なぜ三月十九日(金)だったのか?

 京がシン・エヴァンゲリオン(以下、シンエヴァ)を観に行ったのは公開翌週の三月十九日。ファンなら公開初日に有給を取ってでも観に行くところなのだが、京のお職場は幸か不幸か忙しい状況が続いています。有給を取って取れない事は無いけれど、忙しい最中に休むと職場に迷惑がかかりそうなので泣く泣く我慢することに。


「いかん、これではハイロックさんに叱られてしまう」


 ところが忙しい故にトラブルが起こるものでして、「製品の到着はいつですか?」と聞かれた担当者が間違えて『製品の出来上がる日』を伝えてしまいました。


「運ぶのに一日かかるでしょうがっ!」

「やばいぞ、連休どころじゃねぇぞっ!」

「ええい、土曜出勤で作るぞっ!」


 工場内は大混乱、土日の連休のうち土曜が出勤日になりまして、会社が一丸となって何とか納品できました。社長は我々の頑張りを見て気の毒に思ったんでしょうねぇ。


「ごめんね、代わりに十九日を代休にするから。ホントごめんっ!」


 てな感じで土曜日出勤の代休で三月十九日が休みになったわけです。


「はて、休みは良いとして……この手じゃなぁ……」


 三連休になったとなればやりたい事は山盛り。組立途中のカブのエンジンを組んだり、庭いじりをしたりと思いました。ところがですね、先日職場で手を怪我しまして手を濡らせない(二針縫いました。この時点では抜糸はまだ)状態。手を濡らせないとなれば洗う事もできません。手が汚れる趣味は金曜日が休みと解った時点ではNGでした。


「ん~っと、平日やし空いてるやろ。カブエンジンの部品を買いに行こうか」


 ところがカブのエンジンはなぜか部品が揃っていました。知り合いにバッテリー調達を頼まれたついでに買っていたのです。


「部品は有るから要らんな、そもそも部品があっても触れんもんなぁ」


 京は今まで色々な仕事をしています。平日休みの仕事をしていた時に週末なら混雑するけれど、平日なら比較的人出が少ない場所へ行く。人の多いはずの場所が閑散としている、そんな非日常が好きでした。


「手を汚せない今こそやっておきたい事は……」


 そこで頭に浮かんだのが映画です。エヴァ許のハイロックさんがシンエヴァを観に行ったのに刺激されて、劇場版スレイヤーズを観に行って以来久しぶりに映画館の大スクリーンと音響で観たくなりました。スレイヤーズ劇場版上映時の京は二十歳そこそこの若者でした。当時は『逃げ馬T・Tツインターボ』ってペンネームで某誌掲載漫画の欄外に掲載されてテレカを貰いまくる日々でした……というと歳がばれますかね?


「映画……シンエヴァを映画館の大画面と良い音響で観たいな」


 ところが世間では物騒な病気が流行っています。基礎疾患持ちな京は映画を諦めるのではなくて『どうすればより安全に安心して映画を観られるか』を考えたのでした。


「ん~っと、今やったら人出が少ないやろ。学生の春休みはまだやったかな?」

※地域によってはまだじゃなかったみたいです


 さて、京が安心して映画を観るために何を考えたかをお話しする前に曲行きますか。今夜は最後以外は桜の歌で固めちゃる。


 宇多田ヒカルさんで、『桜流し』を『ヱヴァQバージョン』でどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=G4MqGFJTYjs


 エヴァを観に行ったからね。よし、上手く桜とエヴァを絡めることが出来た。

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