スマホから始まる恋愛事情?

本田 そう

第1話

 前まではスマホで出会い系なんてのがあったが、最近ではマッチングアプリなんて物が流行っている。


 まあ、そんなマッチングアプリは、高校生の俺には関係ない代物だ。

 だいたいこのアプリは二十歳以上しか登録出来ない。‥‥‥出来ない?。

 いやいや、そんなの年齢を偽って登録してる女子や男子を俺は何人も知っている。

 しかもそいつら、小遣い稼ぎで登録している。まあ、ぶっちゃけて言うとサクラだ。

 しかも、そう言ったサクラの女性が七、八割だと聞く。



 「だからお前は大人になってもそんなアプリは使いたくないと」


 「ああ‥‥‥そんなのにお金なんか払いたくない!。それにもしかしたら、俺の前にこんな可愛い子が現れるかもしれないし」



 そう言うと俺は友人の宮間みやま しゅんにスマホの画面を見せた。



 「うん?、お前まだこんなアニメキャラがいいのか?。現実を見ろよ(笑)」



 なんて笑いながら言って来たもんだから、少し俺は不貞腐れて



 「別にいいだろ!このキャラが好きなんだから!(ちょと怒り)。それにお前はいいよな、イケメンで彼女がいるし!」



 俺が更に不貞腐れて言うと、俊がまた笑いながら


 「だったら紹介してやってもいいぜ」


 「なにをだよ?」


 「彼女」



 その「彼女」と言う言葉に俺は一瞬、体をピクリとさせるが、改めて冷静に考えて



 「やめとく。だいたいお前に紹介された女子はお前に惚れた女子だろ。それにお前の事を知らない女子を紹介されても、お前を見たら気持ちがお前の方に行きそうだからな」



 そう、こいつ宮間 俊とは幼稚園の時からの幼馴染だ。小学校低学年までは、こいつとはそんな容姿の差はなかったが、高学年のころには女子からモテる美形になった。それに周りの面倒見も良いので、さらに女子からの評判は良かった。

 そんな奴の隣にいた俺は、いつも女子から手紙を渡されていた。何故かって?それは俊に渡して欲しいとの事。つまり俺は愛のキューピッドではなく、愛の伝書鳩(;ω;)

 そんな事がこれ迄に何十回もあるので、俺は女子にはモテないと決めつけていた。



 「そうか‥‥‥。なあ圭、彼女が欲しくなったらいつでも言ってくれよな。力になるから」

 

 「うん?ああ、ありがとう‥‥‥」



 そう言う俊はニコリとし、少しうなだれてる俺に言った。

 『こう言う事を言うから憎めないんだよなあ〜、こいつは!』


 そうなのです!俺!朝日あさひ けいは、この十七年間モテた試しはない。

 あっ!過去に一度だけか?三つ歳の離れた妹のまいの友達から、中学3年の時のバレンタインにチョコを貰ったっけ。

 まあ、あれは義理だなと俺は今でも思っている。だってな、たまに家に遊びに来るが、それらしい仕草がないからな。

 そう思いながら学校に着くと、上履きに履き替えて、上の階の自分のクラスに向かう階段を登ろうとした時、階段の真ん中辺りに女子がスマホを見ながら階段を登っていた。

 が、階段の中央の踊り場にあしを出した時、足を踏み外し体制を崩して「キャアアアア」と言いなが、俺の目の前で落ちて来た。

 

 「あっ!あぶない!」


 俺は持っていた鞄を投げると、とっさに落ちて来た女子を受け止めた‥‥‥のだが、階段から落ちて来る女子をなんなく受け止める体なんか鍛えてない俺は、女子と共に一階の床に、「ドォシ〜ン!」と「カシャ」と音と共に落ちた。

 

 「だ、大丈夫かよ!」


 心配そうに俺に駆け寄る俊。


 「あ、ああ、大丈夫だよ‥‥‥て!彼女は⁈、それに何か妙に体が重いんだが‥‥‥」


 俺は落ちた衝撃で目を閉じていたので、周りが見えず慌てるように俊に言うと、それを見た俊は「‥‥‥ぷっ!」と、安心したのか吹いて笑いを堪えながら、


 「お、お前の上‥‥‥ぷっ(笑)」


 「俺の上?」



 俺はゆっくりと目を開けると、俺の上にセーラー服を来た女子が、覆い被さっている状態で気を失っていた。そして俺は顔を動かそうとすると、右頬に何やら暖かく柔らかいのが当たっていたので、そちらの方に向くと俺は驚く。


 「‥‥‥なあっ!」



 なんと助けた女子の右頬があたっていたのだ。つまりはどんな体勢だったかと言うと、寝ながら抱きついている状態。しかも顔をくっけた状態で。

 俺は慌てるように顔を上げると、右の唇に少しの激痛が走った。

 俺は左腕を動かすと左手を自分の唇にあてると


 「‥‥‥ツゥ!、下唇が切れてるのか」


 俺は何かにぶつけたのか?と思いながら切れた唇に手を当てていたが、その時俺は気づいてなかった。彼女の頬に三滴の血が滴り落ち、それが頬を伝わり彼女の口へと僅かに流れたのを。

 そしてそれを彼女が飲み込んだことも。



 「‥‥‥な、なにこれは?、血?‥‥‥血なの?‥‥‥血?‥‥‥血?‥‥‥血!」



 彼女は驚くと、ガバッと起き上がった。

 そして周りをキョロキョロとすると


 「‥‥‥あれ?‥‥‥私確か階段を踏み外して落ちたと‥‥‥」


 「気が付いたか?」


 「あ、あのう‥‥‥私、確か‥‥‥」


 「その前に‥‥‥どいてもらえると嬉しいのだけど(いや寧ろ俺的には暫くこうしていたいが)」



 俺がそう言うと、彼女は自分の状態に気づき、急に顔を赤らめると、


 

 「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」



 慌てるように言って、直ぐに俺からどいてくれた。そして彼女がすぐにどくと、俊が



 「圭!直ぐに保健室に行くぞ!唇の所から血が流れてるからな。若宮、悪いが朝のホームルーム遅れるって先生に言っておいてくれ!」


 「えっ!あっ!う、うん‥‥‥あ、あのう‥‥‥」

 


 彼女が何か言う前に俊が俺の手を取ると、俺と保健室の方へと急いで行ってしまった。

 だが、その場に残した彼女の心配?そうな顔を俺は見過ごさなかった。

 だから‥‥‥


 「若宮さん!俺は大丈夫だから!」


 俺は手をあげて若宮に叫んだ。その時の彼女の顔は見れなかったが。


 若宮わかみや 恵実えみ、俺と俊と同じクラスの女子だ。クラスの、いや学校内で一二を争うほどの美少女で特に長い綺麗な黒髪とくりくりした大きな瞳が印象的だ。それにスタイルも良く、胸も大きいときた。

 だから何十人の男が彼女に告白をしたがいまだに彼女の心を射止めた奴はいない。



 そんな事があり、俺は保健室で治療を終え教室に戻ると、直ぐに若宮が来て、



 「大丈夫?」


 「えっ?うん、大丈夫」


 「そう、良かった。その‥‥‥ありがとう」



 そう言うといつものにこやかな表情をして自分の席へと戻って行った。

 その後、俺はクラスの男子から羨ましがられた。そりゃあね、あんな事になっても彼女に抱きつかれたのは事実ですから。



 で、ここから俺に妙な視線を感じるようになる。授業中、昼休み、休憩中の時、いやその日ずーっと。しかもその視線が妙に威圧感?みたいな物。

 そして放課後、俺は宿題を忘れて居残りで教室に一人でいると、ドアが開き若宮が入ってきた。

 俺は、忘れ物をしたか?と思いながら無視をしていると、ツカツカと俺の前に。



 「‥‥‥///あ、朝日君///」


 「うん?あっ、若宮さんなに?」


 「///うん‥‥‥朝は、その、ありがとう///」


 「えっ、ああ、いいよそん事。それより若宮さんの方こそ大丈夫だった?」


 「///うん‥‥‥///」


 「うん?」



 鈍い俺でも、明らかに今の若宮はおかしいのに気づくと



 「どうしたの?若宮さん?」



 俺が心配そうに言うと、うつむいて赤面しながら言っていた若宮が、急に俺に近寄り



 「///朝日君!///」


 「えっ?ハ、ハイ!」


 「///あな、あな、あなたは///」


 「?」


 「///私と結婚することになったんです!///」



 「うん?‥‥‥今なんて?」


 「///だからあ!私とあなたは夫婦になるの///」


 「夫婦‥‥‥ふう〜ん、夫婦か‥‥‥て!結婚!夫婦!俺が?若宮さんと?」



 彼女が恥ずかしそうにコクリと頷くと、俺は何故と問う。すると本当か嘘かはわからないことを若宮は口に出した。つまりはファンタジー的な。

 若宮が言うには若宮家は何百年前の吸血鬼の末裔だとか。本当かよと思うが本当らしい。じゃあ、今でも血を吸うの。いや今は血を吸わなくても大丈夫らしい。なんせ何百年前の末裔だから吸血鬼の血も薄れ、今では人間と変わらないだとか。だから寿命も人と変わらない。たが、結婚する時は互いの血を少しだけ飲む掟みたいな物があるとか。



 「そんなんで若宮さんいいの?俺となんかと結婚して。若宮さんの気持ちもあるし」



 「いいの私的には。だって私、あなたの事が昔から好きだったから」


 「昔から?」


 「そう、小学校低学年の時、よく私を助けてくれたよね。それに中学時代に私貴方に告白してるのよ。覚えてない?」



 そう言って若宮はスマホの画面を俺に見せた。


 「えっ?えっ!これって若宮さんがくれた物だったの?!」



 スマホの画面には中学時代貰ったハート型のチョコが写っていた。



 「俺てっきり妹の友達のかと」


 「あれ、私の妹に頼んだの。手紙入ってなかったの?」


 「手紙?入ってなかった」


 彼女は驚くと暫くう〜んと昔を思い出しながら、いきなり「あっ!」と声を上げると


 「入れ‥‥‥忘れた」


 シュンと気落ちする彼女の頭を俺は自然と手をポンと乗せると笑顔で



 「若宮さんでも忘れる事があるんだ」


 「私だって人ですから(ちょっと怒)」


 「あははは、けど安心した。あんなファンタジー的な事があっても、俺の若宮さんに対する好きな気持ちは変わらないから」


 「えっ?///私の事好き?今でも?///」


 「今でも」


 「じゃあ結婚‥‥‥」


 「結婚は早いよ。俺たちまだ高校生だし」


 すると彼女はまたスマホをいじるとある画面を見せた。その画面を見て俺は驚いた。だってですね〜、その画面には俺と彼女がキスをしている画面が映っていた。

 驚く俺に彼女は、



 「血も飲んで、私のファーストキスまで奪ったんだら、責任とってよねダーリン♡」



 ウインクをしてくる彼女。この先どうなるんだろうと俺は彼女のスマホの画面を見つめていた。



 



 



 


 


 



 

 



 



 


 


 


 

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