第20話 war to deville on spanish highway

その、岡崎の友人へとレーザー・ディスク・プレーヤー

LV-5000DS(当時、¥249800)を届けて。

まあ、中古で12万で買ったのだけど。


幾らで売ったかは忘れた。


そのまま、取って返して・・・・東名高速へと。

深夜の高速がなんとなく好きだった。


インターの料金所で、細長いチケットをおじさんから貰って。


そう、この当時は自動券は少なかった。



CR-Xは低いので、けっこう、アレだと届かなかったりする。

ドアが厚いのは、バラード・スポーツ・CR-Xとは全然違って

乗用車っぽい。


(ロータス7だと尚更だけれど、アレはドアが無いので

結構上半身は自由だ。ロール・バーを掴んで外に下りれば。)



それから、本線へのカーブ。これが楽しい。



1速全開! こーん・・・・・。って。

2速。カーブが来る。



少し突っ込んで、アクセル戻す。

ハンドルを少し切っとく。と。



ひょっ!


テールが滑る。特に、雨だから前も滑って4輪ドリフト。

ナナメにアウトへ孕みながら曲がる。ハンドルはまっすぐに戻す。

また全開!2速。


ゥオー・・・ざざっ・・かーん・・・・!


タコメータの上を針が舞い上がる。滑ってるから。FF。


Siは、デフ・ロックが無いので当然である。つけても良かったが

この遊びは出来なくなる。最初からリミテッド・スリップだから。



1wayLSD、クワイフとかだといいのだが、20万以上するし・・


「腕でなんとかするさ」とばかりに3速全開。すでに100km/h。

立ち上がりラインをトリノ・レッド・パールのCR-X Siは

弾かれたように直進。


右ウィンカー。後ろをちら、と見て。誰もいない走行車線に飛び出す。


4速全開。結構長い。



ホンダ・ミュージックは最高だ。 F1みたいだ。




5速に入れて、長い直線。だけど雨。


傾いているフロント・ウィンドウを、上向きに雨が流れていく。



捕まるかな・・・と思って減速。120くらい。



誰も走っていない上り車線。




ハンドルをちょい、と切る時だけ、前が重い、と思うし

ボディが撓る感じがするけど、それだけ。




1台目のCR-Xより、ボディは頑丈になっている。

撓りは少なくなったけど、そのぶん、カーブで急に曲がらなくなった。

タック・インとかすると。


なので、ブレーキを残してターン・イン。

それでテールがずるずる・・・と言う走りをして見たり。



クルマが全然走っていないと思ったら・・・浜松を過ぎたあたりでインター閉鎖。

またも雨だ。


降りて、国道をのんびり走る。そのうち、峠になり・・・狭い。片側1車線。


のんびり上っていると、後ろからベンツのEクラスが追いかけてきた。

先に行かそうか・・と思ったが僕も若い。



登坂車線で、左に寄せては見たものの、減速はしなかった。

すると、E、シルバーのそれも追越しては行かない。



「なんだ、遊びたかったのか」



ベンツなんてチョロイ。そう思って居たが

けっこうついてくる。


パワーがあるので、コーナーはゆっくり回って加速で追いついてくる。



FRだけどATじゃ・・・。


と、僕は思う、暗い峠道である。午前1時。


その内に下り。



僕も初めて通る道だから慎重に降りていく。


とは言うものの、結構なペース。


2速か3速。


ヒール・アンド・トーで、前を残しながらカーブすると

綺麗に後ろが流れてくれるので、そのままアクセルを当てる。

下りはラクだ。



それで4輪ドリフト。


雨なので、ざー・・・と言う感じでナナメに滑っていく。



速度を抑えているのでそれほど危なくない。



ベンツは・・・最初、ついてきたが

途中で大きくテールアウト。それで怖くなったかな、と・・・

僕も後ろを振り向く余裕はない。


ノーマルの足回りなので、結構ロールするし

滑らせると揺れ戻しがある。



だんだん道が広くなって。海辺に出て

直線になった。平地だ。



東名高速のインターから、また乗って。

牧の原サービスエリアで停めて。


雨は小止み。ぱらぱら・・・。


エンジンを切る。床下から水蒸気が上がっている。



マフラーガードから、冷えるときの隙間が鳴る。


チン・・・・カチ・・・。


ステンレスのマフラーカッタが綺麗だ。


ホイールは6Jの、ミニライトふう。国産品。

ブラックレーシングとか言う・・・安かった。新品で2万しなかったので

ノーマルのアスペックを外して、コレにつけた。





レストランは夜なので、半分セルフ。



珈琲の食券を買って、自分で注いでくる。



「これじゃお代わりできるよな」と思うが・・・ドリンクバーでもなさそうだ。


でもまあ、2杯飲むのは気が引けるので・・・・そのまま。



誰もいない駐車場にナナメに止まってるCR-Xを眺めて。

水銀灯に浮かぶ、ワイン・レッドの物体は

宇宙船のようだ。


1台目は真紅だったので、フェラーリかアルファ・ロメオか、と言う感じだったので

気に入っていたが。

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