて、「さあ!次はあなたの番!自分のきらめきを見つけましょう!」なんて終わり方だったら私は好きになれなかった。だからジェリーが『生きる意味など必要ありません』と言ってくれた時「あぁ、この映画好きだわぁ」と落ちました。チョロい奴です(笑)


 22番はジョーとして過ごした数時間をきっと忘れてしまう。歩き方も、偉人達と交わした会話も、頬張ったピザの味も、何故生きたくなかったのかも。


 私も同じです。この映画に感動して、一瞬を大切にしたいと思っても、日常がその感動を少しずつ洗い流していってしまう。でも、それで良いと思います。


 いつもいつも木漏れ日に温もりを感じ、草花に癒され、自分のきらめきを探すなんてしていられません。だからまた、人生に彩りが足りないと思った時はこの映画を観返します。


 そんな作品に出会えて、とてもラッキーな一日でした。


 


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