ライバルとの対決って心躍るよね~。今更だけど緊張してきた・・・・・・

第11話 手平町民大会決勝戦~VS雪野マフユ~

『レディースアンドジェントルメン!! これより、手平町民大会決勝戦が始まるぜ~!!!!!!』


 実況者のジン・キョーが決勝戦の始まりを告げると観客達は歓声を上げる。

 熱気に包まれた会場はアタシの緊張を高める、うう、吐きそう・・・・・・。


『ライトコーナー! スキルを巧みに使い、西の覇者・陣ライガを倒した超新星のルーキー・溫井ホノオ!!』


――きゃ~! ホノオちゃ~ん! 頑張って~!!


――今日も応援するぜ~!!


――また熱い試合を見せてくれ~!!


――ぐおう! ぬおう! ぐぬぬぬぬ! 男女共に人気あるなんて!!


 また桝ココミの声が聞こえた気がするけど、気のせいだ、絶対に気のせいだ。っていうか、このネタ何回目!?

 声援は男女両方から送られる、恥ずかしいけど嬉しい。あ~、益々緊張してきた。


『レフトコーナー! 予選から準決勝まで全て一撃で突破! 今大会の優勝一番候補! 瞬殺の貴公子・雪野マフユ!!』


――キャアァァァァァァ♡ マフユさま♡ 頑張って~♡


 雪野マフユの登場と共に観客の女性客が黄色い声を上げる、耳が痛い。

 原作知識から女性ファンがいるのは知ってたけど、実際に目の当たりにすると圧倒されるな。

 もし、雪野マフユに勝ったら、アタシはどうなるんだ? マフユファンの女性達から一斉に冷たい目を向けられそう、想像しただけで怖い。

 でも、負ける事は許されない。

 ヒバナと、妹と約束したから。

 絶対に勝つって!!!!!!


「ホノオさん、こんなに早く貴方と戦う日が来るとは思わなかったよ」


 アタシに向かって余裕の笑顔を浮かべる雪野マフユの目は獲物を見つけた獣ような目をしている。

 本気だ、雪野マフユは本気でアタシに挑んでくる。

 これ勝てる・・・・・・?


『両者、準備はいいか~? それじゃあ、レッツダイブ!!!!!!』


 雪野マフユに圧倒されていたら、ジン・キョーによってシンクロダイブの合図が送られる。

 いけない、圧倒されて勝てないって考えてた。アタシは気を引き締めるために頬をバチンと叩く。

 ヒバナを泣かせないって誓ったんだ!! また泣かせたら姉失格だぞ!!

 強い決意と共にアタシの意識は薄れていった。


――――――


「とうとう始まったわね。雪野マフユと偽物溫井ホノオの試合が・・・・・・」


 観客席に座り観戦している桃色の髪の少女は忌々しげに呟くとブツブツと独り言を始めるが試合が始まり盛り上がっている中、彼女の独り言は周りには聞こえてなかった。


「まさか、大麓マオだけじゃなく溫井ホノオも女だったなんて。主人公サイドもしっかり調べないとダメね。

 それにしても、彼奴、ウィルス送り失敗したわね。失敗しても良いって言ったけど本当に使えない、失敗しない送り方を教えてやったのにさ。

 でも、ロボを渡してやったし、それで何とかやってくれれば良いけど」


 少女はニヤリと笑い、濁った目でホノオを見る。


「偽物には制裁を。あたしの世界に偽物は要らない」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る