第19話 honda music

その、課長さんの部屋から僕は宴会場に向かったら・・・。

階段のところでマサエちゃんに遭った。


どっきり☆。


マサエちゃんは、すこーし・・・むくんでるみたいで

(また朝帰りかな)なんて思った。


この子、可愛いけど・・・そこがちょっと気になっていて

彼女にするにはちょっとなぁ、と言う感じ。

遊び慣れてるし、如何にも男友達が多そうだ。


こないだのコンパの時も、へーきでそういう連中とタバコ吸ってたりするのを

見てると・・・なんとなく嫌だった。


この頃の僕である。今はそんな風には思わないけれど。

僕もまだ幼かったのだろう。




マサエちゃん(ホントは昌恵ちゃん、である。「野行き山行き海辺行き」に

出てきそうな感じの名前)は、にっこり。



「きょうは、泊まらないの?どうして?」と、なんとなく不服気味に聞く。




・・・なんで、そんな顔するの?(笑)。僕が居たらどうだというの?



と思った。なんたって社員旅行である。


二人でデートじゃないんだもん(^^)。



もっとも、この数ヶ月前・・・・社員コンパで


マサエちゃんは、似たようなこと言ってて

僕はさっぱり帰っちゃった、のもあって。



その時も「今夜どうするの?」だった。



・・・・狩猟本能かなぁ(笑)。


そうすっと、エモノとしては逃げるのだ。たいてい(笑)。



僕は「友達にね、レーザーディスク配達するから」(ホントである。それでなかったら

浜名湖までなんか来なかっただろう)。


安田さんが「交通費出す」って言ったから、それ使って友達ん家に行こうと

思ったワケ。


実際、カネなかったんだ。


クルマってカネかかるし。



・・・まあ、それは安田さんが、マサエちゃんに頼まれて

僕を呼び出したんだろうと、なんとなく知っていた。




安田さんは、事あるたびに「結婚しろ」と言うのである。


誰と、とは言わないが・・・・・。マサエちゃんに言われてのかな。

よくはわからない。


靖子ではなさそうだし。


マサエちゃんは、ウェリントンめがね、とっても大きいので

とてもコミカルに見える、


鼻筋はとおってて、すっきり。


そこに、落っこちそうに掛けてて。


ちょっと仰向けっぽく僕を見る。可愛い。


でも、すこし不服気味に唇を尖らすと・・なんか微妙に



(^^)


そんな感じにも見えた。




社員旅行で H なんてなぁ・・・(笑) ありえないし。



・・・あ、そっか。CR-Xで行こうってのかな。モーテル(笑)。



そんな妄想(笑)しそうな感じ。



ちょっとかわいそうかな。なんて思ったけど


キヅカナイふり「あ、それじゃ」と・・・


上手い具合に他のひと、来たので。



助かった。(^^;




実際、最初のCR-Xは「デュエットクルーザー」なんて

かるーいキャッチフレーズだった。



カタログも、ふつうはツヤツヤの表紙なんだけど



バラード・スポーツの最初のは、つやなしの白い紙で

そこがなんとなく、若々しくて良かった。



僕のは「サイバースポーツ」って、ふつうのキャッチで

厚紙、つやつやに戻っちゃった。



んで、僕らは・・・そのまま分かれて大きな宴会場に別れ別れ、


でも、遠くからマサエちゃんは、僕を じーっ・・・・と見ている。




ヘビに睨まれたカエルちゃん、僕(笑)。



8時くらいまで宴会に居て・・・・するりと抜け出すfallin' love(笑)。




そんなふうに見られちゃうと逃げたくなるよね。寅さんでなくても。




ホテルの中庭駐車場に停めてたCR-Xに乗って、そのまま逃げた(笑)。


こんどは迷わずに。




安田さんには「途中で抜けます」と言っておいたんだ、最初から。




そうなると思って。



あのまま居たら、どうなってたんだろう・・・とか思いながら。


でも、この時はどっちかと言うと靖子が気になっていた。

なんつっても泣かしちゃったから、ね。



その涙のイミがわからなくて。



CR-Xで東名高速に入ったら、豊橋から先でインター閉鎖。

解除後で、誰もいなかった。


なので、思い切り全開!



かーん・・・って、いい音。



180のリミッターに当たる。


そこで戻して。なーんてやってて

岡崎の、友達のワンルームまではすぐだった。



この頃はTVでF1を放送してる頃で「ホンダミュージック」なんて言われてた

ホンダエンジン。


それに似てる音、だったりする。

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