Chapter13.バーモットの青春

GM:さて、皆さんは追跡してきていたエルフ女性の話をひとまず聞こうということで昨晩宿をとった“幸木に言祝がれ粛然と萌動せし蘖亭”に彼女を伴ってやってきます。


GM:彼女の名前はユゥス・レインフォア。少し地味な印象のある彼女を改めて見ると、皆さんはユゥスがカロリア工房にいたことに気付きます。見習い技師といった様子で注意を受けたりしていました。今は酒が入り仕事の愚痴を話しています。

レド:めんどくさい!

ヴォックス:ユゥスってことはユゥリーラガナルの“ユゥ”担当ですね!

門番:あだ名だからなかなか見つからなかったのかな。


ユゥス(GM):「それにしてもあんた、本当にバームに似てるわね…こうやってイーッてしてみて。ほら、こう」と頬に指をあててイーッとバイナルにして見せます。

GM:バイナルが渋々イーッとしてあげると、ご機嫌そうに笑って「ああ、本当に似てるわ!」と言ってまた酒をあおります。


門番:なるほど、ユゥスはバーモットのことをバームって呼んでるのね。

レド:楽しそうだな…。


門番:「バイナルくんのお母さんとはどんなお知り合いだったんですか?」

ユゥス(GM):「バームと私は同い年で、幼馴染だったのよ。…ほら、あの子の親は早くに亡くなっちゃったでしょう?だからかあの子は成人して少ししたらこの森を出てっちゃって…たった数年で男ができただの結婚するだの…!ああ!あっという間に何人も子供をこしらえちゃって…ちょっと早過ぎると思わない!?まだあたしたち52歳よ?」


ヴォックス:「ああ…さて、どうつっこむべきか…」

レド:「まあ、レプラカーンも長命だからな」

ナージェンカ:「うん…エルフの半分ほどだけどね」

ルカカフィーネ:一族にエルフの青年〜壮年がいないので基準はよくわかってない。


レド:「うん、そうだな。そうだそうだ。ああ、あなたの言う通りだ」とテキトーに相槌を打っておこう。

ヴォックス:「タビットのお前が言っちゃうの…」


門番:「どんな人と結婚したんですか?」

バイナル(GM):「父ちゃんとはキングスフォールで出会ったって聞いたぜ」

ユゥス(GM):「うん、そう。キングスフォールのレプラカーンって聞いてる…。バームは最近はたまーに帰ってくるから、今年も来たのかと思ったら…。そう、あなたが…ふーん」とバイナルを見ながらも、その向こうにバーモットを見ている様子です。


ユゥス(GM):「でも似てるだけね!なんていうか、可愛げがないわ」

ヴォックス:「それすっげーわかるー!」

バイナル(GM):「ああん!?」


GM:さて、皆さんはこの酔っ払いうだつ上がらなエルフから、バーモットについての情報を聞き出さなければなりませんが…どんな質問をしたいですか?

門番:じゃあ、まずはご趣味から…。

GM:はい、じゃあ趣味の葉っぱ折りについてエルフ時間で講義でもしてもらいますか…。

門番:冗談です!


ヴォックス:「バーモットはあんたのことなんて呼んでたんだ?」

ユゥス(GM):「ユゥって呼んでるわ、別に今もそうよ。…っていうかあなた、バーモット“さん”でしょ、様でもいいけど。丸耳の子供がそんな、バームを呼び捨てにするなんて…!」

ヴォックス:「…ァアハイ、スイマセンスイマセン」


門番:「バーモットさんとユゥスさんには他にも仲の良いお友達がいたんですか?」耳が丸くてごめんなさいと思いながら。


GM:はい、ユゥスはあと2人の友人がいたと話します。それがリーラとガナル。顔料の名称は彼女たち3人から取っているのだとユゥスの口からも教えてくれます。

ナージェンカ:「ではユゥリーラガナルの製法については御三方もご存知なのですか?」


ユゥス(GM):「え?ええ、御三方というか、見つけたのはバームだけどね。私たちも作り方、というか…。そのユゥリーラガナル…もっとマシな名前があったと思うけど…。アレは私たちがいないと作れない」

門番:「えっ!?」

ナージェンカ:そういうことなのかあ。


ユゥス(GM):「子供の頃にたまたま見つけたものでね。私たちが独占的に作ってきたものなのよ。…つまり、あなた達にその詳細を言う必要はないってこと」


レド:「いや、必要がないこともない。実はあなたのご友人であるところのバーモットさん。いま新しい命を授かっているのだ」

ユゥス(GM):「えーっ!?52歳よ?…どんなペースで産むの!?…私はようやくカロリア技師見習いの資格試験をこれから10年間で挑戦しようっていうのに…」

ヴォックス:「見習いの試験が10年…?」人間にはちょっとブラック過ぎますね…。


レド:「そこでこの、子息であるところのバイナル殿が家業を助けたいということでその顔料を探しにきているのだ。…どうだろう、その昔馴染みのよしみで彼女の息子を助けてやってくれないだろうか」

GM:するとその話を聞いたユゥスは「ん〜〜〜…」とバイナルの顔をジーッと見て、それから深いため息をつきます。


ユゥス(GM):「あなた達の言うことがわからないじゃない…」

ヴォックス:「ってことは…!?」


ユゥス(GM):「なんかムカつくわねあんた…。まあいいわ。けどどうやって作ってるかは教えられない。バームがその製法を誰にも教えないと決断したなら、それを私が教えることはできない」

レド:「うむ、製法を知ることは我々の仕事ではない。どうにか顔料が、今回の改修に必要な分手に入れば問題ないのですが」


ユゥス(GM):「そういうことなら…、うん、あの子の息子の願いなら。ユゥリーラガナルが手に入るかもしれない場所に連れて行ってあげる」

バイナル(GM):「ほ、本当か!?たの…お願いします…ありがとう」

ナージェンカ:えらい…。


ユゥス(GM):「連れて行くのはあの子が最後に来た2年前の場所。…私たちにとってもお気に入りの場所。ただしそこに行って、もし何もなくても、それはあたしの責任じゃないわ。そうでしょ?」

レド:「うむ、おっしゃる通りだ」


門番:「ところでその…あと2人のお友達はどちらにいらっしゃるんですか?」

ユゥス(GM):「ここにはいないわ」と少し不機嫌そうになります。

門番:「えっ、この街にはいないんですか?」

ユゥス(GM):「ここにはいないって言ったでしょ」むすーとしています。


門番:うーん?なにかありそうですね。



ルカカフィーネ:ちょっと一回情報を整理していい?(実際はこのリプレイでまとめた量よりもだいぶ長い会話だった)

GM:オーケーです!要点を書き出しますね。


◆◆◆◆◆

・ユゥリーラガナルはバーモットと3人の友人がいないと作れない。詳細は不明で、バイナルか他の誰かが代わりになるかはわからない。

・ユゥスが連れていってくれるのは2年前にバーモットが行った場所。そこでユゥリーラガナルが見つかる確証はない。

・ユゥス以外の友人、リーラとガナルはフレジスファ原初都市にはいない。

◆◆◆◆◆


ナージェンカ:色々想像するところはあるがとりあえず今はなにも言わないぜ…。

ルカカフィーネ:ねぇ結局あと2人の友達はどこにいるのよ!!…とは言わない、言わない…。

レド:念のため明日忘れずにクズ魔晶石を持っていきましょうね。


GM:ともかくも、明日の方針が定まった皆さんはユゥスを見送って各々の部屋で眠りにつくことになります。

ヴォックス:「いやぁ、ありゃかなりの強敵だったぜ…!」

門番:「もし他のお友だちに会っても変なことしないでね…」


GM:ここでマスターシーン(GMのみによる描写の意)を挟みます。皆さんのテーブルが解散したあとの酒場の隅。そこにはフードを目深に被った人物が2人いた。そのうちの片方がふっと笑って、こう呟きます。


「ふふん?ボク、良いことを聞いちゃったかもだよ…」



PL一同:あーーーっ!

GM:では翌朝になります……。

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