――    の章 Ⅱ




 いきなり電話してごめんね。うん、福山から番号教えてもらったんだ。


「大変だったそうだね」 


……ああ、そうだね。うん、無事に事件は解決したんだけど。


 いつまた爆発するか知れたものじゃない。


 注視するしかないけど。


「江田は関係者か何かなの?」


 あ、知らなかった? 関係はしてないけど、外からちょっと覗いてみただけの、いってみれば傍観者みたいなものだったんだ。積極的に関わろうとはしてたけどね。


「なるほど」


 僕はこの期間、いろんな人と会ったし、話したよ。特に中学の面々と。今もそうだけどさ。悲しいことに、懐かしさよりも辛さが先にきちゃってね。仲良く同窓会ってわけにもいかなかった。


「江田さあ」


 うん。


「俺ら、例えば中三のクラスで同窓会やるとするじゃん? 何年後かに」


 うん。


「一クラス30人だよね。その中に、一人か二人は絶対に来ないんだよ」


 ……過去を捨てた人たちなのかな。


「だからさ、俺たちがあの時と同じように、ほぼそっくりな形で再集合なんてことはありえないんだよ。絶対に」


 ……。


 前から聞きたかったんだけどさ。


「なに?」


 しゅうたってさ、文京に嫌気がさしたから出ていったの?


 『文麗四天王』なんてとってつけたようなグループから抜け出したくて、区外に引っ越したの?


「……」


 勘違いだったかな。


「半分は、本当に今の学校に行きたかったから、だね」


 もう半分は、そういうことだと。


「他の三人も、たぶん分かってるだろうね。わざわざ口に出さない人たちだけどさ」


 しゅうた……。


「カナも、福山も……安芸津も。俺からしたら、文京の外から見たら、馬鹿やってるとしか思えないんだよね」


 ……そんな。


 そしたら、僕だって。


「ごめんね。でも君なら、今の文京区を壊してくれる。そう信じて、行く末を拝見することにするよ」


 うん……あんま喜べないけど……ありがとう。


 頑張ってみるよ。






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